クリテリウム・ド・ドーフィネ2023第5~8ステージ:第5、第7ステージ制したヴィンゲガードが総合優勝!第6はジマーマンが逃げ切り勝利!最終ステージはチッコーネが意地の勝利
前日の第4ステージで優位に立ったヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)が第5ステージでも快走、更にはクイーンステージの第7ステージも制して圧倒的な力の差を見せつけての総合優勝を果たした。これで万全の準備でツール・ド・フランスを迎えることになりそうだ。ヴィンゲガード以外の総合系選手たちは一定の走りは見せたものの、山岳では全く太刀打ちできず、エース格を予定している複数の選手たちにとっても、またアシストとしてのツールを予定しているものにとっても、かなりの戦略精査を余儀なくされそうだ。これほどまでのコンディションの良さがこの時期に出せるという事は驚きだ。それ以上にライバルたちがそれに対応しきれなかったことに一抹の不安さえ覚えるが、しかし裏を返せば、この好調さをツール・ド・フランスまでヴィンゲガードは維持し続けられるのかという側面もある。
第5ステージ
第5ステージは総合系が動くステージとなった。ライバルたちが少しでもタイムを奪い返すべく仕掛けたが、逆に最後の頂上を超える段階までにヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)に独走を許し、そこからゴールまでの14㎞でも追走は協調体制が取れずに追走に失敗、結果ヴィンゲガードの独走勝利を許すこととなってしまった。これでヴィンゲガードは総合リーダーに躍り出た。
「アタックは予定していなかったんだ。それよりも自分のポジションキープを念頭に置いていたんだ。そしたらライバルが動いたので、それにリチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)と一緒にそれに対応していたんだけど、気が付いたらカラパズが僕についてこれなくなっていたんだ。」ステージを制したヴィンゲガードはその圧倒的なコンディションの良さをレース後に語った。
クリテリウム・ド・ドーフィネ第5ステージ順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ 4h03’32”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ) +31”
3位 トビアス・ヨハンセン(UNO-Xサイクリングチーム)
4位 クレメント・シャンプーサン(アルケア・サムシック)
5位 マックス・プール(チームDSM)
第6ステージ
14名の大所帯の逃げが容認されたこのステージ、逃げ集団から山岳で飛び出し最後まで逃げ切ったのはゲオルグ・ジマーマン(インターマルシェ・サーカス・ワンティ)だった。残り500mで追走してきたマシュー・ブルガドー(トータルエナジーズ)に追いつかれるが、余力を残していたジマーマンは一気に突き放し単独ゴールを決めた。
総合争いでもヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)がアタックを仕掛けるも、ライバル勢もきっちりこれに反応、総合系集団は一団でのゴールとなった。これでヴィンゲガードはベン・オコナー(AG2Rシトロエン)に1分10秒差、ジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ)に1分23秒差を維持したまま、山岳バトルへと挑むこととなった。
クリテリウム・ド・ドーフィネ第6ステージ順位
1位 ゲオルグ・ジマーマン(インターマルシェ・サーカス・ワンティ) 4h02’50”
2位 マシュー・ブルガドー(トータルエナジーズ) +01”
3位 ヨナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアス) +08”
4位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +48”
5位 ベン・オコナー(AG2Rシトロエン)
第7ステージ
第3ステージで個人TT2位に入り、第5ステージでステージ勝利を上げ総合リーダーに躍り出たヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)、このクイーンステージの第7ステージでも圧倒的強さを見せ独走勝利、今大会ステージ2勝目を挙た。これで総合2位に順位を上げたアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)に対してもこの日だけで43秒差を広げ、2分以上の大差をつけての総合リーダーキープとなった。
この日のユンボ・ヴィズマのチームワークは完璧だった。カテゴリー超級の山岳に加え、頂上ゴールまでの最終決戦でも常に主導権を握り続け、ライバルチームと選手たちをを大いに苦しめた。最後のアシストがヴィンゲガードを発射した段階で、残っていたのはイェーツのみ、しかしそのイェーツも残り5㎞で脱落すると、あとはヴィンゲガードが独走で決めた。残り2㎞からはさらに加速するなど、仮想ツール・ド・フランスの走りで総合優勝を大きく手繰り寄せた。
第7ステージ
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) 4h15’47”
2位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ) +41”
3位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +53”
4位 ベン・オコナー(AG2Rシトロエン) +1’04”
5位 マックス・プール(チームDSM) +1’10”
第8ステージ
最終ステージで総合勢は動くのは確実、ならばと総合から脱落していたギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)はこの日の逃げに乗った。そしてすべての逃げがバトルがスタートした総合上位勢に飲み込まれていく中、ただ一人逃げ続けた男は、ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)に迫られながらも勾配が厳しくなる区間で最後まで踏みとどまり、クリテリウム・ド・ドーフィネの最終ステージを締めくくった。
追走してきた総合集団は、チッコーネから23秒遅れでゴール、ヴィンゲガードが総合優勝を確定させた。昨年度は2位に甘んじたこの大会で念願の総合優勝を達成した。10代のころ水産加工場で働きながら選手生活をスタートしてきた苦労人は、今やツール・ド・フランス連覇を狙う大本命にまで上り詰めた。
第8ステージ順位
1位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) 4h06’04”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +23’
3位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ) +33”
4位 ベン・オコナー(AG2Rシトロエン) +49”
5位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +54”
クリテリウム・ド・ドーフィネ総合順位
優勝 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) 29h28’39”
2位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ) +2’23
3位 ベン・オコナー(AG2Rシトロエン) +2’56”
4位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +3’16”
5位 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス) +3’47
6位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +4’51”
7位 ルイス・メインチェス(インターマルシェ・サーカス・ワンティ) +5’02”
8位 トルスタイン・トレン(Uno‐Xプロサイクリング) +5’15”
9位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +5’19”
10位 ジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ) +5’37”
H.Moulinette