訃報:ツール・ド・スイスでジーノ・メイダーが落車で帰らぬ人に、リスク伴うロードレースというスポーツで付きまとう落車と悲劇

残念なニュースが入ってきた。バーレーン・ヴィクトリアスの主力選手の一人でもあり、2021年度のブエルタ・ア・エスパーニャでは新人賞を獲得し総合5位にも入った26歳のジーノ・メイダー(バーレーン・ヴィクトリアス)がツール・ド・スイス第5ステージゴール手前の山岳からの下りで落車、帰らぬ人となった。
下りコーナーでマグナス・シェフィールド(イネオス・グレナディアス)と共に落車、そのままコースから転落し斜面下で落水する形となった。救急隊が到着した時点で意識がなく、心肺停止状態だったため、そのまま蘇生措置が行われた後に、ヘリで緊急搬送された。しかしそんな努力と皆の願いは届くことがなかった。

©RCS
伝説のジーノ・バルタリに憧れた両親からジーノと名付けられた青年は、アフリカ拠点で初のワールドツアーチームとなったディメンション・データでデビューしたことから、ブエルタ・ア・エスパーニャではアフリカの緑地再生へのチャリティーを実施したり、またプライベートでも保護犬を飼うなど、常に「小さなことであろうと、自分が環境や人のために何かできることをする」を行動に移してきた。そんな人柄だけではなく、レースでも2021年にバーレーン・ヴィクトリアスに移籍をするとその才能を大きく開花させた。ジロ・デ・イタリアでステージ優勝を挙げ、ツール・ド・スイスでもステージ優勝を挙げると、ブエルタ・ア・エスパーニャでは粘りの走りで総合5位に入った。更には2022年度はツール・ド・ロマンディで総合2位に入り、今シーズンもパリ~ニースで総合5位に入るなど、そのポテンシャルは高く評価されていた。

©ASO
ロードレースとは危険と隣り合わせの競技だという事はわかってきたはずだが、それでもこうして若い才能が失われることへの喪失感は大きい。昨今機材の進歩が進み、下りでも豪快に高速で全開アタックをする傾向が顕著となっている。身を守るのはヘルメットと薄手のジャージのみというほぼ生身に近い体で、時に時速100㎞越えで駆け抜けていくのだ。
こうした事故により、どこまでセイフティプロトコル、安全措置をしていくのかというのが常に議論される。時代とともに進化する機材、しかし乗るのは人間であり続ける限り、同じようなことは必ず次も起きてしまう。だからと言って制限を設け続ければ、そこにはレースという競技そのものの意義が問われかねなくなってしまう。そんな葛藤を感じながらも、レース界は前を向き、前に進み続けなければならない。
Thanks and RIP Gino.
H.Moulinette
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