ジロ・デ・イタリア2023第21ステージ(ダイジェスト動画あり):最後のジロの最終ステージを勝利で飾ったのはカベンディッシュ!総合優勝はログリッチ!トーマス、アルメイダの3人が最後まで接戦


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尊敬される存在というのはこういうものだ、今年のジロ・デ・イタリア最終ステージはそんなことを感じさせるステージだった。今シーズン限りで引退を表明している選手は多くいる中、その中の一人マーク・カベンディッシュ(アスタナ・カザフスタン)にとっても最後のジロ・デイタリアを走る中、何度となくステージ勝利を狙ってスプリントを行ってきた。しかし台頭する若い力にねじ伏せられ、なかなか勝利までは遠かった。しかし最終ステージのこの日、ゴールが近づくと多くの元チームメイト、同胞の選手たちがチームの垣根を超えカベンディッシュを牽引、そして最後はそのお膳立てから発射したカベンディッシュがペロトン全体を置き去りにする形でステージ勝利をあげた。満面の笑みで喜ぶカベンディッシュに、ゴールした選手たちが次々と祝福の声とハグでその勝利を称えた。

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自身のグランツール初勝利が2008年のジロ、そこから勝利を積み重ねたカベンディッシュはこれでジロ17勝目となった。「正直ここまでタイムオーバーにもならずに走ってくるのは至難の業で、超しんどかったよ。でもコロッセオ(ローマ時代の円形闘技場遺跡)での勝利は、夢にまで見た勝利、やりたいことリストのトップにあったものの一つだよ。この勝利は生涯忘れないと思う。」
そしてこれで総合争いも決着、無事にゴールしたプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)が自身初のジロ・デ・イタリア制覇を成し遂げた。最終日前日に大逆転をしたログリッチは、3連覇をしたブエルタ・ア・エスパーニャに続いてのグランツール制覇、あとは最高順位総合2位のツール・ド・フランスを制すれば、すべてのグランツールを制覇することとなる。若手に台頭でここしばらくは苦戦を強いられていたが、サバイバルとなった今大会、ベテランのゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)と共に、熟練された駆け引きと走りで総合優勝争いを繰り広げ、最後まで目が離せぬ展開を演出した。

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残念ながら総合優勝こそ逃したが、トーマスの走りは素晴らしいものがあった。チーム力があるイネオス・グレナディアスにとっては、タオ・ゲイガンハートが2度目のジロ・デ・イタリアを狙っていたが、リタイアを余儀なくされたことで一気にエースとして大会の主人公に躍り出た。大会序盤から安定した走りを続け、誰もが一度は迎えるバッドデイがない、ほぼ完璧な展開を見せた。昨年度のツール・ド・フランスでも総合3位と衰え知らずなトーマスだが、今回の14秒差は正直悔しいだろう。今年はブエルタ・ア・エスパーニャの出場も予定しているだけに、次こそは、という思いで挑めそうだ。
そして総合3位にはジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)が最後まで素晴らしい走りを貫き、新人賞ジャージと共に結果を残した。ログリッチとトーマスと互角の展開を披露、最後の山岳TTまで1分以内で総合優勝争いをしたその走りは、これからのグランツールでの活躍も期待できるとみていいだろう。山岳で二人に遅れをとるシーンが見受けられたが、一つはチームのアシストの差も大きく影響したと言える。これからの成長カーブがまだまだ楽しみだ。

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山岳賞は、総合でも5位に入ったティボー・ピノー(グルーパマFDJ)が獲得した。今シーズン限りで引退を決めているだけに、是が非でもステージ勝利が欲しかったが、それは叶わなかった。だがそれでも何度となく逃げに乗ったことで結果総合5位と山岳賞ジャージを獲得、まだまだ引退は早いのではと思わせてくれた。
ポイント賞ジャージを獲得したのはヨナタン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)が存在感を示した。今大会前はポイント賞候補には上がっていなかったが、前進を揺さぶっての馬力あるスプリントで今大会でもステージ勝利を挙げるとともに、安定してスプリントで上位にはいった。独走力のある独特なスプリントスタイルは、アシストがなくても突破できるだけに、今シーズンのみならず今後も勝利を量産できそうだ。
チーム総合はバーレーン・ヴィクトリアス、総合4位にダミアーノ・カルーソ、ポイント賞のミランのこの二枚が安定した結果を残し続けたことが大きな要因となった。

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また今大会その存在感を示し続け、このステージでも残り5㎞で仕掛けて見せたデレック・ジー(イスラエル・プレミアテックが大会の敢闘賞に選ばれた。
ジロ・デ・イタリア第21ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第21ステージ順位
1位 マーク・カベンディッシュ(アスタナ・カザフスタン) 2h48’26”
2位 アレックス・キルシュ(トレック・セガフレド)
3位 フィリッポ・フィオレッリ(グリーンプロジェクト・バルディアー二CSF・ファイザネ)
4位 アルベルト・ダイニース(チームDSM)
5位 アレクサンダー・クリーガー(アルペシン・ドゥクーニンク)
6位 ジェイク・スチュワート(グルーパマFDJ)
7位 フェルナンド・ガヴィリア(モビスター)
8位 マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ)
9位 アルネ・マリット(インターマルシェ・サーカス・ワンティ)
10位 キャンベル・スチュワート(ジェイコ・アルーラ)

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ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 85h29’02”
2位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +14”
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +1’15”
4位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’40”
5位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +5’43”
6位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +6’05”
7位 エドワード・ダンバー(ジェイコ・アルーラ) +7’30”
8位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM) +7’31”
9位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +7’46”
10位 ローレンス・デ・プラス(イネオス・グレナディアス) +9’08”
新人賞
1位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
2位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)
3位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM)
山岳賞
1位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ)
2位 デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)
3位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)
ポイント賞
1位 ヨナタン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)
2位 デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)
3位 マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ)
チーム総合
1位 バーレーン・ヴィクトリアス
2位 イネオス・グレナディアス
3位 ユンボ・ヴィズマ
敢闘賞
デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)
H.Moulinette
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