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©RCS

勝負というのは最後まで分からないものだ。山岳TTは総合順位の逆順でスタートしていくが、マリア・ローザのゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）の総合優勝はゴールラインを目の前にその手のひらからするりと逃げていった。ステージ勝利を挙げたプリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）は、急勾配のセクションでまさかのチェーン脱落のトラブルで立ち往生をするも、そこから気持ちを切り替え猛然とゴールまで突き進んでいった。このトラブルでそこまでトーマス相手に奪い返していたタイムを吐き出すが、最終的にはゴールラインまでに40秒のタイム差をトーマスに付けてゴール、これで昨日までの26秒差をひっくり返し、14秒のアドバンテージで総合リーダーの座を奪い取った。

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激坂のコンクリロードの上りへの入り口では、ほとんどの選手がバイク交換を行った。トーマスはそれに加えヘルメットもエアロタイプからノーマルへと交換、タイムロスを踏まえてもこの日の激坂山岳をこなすには通常ヘルメットでなければ頭部が暑くなりすぎるとの判断だった。ログリッチは昨日の山岳同様に、フロントシングルのリアが10‐44のまるでMTBのようなギア比のスペシャルセットを投入した。

先にスタートしていたログリッチは力強く高ケイデンスで走るのに対し、トーマスは比較的重いギアを踏んで上るタイプ、最近では高ケイデンスタイプの選手が多い中でも、ログリッチはギアを見ても明らかに異次元の高ケイデンス仕様で挑んだ。そしてその結果見事最速でゴールラインを通過しステージ勝利を挙げるとともに、最後の最後、実質的な決着を第20ステージで決めて見せた。トーマスの走りも素晴らしくステージ2位のタイムをたたき出したが、それをログリッチの鬼気迫る気迫の走りが上回った。

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トーマスは落胆の表情を見せながら、同胞で友人のインタビューに対し、「おい、お前がそんな顔してたら俺が泣くぞ。1秒差で負けるより、これだけ逆転されたら諦めがつくよ。トラブルがあっても素晴らしいタイムをたたき出したログリッチにただ脱帽だよ。」と語り、敗北を潔く認めた。

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逆転を果たしたログリッチは、「まじで焦ったよ。チェーンが落ちたけど、正直自分自身思ったより冷静で、チェーンを嵌めなおしてスタートしたんだよ。とにかく沿道のファンたちの熱い声援が背中を後押ししてくれたよ。」と沿道のいたるところでスロベニア国旗を振っていた多くのファンたちへ感謝を述べた。

ステージ3位にはジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）が入り、ポルトガル人として久方ぶりの総合表彰台を獲得した。ステージ4位にはダミアーノ・カルーソ（バーレーン・ヴィクトリアス）が、ステージ5位にはティボー・ピノー（グルーパマFDJ）が入り、このステージ順位がそのまま総合トップ5となった。

©Ineos Grenadiers

ジロ・デ・イタリア第20ステージダイジェスト

ジロ・デ・イタリア第20ステージ順位
1位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　44’23”
2位　ゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）　　　+40”
3位　ジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）　　　+42”
4位　ダミアーノ・カルーソ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　+55”
5位　ティボー・ピノー（グルーパマFDJ）　　　+59”
6位　セップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）　　　+1’05”
7位　ブランドン・マクナルティ（UAEチームエミレーツ）　　　+1’07”
8位　サイメン・アレンスマン（イネオス・グレナディアス）　　　+1’18”
9位　アンドレアス・レクネサンド（チームDSM）　　　+1’49”
10位　ジェイ・ヴァイン（UAEチームエミレーツ）　　　+1’53”

ジロ・デ・イタリア総合順位
1位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　82h40’36”
2位　ゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）　　　+14”
3位　ジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）　　　+1’15”
4位　ダミアーノ・カルーソ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　+4’40”
5位　ティボー・ピノー（グルーパマFDJ）　　　+5’43”
6位　サイメン・アレンスマン（イネオス・グレナディアス）　　　+6’05”
7位　エドワード・ダンバー（ジェイコ・アルーラ）　　　+7’30”
8位　アンドレアス・レクネサンド（チームDSM）　　　+7’31”
9位　レナード・カムナ（ボーラ・ハンスグロエ）　　+7’46”
10位　ローレンス・デ・プラス（イネオス・グレナディアス）　　　+9’08”

H.Moulinette