ジロ・デ・イタリア2023第19ステージ(ダイジェスト動画あり):クイーンステージを制したのはブイトラゴ!印象度No.1のジーはまたしても勝利届かず、総合バトルはログリッチとトーマス2強が競る


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クイーンステージとは一番の勝負どころとなる最難関ステージを現す。今大会のクイーンステージがこの第19ステージの山岳バトルだ。ここ数年若い世代の台頭とともに、「攻撃は最大の防御」を貫くタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)を筆頭に、総合優勝争いをする選手が早い段階からアタックの応酬をする姿を見てきた。しかしベテランの域に入るゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)とプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)が総合優勝を競っているこの日も、「防御は最大の攻撃」、と言わんばかりの駆け引きをギリギリまで続け、ゴール手前数キロになりようやく二人が重い腰を上げて動いた。ゴール前250mで僅かに引き離されていたログリッチがゴールラインを間近に急加速、ぎりぎりでトーマスを逆転すると3秒のタイム差をトーマスに付けて先着した。

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そんなステージを制したのはサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)、この日も容認された逃げ切りの集団から飛び出し、先行していたデレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)を猛追し、追いつくと同時にアタックを仕掛けての単独ゴールを決めた。これでブイトラゴは昨年に引き続いての2年連続のステージ勝利となった。敗れたジーはこれが今大会逃げで4度目の2位、またしても勝利を逃したが今大会もっとの印象に残る選手となっている。更には山岳賞ジャージ争いでも2位に躍り出ると同時に、ポイント賞ジャージ争いでも2位に躍り出ており、山岳でも平坦でも満遍なく素晴らしい走りを披露している。今大会が初のグランツールながら間違いなくそのポテンシャルを見せつけている。将来的にグランツール総合系としての可能性もありそうだ。
総合争いは2強が抜け出たが、それを辛うじて追走していたジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)はまだ何とか総合で1分差以内に踏みとどまった。だがそれ以降の総合トップ10はまたしてもシャッフルされることとなった。

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最難関ステージは通常なかなか逃げ切りが決まることはなく、総合優勝争いがそのステージ優勝嵐となることが多い。しかし今大会はチーム戦による削り合いが中心となっており、このステージでも逃げ切りが決まる可能性があった。それによりこの日も最終的に15人の大所帯の逃げが容認された。まず先行したラリー・ウォーバス(AG2Rシトロエン)ら二人を追う形で、連日逃げに乗るジーを中心に、ブイトラゴ、らが合流し、さらにそこにカルロス・ヴェローナ(モビスター)ら3名が合流を果たした。これにより集団をコントロールしていたイネオス・グレナディアスは沈静化、逃げがこの日のペースメーカーとなった。
逃げ集団ではジーが積極的にポイントを稼いでいく中、AG2Rのチームカーがヴェローナに後ろから接触し落車するハプニングもあった。逃げ集団はなかなか一枚岩とはいかず、絶えずアタックの応酬が繰り広げられる。

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その背後のメイン集団ではベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が何度となく山岳賞ジャージを狙う動きを見せるが、ティボー・ピノー(グルーパマFDJ)はそれに露骨に嫌な表情を見せながら潰していく。しかしメイン集団は逃げを追走する中でどんどんとその人数を減らしていく。人数を残していたのはユンボ・ヴィズマとイネオス・グレナディアス、総合優勝を争うチームのアシストががっちりとエースを守る。

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そしてゴールまで最後の上りへと逃げ集団は突入していく。ゴール前4㎞の平均斜度が12%の激坂バトルを控える中、ジーが満を持して飛び出していく。それを単独で追走をするのはブイトラゴ、地道に徐々にその差を詰めていく。ステージ優勝を狙うジーは必死の走りを続けたが、残り1.5㎞でブイトラゴは追いつきざまにアタック、そのまま単独走へと持ち込み頂上を制した。ステージ優勝をまたしても逃したジーだが、それでも最後まで粘りきり4度目のステージ2位ゴールを挙げた。流石に4度目のステージ2位、山岳賞、ポイント賞でも2位という事を記者から伝えられると、悔しさをにじませ男泣きをした。

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その背後のメイン集団はおよそ6分差で最後の上りに突入したが、なんとログリッチはここでバイク交換をする。用意されたバイクは1×のリアは10‐44というグラベルバイクやMTBのようなギアレンジ、勝負へのこだわりを見せ敢えてのバイクチェンジで激坂へと突入していく。

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メイン集団はイネオス・グレナディアスが牽引、総合10位のス・デ・プラス(イネオス・グレナディアス)、総合9位のサイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)がペーを上げていくと、総合トップ10の選手たちも順番に脱落していく。そして沿道の観衆が道路をも埋め尽くす区間で、ログリッチがアタック、これについていけたのはトーマスだけだった。アシストを失っていたアルメイダは単独で必死の走りで食らいついていくが、徐々にはなされていく。

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そして残りわずか500mでトーマスがようやくのアタック、これにじりじりとログリッチは離されて行ってしまう。しかしそこは自力のあるログリッチ、ゴール前僅かで爆発的なスプリントでトーマスを逆転し、逆に3秒のタイム差を取り返して見せた。結局ドロミテ山脈頂上決戦では決着がつかず、これで総合優勝争いは第20ステージの山岳TTへと持ち越されることとなった。
ジロ・デ・イタリア第19ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第19ステージ順位
1位 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス) 5h28’07”
2位 デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック) +51”
3位 マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト) +1’46”
4位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
5位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +1’49
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’09”
7位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)
9位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +2’16”
10位 エイナー・ルビオ(モビスター) +2’26”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) 81h55’47”
2位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +26”
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +59”
4位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’11”
5位 エドワード・ダンバー(ジェイコ・アルーラ) +4’53”
6位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +5’10”
7位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +5’13”
8位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +5’54”
9位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM) +6’08”
10位 ローレンス・デ・プラス(イネオス・グレナディアス) +7’30”
H.Moulinette
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