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©RCS

自転車レースで大きな役割を果たす不確定要素が天候だ。特に雨が降れば何かが起きると言われ、思わぬハプニングやドラマが生まれる可能性が大きくなるのだ。しかしコースは長く天気も気まぐれ、だが積極的に逃げれば、それは自らチャンスの扉を開くこととなる。雨に濡れたステージで逃げに乗ったマグナス・コルト（EFエデュケーション・イージーポスト）はそんなチャンスを自ら切り開き、そして勝利を手繰り寄せた。これですべてのグランツールでのステージ勝利を達成、ヒゲ面の中堅が満面の笑みで勝利の女神を迎え入れて見せた。

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総合ではゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）がステージを終え実質的な総合リーダーに躍り出た。休息日に総合リーダーだったレムコ・エヴァネポエル（ソウダル・クイックステップ）がコロナ感染によりリタイア、他にも多くの体調不良によるリタイアが続出し、大会主催者のRCSは撤廃していたした不特定多数が集まる場での選手たちのマスクの着用を改めて求めるなど未だにコロナの影響が大きいことを感じさせた。

そんなステージはスタート前から危険回避の為に大雨の山岳を回避するかどうかの話し合いが行われたが、結果変更なくスタートしていく。そしてスタートしてから総合7位につけていたアレクサンダー・ヴラソフ（アスタナ・カザフスタン）が体調不良でそのままリタイアとなり、総合争いは荒れ模様となっていく。

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逃げが決まったのはスタートから50㎞過ぎ、コルト、アレンサンドロ・デ・マルキ（ジェイコ・アルーラ）、デレック・ジー（イスラエル・プレミアテック）、ダビ・バイス（エオロコメタ・サイクリングチーム）の4人が抜け出していく。バイスの目的は明白で、山岳賞のポイントを積み重ねることであり、山岳ポイントをトップ通過すると、そのまま体力温存の為に先頭集団から離脱していく。

その背後では総合上位候補だったジェイ・ヴァイン（UAEチームエミレーツ）が下りで激しく落車を喫し、大きくタイムを失ってしまう。雨にぬれた路面は多くの選手たちの足元をすくい多くの落車が発生選手たちは慎重に走らざるを得ない。だからこそ逃げにチャンスが生まれることとなった。

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残り30㎞の時点で先頭の3人とメイン集団との差は2分半、しかしこの差がなかなか縮まらない。残り10㎞の時点で45秒差は、10㎞1分のセオリーでは射程圏内のはず、だが雨で濡れた路面に加え、追走も人数を減らしていたことで、運は逃げの3人に微笑むこととなる。残り1㎞を切っても40秒差は変わらず、先頭の3人は勝負へと突入していく。まず仕掛けたのはジー、しかしそれをコルトが捉え、デ・マルキが追い付く。こうなればもうスプリント勝負しかなく、スプリント力を有するコルトに軍配が上がった。

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「選手生活で一番しんどいステージだったよ。そんなステージで勝てたなんて最高だよ。何とか追走の集団を諦めさせたかったんだけど、その差がなかなか開かなくてね。だからずっと追い回され続けたので心中穏やかではなかったよ。こんなに一日中ピリピリしながら必死に逃げ続けたのは初めてだよ。」コルトは勝利の裏にあった緊張感を語った。

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このステージで総合トップ10にはイネオス・グレナディアスが4人という大所帯となった。

ジロ・デ・イタリアダイジェスト

ジロ・デ・イタリア第10ステージ順位
1位　マグナス・コルト（EFエデュケーション・イージーポスト）　　　4h51’15”
2位　デレック・ジー（イスラエル・プレミアテック）
3位　アレンサンドロ・デ・マルキ（ジェイコ・アルーラ）　　　∔02”
4位　マッズ・ペデルセン（トレック・セガフレド）　　　∔51”
5位　パスカル・アッカーマン（UAEチームエミレーツ）
6位　ステファノ・オルダーニ（アルペシン・ドゥクーニンク）
7位　ヨナタン・ミラン（バーレーン・ヴィクトリアス）
8位　マーク・カベンディッシュ（アスタナ・カザフスタン）
9位　ミルコ・マエストリ（エオロコメタ・プロサイクリング）
10位　フィリッポ・フィオレッリ（グリーンプロジェクト・バルディアー二CSFファイザネ）

ジロ・デ・イタリア総合順位
1位　ゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）　　　39h26”33”
2位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　∔02”
3位　タオ・ゲイガンハート（イネオス・グレナディアス）　　　∔05
4位　ジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）　　　∔22”
5位　アンドレアス・レクネサンド（チームDSM）　　　∔35”
6位　ダミアーノ・カルーソ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　∔1’28”
7位　レナード・カムナ（ボーラ・ハンスグロエ）　　　∔1’52”
8位　パヴェル・シヴァコフ（イネオス・グレナディアス）　　∔2’15”
9位　エドワード・ダンバー（ジェイコ・アルーラ）　　　∔2’32”
10位　サイメン・アレンスマン（イネオス・グレナディアス）　∔3’00”

H.Moulinette