ジロ・デ・イタリアに衝撃、総合リーダーで昨日の勝者エヴァネポエルがコロナ感染でリタイア、チーム独自判断で即時検査結果公表でリタイア選択、総合争いはログリッチVS イネオス・グレナディアス勢に
ジロ・デ・イタリア第9ステージを制し、総合リーダージャージを再度獲得したレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)が体調の異変を訴えたのはレース直後だった。風邪のような症状を訴えており、ルーティンとなっているコロナ感染の検査を受けた結果、陽性が判明しそのままリタイアが決まった。
実は3大ツールではコロナ検査はすでに義務ではなくなっており、陽性が出てもリタイアをしなければならないという事はない。しかし今は各チームがそれぞれ独自の判断で検査などを行っている。今回もステージ終了後に検査で陽性は分かっていたが、公表せず休息日の様子を見てリタイアを判断することもできた。しかしチームは即座に結果を公開し、リタイアを選択した。この週末のパフォーマンスを見る限り、本調子とは思えないところもあったことから、チームとしては「感染による健康状態の悪化によるパフォーマンスの低下」と結論付けて、チームとしては選手の健康最優先、感染者を増やさない、が早期の対応となったようだ。
これでエヴァネポエルは、おそらくツール・ド・フランスへと照準を変えてくるだろう。しかし問題は体調不良の回復にかかる時間だろう。選手達は薬などの摂取がドーピングとの兼ね合いで難しいため、原則休息をとってのリカバリーとなるのだが、とにかく一日も早い復帰を期待しよう。
今大会前にユンボ・ヴィズマで集団感染による選手の入れ替えが何度も行われたのは記憶に新しい。健康管理がピーキーなスポーツだけに、感染症というもののリスクは最大限に考えているのがロードレース界、その特性ゆえに対応可能な医療行為が限定されるだけに、こうした早めの判断をする勇気は評価したいところだ。
そして気になるのが総合争いだ。これで代わりに総合リーダーに躍り出るのがゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)だ。今現在トップ10に3選手が顔を揃え、トーマスとジロ覇者のタオ・ゲイガンハートがダブルエースとしてイネオス・グレナディアスを牽引する。そしてそれにプリモズ・ログリッチが挑む形となりそうだ。
しかしまずはこれ以上感染が広がらないこと、選手たちが健康であることを望みたい。
H.Moulinette