ジロ・デ・イタリア2023第6ステージ(ダイジェスト動画あり):僅か300mで大逃げならず!波のように押し寄せたスプリント勝負を制したのはペデルセンジロ・デ・イタリア2023第6ステージ(ダイジェスト動画あり):僅か300mで大逃げならず!波のように押し寄せたスプリント勝負を制したのはペデルセン
レースというのは時に非情なものだ。逃げ続けても、ゴールラインを先頭で通過しなければ168㎞のレースでスタート直後から逃げ続けたサイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック)とアレッサンドロ・デ・マルキ(ジェイコ・アルーラ)だったが、残りわずか300mでこの日のスプリント勝利を狙う猛者たちの波にのまれて行ってしまった。
そんな波の先頭でガッツポーズを決めて勝利したのはマッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)、ようやくの勝利に安どの表情を見せるとともに、これで三大ツール全てでのステージ勝利を達成した。今大会も2位と3位を獲得していたものの、勝利にはあと一歩手が届いていなかったが、ここへきてようやく本調子、ライバルたちを豪快に力でねじ伏せた。
ステージはスタート前のニュートラセクションでパンクが相次ぎ、波乱を予感させた。スタートから飛び出したのはクラークとデ・マルキを含む6名、後続のメイン集団とのタイム差は最大で5分半ほどまで広がる。アマルフィーの美しい海岸線を超えると、先頭ではクラークとデ・マルキが飛び出し、先頭の逃げは二人体制となる。実力も経験も豊富な二人はそのまま後続との差を2分半ほどで維持したまま逃げ続けた。
しかし終盤になるとメイン集団はスプリントへ向けて先頭の二人を捉まえるべくペースを上げていく。のこり10㎞で先頭の二人とメイン集団との差は1分。ロードレースでは10㎞い分の法則というものがあり、集団で追走する場合、10㎞で1分のタイム差を詰められるというものだ。それに当てはめれば逃げ切りか、つかまるかという紙一重の数字を現していた。
しかしここで勝利の女神はメイン集団に微笑む。向かい風が選手たちの脚を疲弊させたのだ。更には逃げ場のない2人に対し、集団は風を分断するような陣形とローテーションでペースを落とさない。それでも粘り続けた二人だったが、ゴールラインを目の前にその脚は限界を迎えていた。
飲み込まれていく二人をよそ眼にスプリントが始まる。最初に仕掛けたのはフェルナンド・ガヴィリア(モビスター)、それに合わせるかのように第2ステージ勝者のヨナタン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)、さらにはパスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ)、前ステージ勝者のカデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)が続く。僅差の力のぶつかり合いは、最後の末脚が伸びたペデルセンに軍配が上がった。ミランは2位、先に仕掛けたがヴィリアは5位に沈んだ。
「この勝利の為にここへ来たんだよ。最後は僅差だったけど、勝利は勝利だよ。正直逃げていた二人を捉まえられるかが本当に心配だったんだ。何とか最後に追いつけたけどね。チームが必死に追ってくれたおかげだよ。」ペデルセンはチームワークへの感謝を口にした。
総合上位勢はこの日は穏やかな一日を楽しんだ。
ジロ・デ・イタリア第6ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第6ステージ順位
1位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド) 3h44’45”
2位 ヨナタン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ)
4位 カデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)
5位 フェルナンド・ガヴィリア(モビスター)
6位 マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ)
7位 ヴィンチェンツォ・アルバニース(エオロコメタサイクリングチーム)
8位 マウリス・メイホファー(チームDSM)
9位 ロレンツォ・ロタ(インターマルシェ・サーカス・ワンティ)
10位 シモーネ・ヴェラスコ(アスタナ・カザフスタン)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM) 22h50’48”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) ∔28”
3位 オーレリアン・パレ・パントレ(AG2Rシトロエン) ∔30”
4位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) ∔1”00”
5位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) ∔1’12”
6位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) ∔1’26”
7位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・カザフスタン)
8位 トム・スクインス(トレック・セガフレド) ∔1”29”
9位 タオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアス) ∔1’30”
10位 ヴィンチェンツォ・アルバニース(エオロ・コメタサイクリングチーム) ∔1’39”
H.Moulinette