ジロ・デ・イタリア2023第4ステージ(ダイジェスト動画あり):今大会初の逃げ切り勝利!パレ・パントレがマッチレースを制してステージ勝利!ステージ2位のレクネサンドがマリア・ローザ奪取!
総合リーダーの証マリア・ローザ、誰もが一度は憧れるこのジャージに袖を通すことは人生を変える瞬間にもなる。総合優勝を狙う選手たちにとっては、このジャージを獲得することは通過点でしかないかもしれないが、そうではない選手たちにとっては一生に一度のスポットライトかもしれないのだ。そしてこのステージ、総合リーダーのレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)がこれを守るか譲るかに注目が集まったが、結果的には守り抜こうとしたが守り抜くことができず、僅かなタイム差でステージ2位のアンドレアス・レクセネサンド(チームDSM)がマリア・ローザを奪取することに成功した。
マリア・ローザ獲得とはならない代わりにステージ勝利を狙ったのが、オーリリアン・パレ・パントレ(AG2Rシトロエン)、2人でのスプリント勝負を余裕で制して念願のグランツール勝利を手に入れた。これで総合でも3位へと躍進した。
このステージは荒れた展開となる。序盤からアタックの応酬となると、エヴァネポエルやアルメイダまでもが追走を余儀なくされるなど、ハイペースで混沌とした展開が続いた。逃げがなかなか決まらなかったが、雨が降ったことと、前半の荒れた展開での消耗が激しかったこともあり、スタートから95㎞を超えあっさりと7人の逃げが確定した。7人は協調体制をとると、メイン集団をコントロールし続けるソウダル・クイックステップの猛追をしのぎ続けた。
先頭の逃げ集団の中で総合成績が最上位だったレクネサンドは、逃げ切りが確定的となると、今度はマリア・ローザ獲得という明確な目標を目の前に、残り4㎞で単独先頭に躍り出る。しかしそこはステージ優勝が欲しいパレ・パントレが単独馳走を仕掛け、残り2.9㎞で追いついてくる。こうなればもうマッチレースの状況、レクネサンドはステージ勝利よりも逃げの残党の後ろから猛追してくるメイン集団とのタイム差をできる限り維持するために必死にこぎ続ける。前に出る必要のないパレ・パントレはそれを理解し最後まで足を使わず、残り200mで一気に加速、勝利をかすめ取った。
ステージ勝利こそ逃したが、ノルウェイ人選手として初めてのマリア・ローザを獲得したレクネサンドは号泣、大会前に家族を失ったことで出場自体を思い悩み続けた男が、とてつもなく大きな仕事をやってのけた。
「ステージ勝利も狙っていたけど、マリア・ローザの事はわかっていたよ。一度はパレ・パントレを振り切ったんだけど、追いつかれてしまった時にはもう脚が限界だったんだ。総合リーダージャージ獲得はもちろん戦略として必ず誰もがねらうものだよ。出もレースは生き物、それは簡単なことではないんだ。でもこうして達成できてしまったことが本当に信じられない!」レクネサンドは誰もが夢見る最高の瞬間を達成して見せた。
ステージ優勝を挙げたパレ・パントレは、「今年の目標がジロだったんだ。もちろんステージ勝利を狙っていたし、こうして勝てたことは最高だよ。総合も狙ってはいたけど、まずはステージ勝利、レクネサンドと最後まで強調することが自分の勝利への近道だったんだよ。」と語り、双方がメリットがあると確信して共闘したことを語った。
ジロ・デ・イタリア第4ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第4ステージ順位
1位 オーレリアン・パレ・パントレ(AG2Rシトロエン) 4h16’04”
2位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM) ∔02”
3位 トム・スクインス(トレック・セガフレド) ∔57”
4位 ヴィンチェンツォ・アルバニース(エオロ・コメタサイクリングチーム)
5位 ニコラ・コンチ(アルペシン・ドゥクーニンク) ∔1’02”
6位 アマニュエル・ゲブレザビエ(トレック・セガフレド) ∔1’07”
7位 コーエン・ボウマン(ユンボ・ヴィズマ) ∔2’01”
8位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 エドワード・ダンバー(ジェイコ・アルーラ)
10位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM) 14h35’44”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) ∔28”
3位 オーレリアン・パレ・パントレ(AG2Rシトロエン) ∔30”
4位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) ∔1”00”
5位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) ∔1’12”
6位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) ∔1’26”
7位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・カザフスタン)
8位 トム・スクインス(トレック・セガフレド) ∔1”29”
9位 タオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアス) ∔1’30”
10位 ジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ) ∔1’36”
H.Moulinette