ヘント・ウェベルヘム2023:強いユンボ・ヴィズマ!ラポルトとファン・アールトがペア独走でワン・ツー、これでチームはクラシックシーズン早くも4勝目!ラポルテは初めてのビッグタイトル獲得
今年のユンボ・ヴィズマは強い、圧倒的な個の力と組織力のコンビネーションで勝利を積み重ねている。ステージレースでは言わずと知れた大黒柱のプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)がティレーノ・アドリアティコで総合優勝を果たし、そしてクラシックレースではこのレースでクリストフ・ラポルトとワウト・ファン・アールト(共にユンボ・ヴィズマ)が圧倒的な走りでライバルを圧倒、2人で抜け出しそのまま最後まで駆け抜けラポルテが譲られる形で勝利した。これでチームとして春のクラシック早くも4勝目、勝利を量産し続けている。
雨が降り肌寒いこの日のレースが動いたのは残り52㎞を残したケンメルベルグの上りだった。先に動いたファン・アールトに合わせるようにラポルトも飛び出し、二人はハイペースで石畳の上りを駆け上がって行く。早すぎるかに思われたこの動きだったが、悪天候など様々な要因が重なり追走のペースが一向に上がらない。それをわかっている2人はそのままペースを落とすことなく快走を続ける。タイムは縮まるどころか、どんどんと広がり続ける。
徐々に広がったその差は2分を超え、2人の優勝と2位は揺るがないものとなると、追走の集団は追うことを諦め3位争いへとシフトしていった。
残り1㎞を切りお互いの顔を見て話しあっていたのは、誰が先にゴールラインをかける抜けるかという事。ビッグタイトルだけにアールトがそのまま先にゴールするかに思われたが、結局ラポルトに勝利を譲り2位でゴールし、納得の表情を見せた。これでチームはオムループ・ヘット・ニウスブラッドに続くワン・ツー勝利。勝てる選手が顔を揃えてしっかりと勝ち切るというあたりが、このチーム、そしてここの選手の能力の高さを示しているだろう。昨年までのソウダル・クイックステップのお株を奪うような勝利の量産でクラシックシーズンを邁進中だ。
「行けそうだったから行っちゃったんだよ。ファン・アールトが”勝ちたい?”って聞いたから”勝ちたい”、って言ったんだよ。クラシックのようなビッグタイトルを取ったことがなかったからね。本当にファン・アールトには感謝しかないよ。正直ファン・アールトのペースについていくのは難しかったんだよ。でも彼のような最高レベルの選手と一緒にチームメイトとして戦えていることを誇りに思うよ。あと家にいない時間が長くて負担をかけてきたから、恩返しができたと思うよ。」
「E3の時のように上手くいくのはこのトップレベルのレースでは滅多にないから、とチームで話していたんだよ。でも今日は残り10㎞ぐらいで勝利を確信したよ。全てはこのチームの一員として戦えていることを誇りに思うよ。最高のチームワークだよ。」ラポルテは初めてのクラシックを制するとともに、チームワークがドはまりしていることを語った。
このレースでは3位争いも白熱した。3位に入ったのはかつてクラシックを制した事もあり、これが通算34度目のクラシックトップ10フィニッシュとなったセップ・ファンマルケ(イスラエル・プレミアテック)だ。34歳のベテランの勝負勘はまだ衰えていないようだ。4位にはフレデリック・フリソン(ロット・デスティニー)が入り、昨年度終了時点でワールドツアーから降格となった2チームの選手が続いた。
ヘント・ウェベルヘム2023
優勝 クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ) 5h49’39”
2位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
3位 セップ・ファンマルケ(イスラエル・プレミアテック) ∔1’56”
4位 フレデリック・フリソン(ロット・デスティニー)
5位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)
6位 ミケル・ビョルグ(UAEチームエミレーツ
7位 アレクシス・レナード(コフィディス) ∔2’04”
8位 オラフ・クーイ(ユンボ・ヴィズマ)
9位 ダニー・ファン・ポッペル(ボーラ・ハンスグロエ)
10位 ダニエル・マックレイ(アルケア・サムシック)
H.Moulinette