E3サクソバンククラシック2023:規格外のモンスター世代が直接対決のスプリント!新旧シクロ王者にフランツール覇者の直接対決はファン・アールトに軍配、ファン・デル・ポエルが2位でポガチャルは3位
最高峰のクラシック、モニュメントの一つヘント・ウェヴェルヘムの前哨戦ともいえるこの大会は、若き実力者たちがその実力を遺憾なく発揮して見せた。新旧シクロ世界王者とグランツール覇者という豪華すぎるスプリント勝負を制したのはユンボ・ヴィズマのクラシックハンター、スプリント力も備わっているワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)だった。これでチームは春先のクラシック早くも3勝目、変貌を遂げつつあるチームは、メジャーレースでの勝利を量産している。
動いたのは豪華な面子だった。今シーズンも絶好調、グランツールでの頂点を狙うタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)はクラシックでもリエージュ・バストーニュ・リエージュ、イル・ロンバルディア、ストラーデ・ビアンケなどで勝利しており、今年もクラシックで積極的な動きを続けて居る。そのポガチャルと共に動いたのは現シクロクロス世界王者のマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)。先日のミラノ・サンレモでも勝利したばかりで、クラシックだけで8勝を挙げている。そしてその最強ライバルであり続けるファン・アールトもクラシックで6勝、そんな3人が何度となく仕掛け、最後までドラマを演じ続けた。
204.1㎞のレースは80㎞以上を残した段階でファン・デル・ポエルがアタック、そこから激しく仕掛け藍が上りのたびに繰り返された。そして気が付けば残り57.5㎞で前出の3人に加え、クラシック覇者マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)らを加えた6人の逃げとなる。さらにそこからアタックの応酬が始まると、結局残ったのは規格外のモンスター世代、ファンデル・ポエル、ポガチャル、アールトの3人だけとなった。そうなればお互い手の内はわかっており、それぞれの勝利のために積極的な攻撃を仕掛けあうノーガードの撃ち合いとなる。
何度となく仕掛けたのはポガチャル、スプリントではファン・デル・ポエルとアールトに劣る為、仕掛けて抜け出すのが最善とばかりに攻撃の手を緩めない。ファン・アールトはそれに一度は対応しきれず後れを取るが、自力で二人に追いつき食らいつく。
そして残り1.3㎞、またしてもポガチャルがアタックを仕掛けると、それに対応したファン・デル・ポエルがスプリントを仕掛け先頭に躍り出る。しかしこれを冷静にファン・アールトが利用して自らもスプリントを開始する。こうなれば新旧シクロ王者の力と力の真っ向勝負、シクロクロス世界選手権では完敗だったファン・アールトが、ここでは鮮やかなスプリントで見事にライバルを撃破、嬉しい大会連覇となった。
「勝てたからこそ最高のレースだったと言えるよね。シクロでは勝ってたけど、僕だけこの3人の中で今年はロードでまだ結果を出せていなかったからね。でもこの勝利で調子が上向きだと言えるね。正直言ってこの面子だと力量が拮抗しすぎていて仕掛けられなかったよ。だからスプリントで狙っていたんだよ。スプリントに持ち込めたら勝てると確信はあったからね。あとは風向きが味方してくれたね。今回250mもスパートをしたのは、ここ何度かもっとギリギリまで粘ってスプリントをして勝ててなかったという教訓からだよ。」ファン・アールトはご機嫌に勝利を説明した。
E3サクソバンククラシック2023
優勝 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) 4h44’59”
2位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
4位 マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター) ∔33”
5位 イヴァン・ガルシア(モビスター) ∔44”
6位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ) ∔56”
7位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 ヴァレンティン・マドゥアス(グルーパマFDJ) ∔1’25”
9位 ソレン・クラー・アンデルセン(アルペシン・ドゥクーニンク) ∔1’31”
10位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)
H.Moulinette