ストラーデ・ビアンケ2023:MTB金メダル、シクロ元世界王者のオフロードの申し子ピドコックが圧巻の独走勝利!メイン集団から飛び出し、逃げを捉えそのまま20㎞独走勝利!
ストラーデ・ビアンケとパリ~ルーベという二つのレースは、それぞれ未舗装路と石畳というオフロード要素がふんだんに盛り込まれた特別なクラシックレースだ。その特殊性ゆえに、MTB出身、シクロクロス出身の選手たちのボディーバランスと走破テクニックが圧倒的な武器となる。特にストラーデ・ビアンケでは、ゼネク・スティバル(チームジェイコ・アルーラ)、マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・クイックステップ)やワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマヴィズマ)の3名の現役新旧シクロクロス世界王者も制しており、ティム・ピドコック(イネオス・グレナディアス)が「白い道」を制した4人目のシクロ王者となった。
残り50㎞を切りレースが一気に動き出すと、残り45㎞でピドコックは単独で先頭を逃げる3名の追走に入る。単独で先頭の3名との差をグングンと詰めていく。その背後でも激しい応酬は繰り広げられるが、脚を使いたくないが故の駆け引きは、ピドコックに有利に働くこととなる。身長170㎝、体重58㎏と小兵の部類に入るピドコックだが、MTBとシクロクロスで培ったボディバランスで、未舗装路のダウンヒル区間でバイクが左右に弾かれてもお構いなしに攻め続け、未舗装路を圧倒的なパワーで駆け抜けていく。僅か5㎞で先頭集団へと追いつくと、残り30㎞では逃げから2名が脱落しアレサンドロ・デ・マルキ(チームジェイコ・アルーラ)と二人となるが、残り20㎞ではそのデ・マルキをも振るい落とし単独走となる。
しかしその背後では、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ティス・ベノート(ユンボ・ヴィズマ)ら強豪が僅か20秒差に迫る。ここからのピドコックの一人タイムトライアル城遺体が圧巻だった。背後の追走集団は駆け引きを続けながら何度もそのタイム差を詰めていき、一時は7秒差と目と鼻の先にまで迫る。しかしここでも全く揺るがないピドコックは、残り5㎞を切りライバルたちの駆け引きを逆手にとって下りでまたしても加速、あっという間に30秒差にまで広げてしまった。
こうなると追走は追いつくためには脚を使わざるを得ない状況となり、駆け引きがさらに激しくなってしまった。これで勝負あり、ピドコックは余裕をもってシエナの街中の激坂を駆け上がり、ガッツポーズでゴールを通過した。
その背後ではヴァレンティン・マドゥアス(グルーパマFDJ)がべノートとの接戦を制して2位でゴール、クラシックレース3連勝を狙ったユンボ・ヴィズマはべノートの3位が最高位となった。4位には元世界チャンピオンのルイ・コスタ(インターマルシェ・サーカス・ワンティ)が入り、新天地で躍動した。
「正直仕掛けたのは予定外だったんだよ。でも勝負どころではあったから思いっきり仕掛けたんだ。そうしたら下りで後続と差が開いたので、そのまま行ってしまえと思ったんだよ。でもそのあと何度も真後ろまで迫られたから、いつ吸収されるかと肝を冷やしたよ。でも今日はハイペースバトルだったんで、追いつく側も大変だと思ってペースを上げ続けたんだ。」ピドコックは攻めの一手でライバル達を蹴散らし、イギリス人初の大会覇者となった。
「あと一部選手が逃げた時はなぜかモトバイクがその前をずっと走るんだけど、僕の時はそれがなかったのは不思議だよね。僕の時ももう少しアシストしてくれたらよかったんだけどね。」ピドコックは、レース中に不公平な動きがあったことを皮肉たっぷりにユーモアを交えて答えた。そのピドコックは40時間後にはティレーノ・アドリアティコでステージレースを狙う。
ストラーデ・ビアンケ2023
1位 ティム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) 4h31’41”
2位 ヴァレンティン・マドゥアス(グルーパマFDJ) ∔20”
3位 ティス・ベノート(ユンボ・ヴィズマ) ∔22”
4位 ルイ・コスタ(インターマルシェ・サーカス・ワンティ) ∔23”
5位 アッティア・ヴァルター(ユンボ・ヴィズマ)
6位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス) ∔34”
7位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス) ∔1”04”
8位 ロメイン・グレゴワール(グルーパマFDJ) ∔1’18”
9位 ダビデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ) ∔1’23”
10位 アンドレアス・クロン(ロット・デスティニー) ∔1’35”
H.Moulinette