UCI世界選手権2022エリートロード:ブエルタを制したエヴァネポエルが26㎞を独走勝利の圧勝!女子は4日前に落車肘骨折の39歳ファン・フルーテンが驚きの勝利!(ダイジェスト動画あり)


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調子のいい選手は躊躇することなく仕掛け、そして自らの得意な勝利の形へと持ち込んでいく。今シーズン引退する究極のオールラウンダー、クラシック、グランツール、ステージレース、そして世界選手権を制してきたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)の後継者となりうる男、レムコ・エヴァネポエル(ベルギー)が、クラシック、グランツール、ステージレースに引き続き、あまりにもあっさりと世界選手権をも同一年度内に制して見せた。今シーズン絶好調でその才能を大きく開花させたエヴァネポエルが、過去何度となく見せている独走勝利を世界選手権でも披露、圧倒的な走りで残り26㎞を独走して見せた。
ジュリアン・アラフィリップ(フランス)の大会3連覇を阻むとともに、新世代の台頭が間違いなく大きなうねりとなっていることを改めて示して見せた。これでエヴァネポエルは先週の個人TTでの銅メダルに続いての金メダル、今シーズンはまさにこの男を輝かせるためのものだった。結果所属チームで行けば、ドゥクーニンク・アルファヴァイニルが、アラフィリップの2連覇に引き続いてこれで3年連続で世界選手権ジャージのアルカンシエルをキープする形となった。

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「モニュメント、グランツール、世界選手権を一年ですべて制することができたなんて夢のようだよ!こんな年は二度と来ないかもしれないよね。今日は朝までパーティーだよ!」エヴァネポエルは今シーズン何度目かわからないうれし涙を流した。シーズンオフに結婚を控えており、最高のシーズンとなっていることは間違いない。
レースは残り58㎞でエヴァネポエルを含む25名の逃げが飛び出してあっという間に後続との差を広げる。エヴァネポエルを含む3名を送り込んだベルギーは盤石の体制でレースを展開する。さらに2名が後れ23名となった先頭集団から、集会コースの残り2周、残り34㎞を残してアレクセイ・ルチェンコ(カザフスタン)とエヴァネポエルが抜け出すことに成功する。あれだけエヴァネポエルを徹底マークしていたロメイン・バルデ(フランス)だったが、ここでエヴァネポエルの逃げを許してしまう。
さらには残り26㎞、最後の上りでエヴァネポエルは一気にルチェンコを置き去りにし加速していく。これで勝負あり、あとは個人TT状態でゴールまで独走、2分以上のタイム差をつけて鮮やかすぎる勝利を決め金メダルを獲得した。そして何度となく舌戦を繰り広げてきた伝説エディ・メルクスに「俺に記録にはまだ並べないけど、最高の勝ち方だった」と言わしめた。獲得標高4000m、266㎞を平均時速43㎞で走りぬくパワーは圧巻、駆け引きを強引にねじ伏せ独走へと持ち込む、まさに王者の走りを体現して見せた。

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2位争いは追走集団が残り1㎞に入り無駄な駆け引きで大失速、そこに猛然と追走してきたメイン集団がスプリントを開始、クリストフ・ラポルト(フランス)が銀メダル、地元マイケル・マシューズ(オーストラリア)が銅メダルを獲得した.
UCI世界選手権男子エリートロードダイジェスト

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UCI世界選手権男子エリートロードダイジェスト
金メダル レムコ・エヴァネポエル(ベルギー) 6h16’08”
銀メダル クリストフ・ラポルト(フランス) ∔2’21”
銅メダル マイケル・マシューズ(オーストラリア)
4位 ワウト・ファン・アールト(ベルギー)
5位 マッテオ・トレンティン(イタリア)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェイ)
7位 ピーター・サガン(スロヴァキア)
8位 アルベルト・ベッティオール(イタリア)
9位 イーサン・ハイター(イギリス)
10位 マティアス・ヤンセン(デンマーク)

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女子エリートでも水曜日のTTミックスリレーで落車、肘を骨折したアンナ・ファン・フルーテン(オランダ)が、出場だけでも驚きなのにも関わらず見事に鮮やかな勝利を挙げ、2度目の世界選手権制覇を39歳で成し遂げた。
163.4㎞のレースは13名のスプリントになると思われた。怪我を負っているファン・フルーテンはスプリントになれば不利なのは明白、そこで残り1㎞で渾身のアタックを仕掛ける。最後尾からがら空きになったコース右側を勢いよく駆け上がっていくと、まさかの展開に、ライバルたちの反応が遅れる。残り300mでも縮まらないその差、地力に勝るファン・フルーテンはそのままゴールまで駆け抜け最高の勝利を挙げた。

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「今はただ、誰かがこれがすべて夢だったと言いに来るのを待っているの。骨折した肘で、私は優勝候補ではなく”その他大勢”だった。でも今は世界チャンピオンよ!」ファン・フルーテンは笑顔で語った。対して2位に終わったカペッキはゴール後にハンドルをたたいて悔しがった。
UCI世界選手権女子エリートロードダイジェスト

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UCI世界選手権女子エリートロード順位
金メダル アンナ・ファン・フルーテン(オランダ) 4h24’25”
銀メダル ロッテ・カペッキ(ベルギー) ∔01”
銅メダル シルヴィオ・ペリシコ(イタリア)
4位 リアンヌ・リッペルト(ドイツ)
5位 セシル・ラドウィグ(デンマーク)
H.Moulinette