ブエルタ・ア・エスパーニャ2022St.21:エヴァネポエルが総合優勝!マスは2位、19歳アユソが3位!カラパズが山岳賞、ペデルセンがポイント賞、モラノがステージ勝利(ダイジェスト動画あり)
4連覇を狙ったプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)の落車リタイアの影響がなくとも、今大会最強の男はレムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル)だったかもしれない。今まで総合を狙うことがなかった最強曲者集団が、大きな転換を決断、来シーズンのジロ・デ・イタリアでの総合優勝のためのチームとしての戦略シミュレーションと大会開始前に話していたチームは、エースアシストのジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴァイニル)のリタイアなどもありながらも予想以上の働きを見せた。そしてそれ以上にエヴァネポエルが総合リーダージャージを獲得してから一度も失うことなく守り続け、予想をはるかに上回る総合優勝を果たした。また新人賞ジャージも獲得、若き世代が次々と台頭する時代へと突入している。
「ゴールしてこれで”正式”に勝者だね。これでようやくチームメイトみんなで喜びを爆発させられるよ。チームにとっても、僕自身にとっても、ベルギーにとっても新たな時代の1ページとなったよ。」エヴァネポエルは昨日の号泣から一転、安堵の表情でコメントした。
そのエヴァネポエルに迫ったのはエンリック・マス(モビスター)、いい走りを見せるも切れ味鋭あタックを決められるタイプではなかった。それでも毎ステージエヴァネポエルに食い下がり、タイム差を広げられることなくキープし続けた。チームメイトの大ベテラン、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)も山岳で輝きを見せ、最終的には総合13位と42歳が素晴らしいラストブエルタを楽しんだ。
総合3位に入ったのは2028年までの長期契約をUAEチームエミレーツとかわしたことでも話題となったホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)が入った。1904年の第2回大会で総合優勝を果たしたアンリ・コルネ(上位4選手たちが列車を使っていたことが発覚し失格処分で5位だったコルネが繰り上げ)以来の10代の表彰台獲得となった。もともと出場予定ではなかったが、シーズンでの好調さを買われての出場となったが、途中コロナ陽性(ウイルス量が少なく規定により出場継続)などにも見舞われたが、要所で大器の片鱗の垣間見せた。
総合優勝候補に名前が挙がっていたリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)だったが、優勝争いを早々と脱落してしまい、チームメイトの若きエースカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)のアシストをこなすこととなった。しかし自由を与えられた後半の山岳ステージで鮮やか、かつ力強い走りを披露し山頂ゴール、山岳ステージで3勝を挙げ、見事に山岳賞ジャージを獲得した。勝負所での嗅覚、そして総合上位のメイン集団に追走されようとも、それを振り切れるだけの脚力と脚質はまだまだ健在、来シーズンはEFエデュケーション・イージーポストへの移籍が決まっているが、来シーズンは総合優勝争いでその雄姿がまた見られそうだ。
ポイント賞ジャージはマッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)が獲得した。大会前半にサム・ベネット(ボーラ・ハンスグロエ)とログリッチの後塵を拝した男が、第13,16,19ステージで勝利を挙げるなど後半に一気にポイントを量産、ポイント賞争い2位に対して倍以上のポイント差をつけての圧勝だった。
チーム総合はUAEチームエミレーツ、安定して常にステージ上位に誰かが顔を見せ、常にステージ勝利に絡む選手がいる状況だった。チーム力の底上げは間違いなく進んでおり、いい人選で常勝軍団の仲間入りをした感がある。
ステージ優勝争いは、激しいスプリントの末、エーススプリンターのパスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ)をリードアウトするはずだったセバスチャン・モラノ(UAEチームエミレーツ)がアッカーマンを率いたまままさかのスプリント勝負、ポイント賞ジャージのペデルセンを抑えて見事に勝利を奪い取った。ペデルセンが2位、アッカーマンが3位で今大会を締めくくった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージ順位
1位 セバスチャン・モラノ(UAEチームエミレーツ) 2h26’36”
2位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)
3位 パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ)
4位 マイク・テウニッセン(ユンボ・ヴィズマ)
5位 ダニー・ファン・ポッペル(ボーラ・ハンスグロエ)
6位 カデン・グローヴス(バイクエクスチェンジ・ジェイコ))
7位 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 ライオネル・タミニオー(アルペシン・ドゥクーニンク)
9位 ベン・ターナー(イネオス・グレナディアス)
10位 セドリック・ビューレンス(ロット・ソウダル)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 レムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル) 80h26’59”
2位 エンリック・マス(モビスター) +2’02”
3位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +4’57”
4位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ・カザフスタン) +5’56”
5位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +7’24”
6位 サイメン・アレンスマン(チームDSM) +7’45”
7位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +7’57”
8位 ベン・オ・コナー(AG2Rシトロエン) +10’30”
9位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト) +11’04”
10位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +12’01”
H.Moulinette