ブエルタ・ア・エスパーニャ2022St.20:グランツール覇者の維持、カラパズがステージ3勝目と山岳賞、総合争いはエヴァネポエルに攻撃仕掛けられず事実上決着(ダイジェスト動画あり)
最後の山岳ステージ、大逆転や総合順位のジャンプアップを狙う選手たちにとっては、最後のチャンスだったが、レムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル)の牙城は高かった。ライバルたちの動きはことごとく見切られ、最後まで大きな差をつけることができずに事実上の終戦、エヴァネポエルが久しく誕生していなかったベルギー人グランツール覇者が確定的となった。ゴール後チームメイトたちと抱き合い涙するエヴァネポエル、また一人若き王者が明日最終日誕生する。「今までさんざん叩かれても来たんだ。それを結果できっちりと見返すことができたよ。」新王者のハングリー精神とメンタルの強さは、間違いなく王者のそれだろう。
そんな激しいステージで素晴らしい走りでステージ勝利を挙げたのはまたしてもリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)、総合から脱落してからステージ3勝を挙げる大活躍、本来エースであってもおかしくなかった男が、しっかり結果を残した。これで山岳賞も確定的となり、来シーズン移籍するEFエデュケーション・イージーポストでのグランツールエースのポジションは間違いなさそうだ。
181㎞と長丁場の最後の山岳ステージ、5つの山岳ポイントを擁するステージはスプリンター以外の選手たちにとって最後のチャンス、多くの選手たちが逃げ切りを目論みアタックを仕掛けた。すでに今大会で2勝を挙げているカラパズもその一人、山岳賞争いでもトップに立っており、それを確定させるためにもさらにポイントを積み重ねるべく逃げに乗った。
このステージ序盤はいくつもの逃げが段階的にメイン集団から飛び出していく。総合11位のルイ・メインチェス(インターマルシェ・ワンティ・ゴベール・マテリオー)、12位のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、さらにはヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ・カザフスタン)もそこに加わり、大きなジャンプアップを狙う。しかしメイン集団はクイックステップ・アルファヴァイニルがコントロール、大きな差を許さない。ロバート・スタナード(アルペシン・ドゥクーニンク)は先頭の逃げで山岳ポイントを積み重ね、カラパズに迫っていくが、レース終盤に向けて、山岳賞での逆転を阻止すべく、カラパズら追走の逃げが、先頭に合流を果たす。
カラパズとメインチェス、セルジオ・イギータ(ボーラ・ハンスグロエ)は先頭集団から飛び出し、3名でレース終盤の山岳へと突入していく。そしてラ・モルクエラ峠をカラパズは先頭で通過し、この時点で山岳賞を確定的とする。その後方ではエヴァネポエル、総合2位のエンリック・マス(モビスター)らのペースアップで、総合トップ10勢が後れを取るが、山頂通過後の下りで、何とか追いつき、大きな脱落はないまま最後の山岳へと向かう。
先頭ではメインチェスが脱落、そして最後の山岳ポイントを前にカラパズがアタックを決めイギータも脱落、これでカラパズは単独でゴールを目指すこととなった。その背後では、エヴァネポエルを大逆転することが困難となったこともあり、あとは総合順位を一つでもあげたい面々が仕掛けるが、決定だとはならない。逃げを吸収しながらペースを上げていき、カラパズを残すのみとなるが、その僅かなタイム差が縮まらなくなる。
カラパズの意地の走りは最後まで継続、見事3度目のステージ優勝を自らの力で掴んで見せた。そしてその背後ではサイメン・アレンスマン(チームDSM)がアタックを決め単独2位でゴール、その背後ではホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)がステージ3位でゴール、これで1904年以来となる10代での総合表彰台がほぼ確定的となった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージ順位
1位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) 4h41’34”
2位 サイメン・アレンスマン(チームDSM) +08”
3位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) ∔13”
4位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ)
5位 エンリック・マス(モビスター)
6位 レムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル) ∔15”
7位 ルイ・メインチェス(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)
8位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ・カザフスタン)
9位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) ∔17”
10位 セルジオ・イギータ(ボーラ・ハンスグロエ) ∔32”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 レムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル) 78h00’12”
2位 エンリック・マス(モビスター) +2’05”
3位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +5’08”
4位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ・カザフスタン) +5’56”
5位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +7’16”
6位 サイメン・アレンスマン(チームDSM) +7’56”
7位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +7’57”
8位 ベン・オ・コナー(AG2Rシトロエン) +10’30”
9位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト) +11’04”
10位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +12’01”
H.Moulinette