クラシカ・サン・セバスチャン2022:今シーズン勝利数伸びないクイックステップだが、エヴァネポエルが44㎞を独走勝利で曲者集団の面目躍如、ポガチャルお疲れ、早々脱落(ダイジェスト動画あり)


©Clasica San Sebastian
今シーズンは、過去3シーズンの合計ポイントで降格と昇格というシステムが導入される最初の年度、ここ数年間勝利数で圧倒的な優位を誇っていたクイックステップ・アルファヴァイニルだったが、今シーズンは苦しいシーズンが続いている。もちろんそれでも勝利やポイントは挙げており、常にワールドツアーではトップ3に君臨している。ツール・ド・フランスではステージ勝利こそ上げたが、印象的な存在感を残せなかったチームだが、クラシカ・サン・セバスチャンでは、その圧倒的な組織力と個々の力を改めて見せつけた。
逃げの9人を追ってメイン集団をコントロールしていたのはクイックステップ・アルファヴァイニル、この日の勝負を見越して早めにペースを上げ逃げを捉まえにかかる。あっという間に吸収され再編される逃げとメイン集団、その動きに世代最強の一人で、先日のツール・ド・フランスで総合2位となったタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)も犠牲となる。まだ疲れが抜けきらない中でのレースに加え、活発な動きはポガチャルの体力を容赦なく奪っていった。

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昨年度の2位、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)も得意の下りで動きを見せるが、これもクイックステップ・アルファヴァイニルが力でねじ伏せていく。そして残り46㎞、レムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル)が満を持してアタックを仕掛ける。淡々と上り続けるそのペースに、最初はサイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が対応するが、それも長く続かず残り44.6㎞でジワリとその差が広がる。そうなればもうここからはエヴァネポエルの独断場だった。後続の追走もクイックステップ・アルファヴァイニルが集団に蓋をしたことで機能せず、タイム差は大きく広がり独走勝利が確定した。
ゴールまでは沿道の観衆を笑顔と手ぶりで盛り立て、渾身のガッツポーズでゴール、成長著しい22歳は、19歳で勝利したこの大会で再び勝利の女神を抱き寄せた。
「今日は最高に調子が良かったんだよ。肉体的にも精神的にも最高の状態だったね。だから予定通りハイスキベルの上りで仕掛けたんだよ。このレースはあそこが山場で、あそこをいかにクリアするかで勝敗が決まるからね。あとは向かい風との勝負だったけど、そこは身を低くかがめてやり過ごせたよ。とにかく勝利できて本当にうれしいね。今日はチームメイトたちがシナリオ通りにお膳立てをしてくれて、予定通りの勝利ができたよ。最高の気分だね。」エヴァネポエルとチームは、戦略を見事に遂行して見せた。

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2位争いも熾烈を極めたが、抜け出したパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアス)が先着、それに続いてティス・ベノート(ユンボ・ヴィズマ)が入った。
クラシカ・サン・セバスチャン2022ダイジェスト
クラシカ・サン・セバスチャン2022順位
優勝 レムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル) 5h31’44”
2位 パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアス) +1’58”
3位 ティス・ベノート(ユンボ・ヴィズマ) +2’31”
4位 バウク・モレンマト(レック・セガフレド) +3’11”
5位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)
6位 サイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ) +3’28”
7位 トム・スクインス(トレック・セガフレド) +4’09”
8位 マティアス・イェンセン(トレック・セガフレド)
9位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージー・ポスト)
10位 ロレンツォ・ロタ(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)
H.Moulinette