ツール・ド・フランス2022St.21:シャンゼリゼを制したのはフィリップセン!総合優勝と山岳賞はヴィンゲガード!最強ライバルポガチャルは新人賞と総合2位!チーム総合はイネオス!


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今年のツール・ド・フランスは予想がむつかしいものでもあった。タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が最強なのはわかっていたが、そのライバルになりうるユンボ・ヴィズマのエースの1人、ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)の昨年度の躍進、総合2位が一過性ではなかったのか、そんな可能性が頭によぎったからだ。しかし結果はヴィンゲガードだけがポガチャルと真っ向勝負できるだけのポテンシャルを持った、新世代の総合系であることを明確に世界に示して見せた。
大会3連覇をヴィンゲガードに阻まれたポガチャルだが、総合2位で新人賞ジャージを獲得した。3連覇をの流してもまだ23歳という若さ、25歳のヴィンゲガードと共にグランツールで一時代を築いていきそうだ。この最終ステージでも果敢にアタックを見せるなど、そのモットーである「攻撃こそ最大の防御」をどこまでも貫いて見せた。

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ポガチャルを倒すため、と明確に銘打たれたユンボ・ヴィズマはとにかく強かった。総合優勝を狙えるプリモズ・ログリッチにヴィンゲガード、そして総合上位の実力があるスティーブン・クライズワイクらを筆頭に、クラシックレースでエースとなれるワウト・ファン・アールト、クリストフ・ラポルト、ティス・ベノート、さらには山岳スペシャリストのセップ・クス、そして平坦での牽引力に優れるネイサン・ヴァン・ホーイドンクと最強メンバーを揃えてきた。結果その通り今大会はユンボ・ヴィズマVSポガチャルとなり、チーム力でポガチャルを撃破する形となった。

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そしてその流れのままに山岳賞ジャージもステージ2勝を挙げたヴィンゲガードが獲得、さらにはステージ3勝を挙げたファン・アールトはポイント賞ジャージを記録的なポイント差で獲得するとともに、総合敢闘賞も獲得した。平坦スプリントステージ、山岳ステージ、個人TTとまさにオールラウンダーぶりを発揮し、今大会最も印象深い活躍を果たした。

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チーム総合はイネオス・グレナディアスが獲得した。各ステージのチームの上位3人のタイムを加算していくチーム総合は、大会序盤からイネオス・グレナディアスが独走し続けた。総合3位のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)は最終ステージもアタックを仕掛けるなど、ポガチャルとヴィンゲガードに一矢報いるべく時折攻めの姿勢を見せつつ、安定して毎ステージをこなし続けた。さらにはMTB金メダリストで現シクロクロス世界王者のトム・ピドコック(イネオス・グレナディアス)はステージ優勝を達成し、さらには長きにわたり総合トップ10を維持し続けるなど、躍動した。アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス)も総合10位に入り、TTではフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)が、山岳ではダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス)とコース地形に合わせて得意な選手が上位でゴールし続けた。

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最終ステージ、シャンゼリゼ通りでの最終決戦は、近年スプリンタードリームと呼ばれるほどスプリントバトルとなるが、この日は勝利に飢えた各選手たちが残り2㎞までアタックの応酬を繰り広げ続けた。ポガチャルやトーマスもそこに加わるなど、パレードステージの最終日らしく、沿道の観衆を最後まで盛り上げた。そして混沌としたまま迎えたスプリントは、早々と前に出されてしまったディラン・グローネウェーヘン(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)のスプリントに乗じて、逆サイドに大きく進路を広げ踏み込んだヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が今大会2勝目で大会を締めくくった。
コロナの影響もありわずか135名の完走に終わり、2000年の127名に次ぐ少なさとなった。しかしその内容は歴史に残るような大激戦のオンパレード、記録にも印象にも残る大会となった。
ツール・ド・フランス第21ステージ順位
1位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク) 2h58’32”
2位 ディラン・グローネウェーヘン(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
3位 アレクサンダー・クリストフ(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)
4位 ヤスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
5位 ピーター・サガン(ダイレクトエナジーズ)
6位 ジェレミー・ラクロック(B&BホテルズKTM)
7位 ダニー・ファン・ポッペル(ボーラ・ハンスグロエ)
8位 カレブ・ユワン(ロット・ソウダル)
9位 ユーゴ・ホフステッター(アルケア・サムシック)
10位 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)

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ツール・ド・フランス総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) 79h33’20”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +2’43”
3位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +7’22”
4位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +13’39”
5位 アレクサンダー・ヴラソウ(ボーラ・ハンスグロエ) +15’46”
6位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック) +16’33”
7位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +18’11”
8位 ルイス・メインチェス(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー) +18’44”
9位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・カザフスタン) +22’56”
10位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +24’52”
山岳賞:ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)
ポイント賞:ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
新人賞:タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
総合敢闘賞:ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
チーム総合:イネオス・グレナディアス
H.Moulinette