ツール・ド・フランス2022St.19:ツールはユンボ・ヴィズマのもの!ラポルトが絶妙のタイミングで飛び出し鮮やかな勝利!スプリンターたちをあざ笑うゴールスチール(ダイジェスト動画あり)
今大会一番目立ち続けているのは、間違いなくユンボ・ヴィズマだろう。打倒ポガチャルを目指した布陣と言いつつ、スプリント賞、山岳賞も今現在確保し、さらにはステージ勝利もこれで3選手で5勝目、圧倒的な存在感を示している。その3人目の勝者となったのはアシストのクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ)、パリ~ニースの第1ステージでワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)とプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)と共に逃げて先頭でゴールして以来の勝利、自身初のツール・ド・フランス勝利となった。
「勝ったなんて信じられないよ。今日はチームが僕を信じてくれたおかげだよ。ファン・アールトが、”今日は君の日だよ”って言ってくれたんだ。僕の役割はまず救済措置がある残り3㎞まで総合リーダーのヴィンゲガードを連れていく事だった。そして残り1㎞、先頭で逃げている3人との差が少しあったので、まずはそこ目指して飛び出したんだよ。それが勝因だね。今回のツールはチームが最高のツールを送っていて満足していたんだけど、チャンスをもらえてそして勝てた尚最高だよ。さらにフランス人として母国で勝てたことで、沿道の観衆も満足してくれたんじゃないかな。」ラポルテはチームの成功にさらなる上積みをして見せた。
今大会も多くのコロナウイルス感染者を出しているが、昨日レース中に突如体調不良となった総合11位のエンリック・マス(モビスター)がステージ終了後感染による体調悪化でこの第19ステージを前にしてリタイアとなった。188.3㎞のこのステージはスプリンター好みの平坦なステージ、残り数少ない勝利のチャンスに飢えた猛者たちが積極的な展開を進める。しかしこの日は逃げを容認したくないメイン集団の動きが活発で、なかなか展開自体が安定しない。そしてまたしても環境団体により一時レースが止まるハプニングがあったが、それもなんのその、アルペシン・ドゥクーニンク、バイクエクスチェンジ・ジェイコらチームがペースをコントロール、逃げ集団は常に手の届く範囲で推移する。
そして逃げが吸収された後の数少ない上りセクションの4級山岳で、予想外の動きが起きる。なんとその僅か前にパンクで追走を余儀なくされたタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がこの日もアタックを仕掛けたのだ。あっという間に鎮静化したとはいえ、攻撃の手を緩めない、隙あらば仕掛けるというスタンスは、この日も揺らぐことがなかった。
しかしこの動きが新たなアタックを生む。アレクシス・グジャール(B&BホテルズKTM)、フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)、ヤスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)らがチャンスとばかりに飛び出していく。追い風も味方につけた3人は、30秒ほどのタイム差を保ったまま展開、数を減らしているメイン集団も必死の追走を続ける。
そして残り1㎞、目の前の3人はそれでも諦めない。ただ集団もだれが牽引するのか混沌としており、その差は目と鼻の先で推移する。しかしこれをチャンスと見らラポルトは躊躇なくアタックを決め先頭の3人へと追いつくと、そこで一呼吸を置きライトのアタックの乗じて一気に加速、そのまま先頭に躍り出ると、追走をあざ笑うかの如く鮮やかな走りで背後の追走で起きたスプリント勝負を見ながらガッツポーズでゴールを果たした。
このステージもファン・アールトで勝負してくるだろうと思っていたライバルたちは、完全に虚を突かれた形となり対応できず、まんまと勝利を奪い去られてしまう形となった。ステージ2位にはヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)、3位にはアルベルト・ダイニース(チームDSM)とスプリンター勢が入った。またスプリントに参加したポガチャルもステージ5位に入っている。
ツール・ド・フランス第19ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第19ステージ順位
1位 クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ) 3h52’04”
2位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク) +01”
3位 アルベルト・ダイニース(チームDSM)
4位 フロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴァイニル)
5位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
6位 アマレイ・カピオ(アルケア・サムシック)
7位 ディラン・グローネウェーヘン(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
8位 ユーゴ・ホフステッター(アルケア・サムシック)
9位 ルーカ・メズゲック(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
10位 カレブ・ユワン(ロット・ソウダル)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) 75h45’39”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +3’26”
3位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +8’00”
4位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +11’05”
5位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック) +13’35”
6位 ルイス・メインチェス(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー) +13’43”
7位 アレクサンダー・ヴラソウ(ボーラ・ハンスグロエ) +14’10”
8位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +16’11”
9位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・カザフスタン) +20’29”
10位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +20’37”
H.Moulinette