ツール・ド・フランス2022St.13:勝負勘冴えわたる元世界チャンピオン、ペデルセンが逃げ3人でのスプリントで圧勝!デンマークスタートの今大会でまたしてもデンマーク人勝者(ダイジェスト動画あり)
デンマークをスタートした今年のツール・ド・フランス、母国スタートというのはデンマーク人選手にとっては大きなモチベーションとなっている。今現在総合リーダーのヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)に続き、今度は2019年の世界王者、マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)が逃げメンバーによるスプリントを制してステージ優勝を挙げた。ビッグタイトルを取った経験は、間違いなくその勝負勘に感じられる余裕の展開での勝利、力強くガッツポーズを決めた。
「ようやくツール・ド・フランスで勝利できたよ。自分のコンディションがよいのはわかっていたし、ここまでのステージ、第1週にチャンスを逃しているのもわかっていたからね。でもそんなに僕みたいなタイプの選手が勝てる機会は多くはないんだよ。うちのチームは総合系が弱いので、今回はステージ狙いできているから、勝ててほっとしているよ。正直、逃げに乗ったのは失敗だったかも・・・と何度も思ったよ。僅か1~2分のアドバンテージしかもらえなかったからね。でも結果的に逃げたことが大きな勝利をもたらしたよ。その分今日はとにかくきつかったよ。」ペデルセンはチャンスに賭けた思いを語った。
192.6㎞の長丁場のステージは、まずはフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)ら3人が逃げ、そこにペデルセンら4人が合流する形で、残り142㎞を残してようやく決まることとなった。この日はスプリンターチームのアルペシン・フェニックスとロット・ソウダルが積極的に集団のペースをコントロール、射程圏内に逃げをとどめる形で展開していく。しかし残り70㎞以上を残し、ロット・ソウダルが不運に見舞われる。チームのエーススプリンター、カレブ・ユワン(ロット・ソウダル)を含む複数の選手ががコーナーで落車してしまい、集団はアルペシン・フェニックスがコントロールすることとなる。ユワンは何とか復帰を目指すが、集団のペースはさらに上がっていく。そしてユワンはアルペシン・フェニックスのチームカーに牽引される形で復帰を目指すが、これが規定違反とみなされアルペシン・フェニックスはのちに罰金処分となる。昔はあった紳士協定は、今の時代ではルール下で明確に禁止される形となっており、ユワンはこの後自力で集団復帰を果たすが、その後上りで力尽きて脱落してしまった。
先頭の逃げは一人減り6人に、メイン集団ではコースのアップダウンでスプリンターが苦戦、それによりタイムは思ったように縮まらない。そして残り12㎞以上、2分半のタイム差を残し、メイン集団はこの日の追走を諦めた。すると即座に先頭ではペデルセンがアタック、フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)とユーゴ・ユール(イスラエル・プレミアテック)のみが対応、ガンナら3人はここで脱落してしまう。
こうなれば勝負巧者のペデルセンは、勝利経験の浅い二人に対して、常に優位な展開でレースを進める。常に視野を広く保ち、ライトとユールのアタックにも難なく対応、そして最後はユールに先頭を引かせタイミングを見計らうと、豪快にスプリントを決め、余裕をもって勝利を飾った。残り12㎞でライバルを削るためにアタック、そこからは一緒についてきたメンバーにもしっかりと仕事をさせ後続との差を広げ、最後はしっかりと勝利をもぎ取るという、思い描いた通りの勝利のシナリオを遂行して見せた。
総合勢はこの日は一休み、大きな動き無くステージを終えた。
ツール・ド・フランス第13ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第13ステージ順位
1位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド) 4h13’03”
2位 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 ユーゴ・ユール(イスラエル・プレミアテック)
4位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ) +30”
5位 マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター)
6位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)) +32”
7位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) +5’45”
8位 フロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴァイニル)
9位 ルーカ・モッツァート(B&BホテルズKTM)
10位 アンドレア・パスカロン(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) 50h47’34”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +2’22”
3位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +2”26”
4位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +2’35”
5位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +3’44”
6位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック) +3’58”
7位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +4’07”
8位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +7’39”
9位 エンリック・マス(モビスター) +9’32”
10位 アレクサンダー・ヴラソウ(ボーラ・ハンスグロエ) +10’06”
H.Moulinette