ツール・ド・フランス2022St.10:環境プロテストで途中中断ありのステージを制したのは、今大会逃げまくりのマグナス・コルト!逃げのカムナは総合ジャンプアップも惜しくも2位に!(ダイジェスト動画あり)
最近はめっきりと減っていたが、ツール・ド・フランスの「負の名物」として、レース途中でコースがデモ行進で塞がれるというものがあった。テレビに映ることを目的とし、世界90か国以上に生中継されているツール・ド・フランスを狙っての行動だが、今年はこの第10ステージで環境問題のデモ隊がコースを塞いだため、レースが途中でニュートラル化、中断されるという珍ケースとなった。
選手たちにとっては脚を止めることでの弊害が色々発生はするが、それでもレースはレース、ゴールを一番最初に駆け抜けたものが勝者となる。仕切り直しとなったレースは逃げ集団が何度となくアタック、分裂、吸収を繰り返し、最後はゴール前で先行していた4人に追いついたメンバーの中から、今大会連続山岳トップ通過の新記録を打ち立てたマグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)が爆発力を見せ、プロ初勝利を狙ったニック・シュルツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)を写真判定の僅差で破った。29歳の中堅にとってこれがグランツール8勝目となった。ゴール後には各選手がバタバタと座り込むほどに疲労困憊するハードなステージを制した男は、満面の笑みで自らの勝利を楽しんだ。
「信じられないよ!今日の逃げは最後の上り区間だけでも何度となく分裂と吸収を繰り返して、本当に難しかったんだ。だからゴール勝負に絡めるとは思ってもいなかったし、体も限界だったよ。でも今日はチームメイトのベッティオールが逃げにいてくれたおかげで、少し脚が休められていたのが勝因だよ。正直ゴールまで集団が一つになるとは露ほども思っていなかったよ。僕のようなタイプの選手にとっては、グランツールではステージ勝利こそが最高の栄誉だからね。」マグナス・コルトは饒舌に語った。
148.5kmのこの日のステージは25人の大所帯の逃げが発生、そこから何度となく分断が発生する。注目されたのは総合21位で逃げに乗っていたレナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ)、バーチャルでマイヨ・ジョーヌ、総合リーダーとなりそのままメイン集団より前でゴール、あとはマイヨ・ジョーヌを着用するタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がいつゴールするかを待つだけとなった。
そのポガチャルは二人目のアシストをコロナ陽性で失い、エースアシストのラファル・マイカ(UAEチームエミレーツ)も陽性ながらプロトコル上出走可能(過去に感染していた際のウイルスの痕跡と判断)も、常に自らの感染も気にしながらの苦しい状況、それでも毎ステージのように仕掛ける姿は、まさにすでに伝説になりつつある。このステージでもゴール前で最後に仕掛けてスプリント、ライバルたちに一秒でも差をつけようとする攻めの姿勢を貫いた。結果その走りはカムナの夢を儚い幻想へと変えてしまった。それでもカムナはこれで11秒遅れの総合2位へとジャンプアップ、今年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝と総合19位、そして昨日のツール第7ステージもあわや大金星という逃げを見せるなど、今シーズン大ブレイクしている一人とも言えるだろう。
また逃げに乗りステージ3位となったルイス・レオン・サンチェス(バーレーン・ヴィクトリアス)も総合で10位へとジャンプアップ、このステージでも積極的な走りを見せた大ベテランは、まだまだ衰え知らずな走りを見せてくれている。
ツール・ド・フランス第10ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第10ステージ順位
1位 マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト) 3h18’50”
2位 ニック・シュルツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
3位 ルイス・レオン・サンチェス(バーレーン・ヴィクトリアス) +07”
4位 マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター) +08”
5位 ディラン・ファン・バーレ(イネオス・グレナディアス) +10”
6位 ゲオルグ・ジマーマン(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー) +15”
7位 ベンジャミン・トーマス(コフィディス) +18”
8位 アンドレアス・レクネサンド(チームDSM) +20”
9位 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス) +22”
10位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 37h11’28”
2位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +11”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +39”
4位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +1’17”
5位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +1’25”
6位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +1’38”
7位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +1’39”
8位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +1’46”
9位 エンリック・マス(モビスター) +1’50”
10位 ルイス・レオン・サンチェス(バーレーン・ヴィクトリアス)
H.Moulinette