ツール・ド・フランス2022St.7:未舗装路の24%激坂を制しポガチャルがステージ連勝!ゴール5m手前で逆転されたヴィンゲガードが2位、カムナは逃げきれず大金星逃す(ダイジェスト動画あり)


©ASO
残り1㎞からのゴール勝負は、未舗装路、さらには最大24%の勾配と、総合上位を狙う選手たちにとっては、今大会初めての直接対決の場となった。各チームと選手たちが用心しながら最終局面を迎えるが、この日攻めの姿勢を貫いたのはアシストの層が薄いと言われ続けているUAE エミレーツとそのエース、総合リーダーでもあり大会3連覇を狙うタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)だった。残り800mまでラファル・マイカ(UAEチームエミレーツ)が渾身の引きを見せると、そこからの激坂未舗装路では、今度はエースが自らの信条、「攻撃は最大の防御」どうり、攻めの姿勢を貫いた。

©ASO
ポガチャルを振り落としたいライバルたちだが、ポガチャルに匹敵する走りができたのはヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)のみ、2人はペースよくゴールめがけて一気に駆け上がっていく。先行していたこの日最後の逃げの一人レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ)は、ジロ・デ・イタリアに続いてツール・ド・フランスでも大金星のステージ優勝を狙ったが、ゴール前150mでついに捉えられてしまう。カムナの脇を別次元の加速ですり抜けていくヴィンゲガードとポガチャル、ヴィンゲガードが最後の力を振り絞り加速するも、残り5mでポガチャルがヴィンゲガードを捉えステージ優勝、ガッツポーズでその強さを改めてライバルたちに示した。ヴィンゲガードはゴールラインを超えるとともにストップ、すべてを出し切ったが僅かに届かなかった。それでも今大会ポガチャルに対抗しうるのがヴィンゲガードであることを改めて示して見せた。

©ASO
「きついステージだったね。特に最後の未舗装路激坂区間はきつかったよ。特にヴィンゲガードがアタックを決めてからはね。今日は大会のルートが発表されてからずっと狙っていた特別な思い入れのあるステージだったんだ。さらにライバルたちにもさらにタイム差を広げられたのは大きいね。でもいくらタイム差をつけても十分ということはないよ。特にヴィンゲガードのようなクライマーがいる限りはね。」ポガチャルはライバルへの敬意を払いつつも、このステージでの勝利は狙い通りだったことを語った。

©ASO
ポガチャルとヴィンゲガードの背後では、プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)が3位でゴール、カムナは4位に入り、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)が5位でゴールを果たした。

©ASO
総合では大きな動きとなったこのステージ、ポガチャルから1分以内にはヴィンゲガードただ一人となり、総合10位のダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス)までが2分差以内となっている。イネオス・グレナディアスはいまだに4人をトップ10に残しており、まだまだこれからのステージで攻めのカードを切れそうな状況だ。しかし本格的な山岳ステージを前に、短い激坂で総合でこれだけ選手たちが絞られてしまう中、ポガチャルは余裕さえ感じるステージ連勝、総合リーダーの座を譲る気はなさそうだ。

©Eurorport
このステージでは面白いシーンも見られた。ルイス・メインチェス(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)がリアディレーラーに小石が詰まり、電動シフターがクラッシュモード(非常モード)に切り替わってしまい、結果激坂を自転車を押して上る羽目になったのだ。それでもゴール後には、「僕らアフリカ人はとっては走るのが好きなんだよ!」と、有名なクリス・フルーム(イスラエルプレミアテック)の自転車なしで坂を走って上ったあのシーンを引き合いに出して笑顔で答えた。「立ち止まって直すか、それとも押して走るかの選択を迫られたんだけど、僕はメカに強くないし、走ったほうが速いと思ったんだよ。」
ツール・ド・フランス第7ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第7ステージ順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 3h58’40”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +12”
4位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +14”
5位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)
6位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +19”
7位 エンリック・マス(モビスター) +21”
8位 ロメイン・バルデ(チームDSM)
9位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +29”
10位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +41”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 24h43’14”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +35”
3位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +1’10”
4位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +1’18”
5位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +1’31”
6位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +1’32”
7位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +1’35”
8位 ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト) +1’37”
9位 エンリック・マス(モビスター) +1’43”
10位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス) +1’55”
H.Moulinette