ツール・ド・フランス2022St.4:4度目の正直!ファン・アールトが独走でついに勝利!残り12㎞からのユンボ・ヴィズマの破壊力は圧巻、マグナス・コルトが連続山岳先頭通過の新記録(ダイジェスト動画あり)
「もうスプリントは嫌だったからね(笑)」オープニングステージから3連続でステージ2位だったワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)がついにその手に勝利を掴み取った。最後は飛ぶ鳥のポーズで余裕の独走勝利、遠かった勝利をようやく掴み取るとともに、総合リーダーの座は安泰、そしてポイント賞でも余裕の首位となっている。
ユンボ・ヴィズマは今大会、ファン・アールトでのステージ勝利とポイント賞ジャージ、そしてヨナス・ヴィンゲガードとプリモズ・ログリッチでの総合優勝という明確な目標をもって挑んでいるが、それを可能にしているのが豪華すぎるアシスト勢だ。そしてこのステージでその一端をライバルたちは痛いほど感じさせられる形となった。
逃げ続けていたアンソニー・ペレス(コフィディス)を視野に捉えた残り12㎞でのシャープな900mの上り、ここでユンボ・ヴィズマは一気に仕掛けた。アシスト勢の豪快なアシストのペースアップでメイン集団は木っ端微塵となる。アシストにけん引されファン・アールトはどんどんと加速する。それに反応できたのはアダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス)とヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)の二人のみ。アシストを労い、さらに加速して独走となったファン・アールトは、そのまま背後を確認すると得意の個人TTモードで一気に後続を突き放していく。追走は下りで徐々に一つになるが、そのタイム差は30秒以上にまで広がっていった。
このユンボ・ヴィズマのアタックでイネオス・グレナディアスはそれまで機能していた隊列が完全に崩壊、そして今大会3度目の総合優勝を狙うタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)は、アシストなく孤立した姿をさらしてしまう。圧倒的なユンボ・ヴィズマは、ファン・アールトの独走態勢を確認すると、ここからは追走集団のペースを抑え込む。
残り1㎞を切り、ファン・アールトとメイン集団は17秒差、猛追を仕掛けるも、ユンボ・ヴィズマがしっかりとその先頭を抑え込み、ファン・アールトはようやく勝利を挙げることに成功した。安堵の表情を浮かべたファン・アールトは「今日はチーム戦略だったよ。べノートとホーイドンクが牽引してくれて、無線でメイン集団が分裂してると聞いたので、これは行くしかないと思ったんだ。本当はあの頂上まで全力で仕掛けて集団を絞り込む予定だったんだけど、気が付いたら一人だったんだ。でもヴィンゲガードとA.イェーツは視野の中にいたんで、待つべきかどうか一瞬悩んだよ。でもヴィンゲガードに無理をさせる必要がなかったので、単独で行くことを決めたんだ。あとは残り10㎞の我慢だったよ。」と語った。ユンボ・ヴィズマはチーム力と組織力の差をまざまざと見せつけた。
その背後で行われたスプリントではヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が先頭でゴール、勘違いをしてガッツポーズを決めたが、2位でのゴールとなった。3位にはユンボ・ヴィズマのクリストフ・ラポルテが入り、アシストの層の厚さを見せつけた。
一度は完全に後れを取りかけたポガチャル、そしてA.イェーツとゲラント・トーマスのイネオス・グレナディアスコンビは、「僕の位置取りがまずかった、あれはミスだった。」としたが、ユンボ・ヴィズマがあくまでもファン・アールトの勝利にこだわったことでログリッチとヴィンゲガードがファン・アールト共に逃げなかったことで、救われる形となった。ポガチャルは楽観的に、ログリッチとヴィンゲガードはファン・アールトについていけなかったのだと予測しているが、これからのステージで真実が明らかになりそうだ。
そしてこのステージでは長いツール・ド・フランスの歴史の中で新記録が樹立された。EFエデュケーション・イージーポストのマグナス・コルトが、64年間破られてこなかった、山岳ポイント連続先頭通過の記録を更新したのだ。この4日間、569㎞の走行距離のうち、400㎞以上を逃げ続け、すべて先頭で山岳ポイントを通過してきた。この日一番最後の山岳ポイントでその記録は途絶えたが、11連続トップ通過は今後長らく破られない記録となりそうだ。
ツール・ド・フランス第4ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第4ステージ順位
1位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) 4h01’36”
2位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク) +08”
3位 クリストフ・ラポルテ(ユンボ・ヴィズマ)
4位 アレクサンダー・クリストフ(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)
5位 ピーター・サガン(ダイレクトエナジーズ)
6位 ルーカ・モッツァート(B&BホテルズKTM)
7位 ダニー・ファン・ポッペル(ボーラ・ハンスグロエ)
8位 ユーゴ・ホフステッター(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 マイケル・マシューズ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
10位 ベンジャミン・トーマス(コフィディス)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) 13h02’43”
2位 イブ・ランパート(クイックステップ・アルファヴァイニル) +25”
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +32”
4位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド) +36”
5位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) +38”
6位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +40”
7位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +41”
8位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +48”
9位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ)
10位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +49”
H.Moulinette