ツール・ド・フランス2022St.3:新天地で再スタートを切ったグローネウェーへンが涙の勝利、ファン・アールトは3日連続の2位も総合リーダーをキープで苦笑い(ダイジェスト動画あり)
2年前のポーランドで、生死の境をさまよったのが昨日勝利したファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴァイニル)、そしてその原因を作ったディラン・グローネウェーヘン(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)はネット上などで叩かれ続け、精神的にレースを継続するのが困難な状況にまでなったが、周囲のサポートもあり、新天地に活路を求めた。「レースをするのが怖い」とまで口にした男が、第3ステージ、写真判定でわずか1㎝の差で勝利を掴み取った。あの2020年の両者が、連日ツール・ド・フランスで勝利を挙げるという象徴的なステージとなった。
「本当に苦しかったよ。肉体的には調子は戻っていたんだけど、脳がリミッターをかけて勝負できない、ウェブの声が怖いという日々が続いたんだ。でもようやくここまで戻ってこれたよ。全てはサポートしてくれた家族とチームのおかげだよ。」グローネウェーヘンは大きく息を吐きながら語った。
コペンハーゲン、デンマークでの最終ステージは、予想通りのスプリントステージとなった。常に主導権を握り続けたのはクイックステップ・アルファヴァイニル、イネオス・グレナディアス、チームDSM、インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー、ロット・ソウダル、アルペシン・ドゥクーニンクらが次々と隊列を組んで主導権を握ろうとするが、揺るがぬトレインでコース左側を走り続ける。しかし最後の最後で落とし穴が待っていた。エースのヤコブセンは隊列の最後で最終局面に向けて位置取りをしていたが、目の前の選手がコーナーをうまくこなせずブレーキをかけてしまったことで失速、そのポジションを失ってしまう。
そうなればクリストフ・ラポルテ(ユンボ・ヴィズマ)の完璧なお膳立てでゴールに向かって一直線のワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)が圧倒的に優位かに思われた。しかしゴール直前でその背後から飛び出してきたグローネウェーヘンが絶妙のタイミングでバイクを投げ出し、ファン・アールトを僅かに逆転して勝利の雄たけびを上げるとともに、感極まり涙した。ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が3位に入り、ピーター・サガン(ダイレクトエナジー)はファン・アールトに文句を言いながら4位に入った。
「もう冗談にもならないよね。3日続けてツールのステージで2位って記録なんじゃない?」マイヨ・ジョーヌはキープしたが、またしても2位に終わったファン・アールトはため息交じりに苦笑いしながら語った。
ツール・ド・フランス第3ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第3ステージ順位
1位 ディラン・グローネウェーヘン(バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 4h11’33”
2位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
3位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 ピーター・サガン(ダイレクトエナジーズ)
5位 ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴァイニル)
6位 クリストフ・ラポルテ(ユンボ・ヴィズマ)
7位 アルベルト・ダイニース(チームDSM)
8位 ユーゴ・ホフステッター(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 カレブ・ユワン(ロット・ソウダル)
10位 ダニー・ファン・ポッペル(ボーラ・ハンスグロエ)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) 9h01’17”
2位 イブ・ランパート(クイックステップ・アルファヴァイニル) +7”
3位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +14”
4位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド) +18”
5位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) +20”
6位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +22”
7位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +23”
8位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +30”
9位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ)
10位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +31”
H.Moulinette