ジロ・デ・イタリア2022第18ステージ:スプリンターチームの計算ミス!逃げが最後まで逃げ切り!制したのはデ・ボンド!アルメイダコロナ感染でリタイア、ロペス痛恨の凡ミスでタイムロス(ダイジェスト動画あり)


©RCS
総合勢にとっては最後のバトルを前に安泰の一日、そしてスプリンターにとっては最後の本格的スプリントになる予定だった。しかしその予想は大きく裏切られる形となった。逃げ続けた集団を追うべきスプリンターチームは、揃ってアシストの脚を残したいという思惑がマイナスに働き、なんとゴールまでに逃げを僅かに捉えられないで終わるという計算ミスをしてしまった。それによりレースは逃げ続けたメンバーによるスプリント勝負となり、ドリエス・デ・ボンド(アルペシン・フェニックス)が人生を変えうる大金星を挙げた。そして総合争いでも昨日体調を崩しタイムを失い総合4位に転落したジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)が検査の結果コロナウイルスに感染が発覚、そのままリタイアとなった。更には総合9位につけていたホァン・ペドロ・ロペス(トレック・セガフレド)は凡ミスでメイン集団から分断されてしまい、怒り心頭のタイムロス、せっかくアルメイダリタイアで手に入れた新人賞ジャージを、残り数ステージで失いかねない大きなタイムロスとなった。

©RCS
予想外はいつでも起きうる、これがロードレースの常だ。そしてこのステージでもそれが起きることとなった。156kmのショートステージはデ・ボンド、マグナス・コート(EFエデュケーション・イージーポスト)、エドアルド・アフィニ(ユンボ・ヴィズマ)、ダビデ・ガブロ(バルディアーニCSFファイザネ)の4人が飛び出す展開となる。追走の集団は、エースを失いモチベーションを失いながらもフェルナンド・ガヴィリアで勝利が欲しいUAEチームエミレーツ、ポイント性がすでに確定的なアルノー・デマール擁するグルーパマFDJ、マーク・カベンディッシュでもう1勝狙いたいクイックステップ・アルファヴァイニル)、アルベルト・ダイネーゼがステージ2勝目を狙うチームDSMらが集団先頭で推移、逃げとの距離を一定に保ち続ける。

©RCS
ここで大きな誤算が発生する。逃げのメンバーが完璧な協調体制を取り続け、周回コースに入ってもペースが安定し続けたのだ。距離が短いことも幸いし、逃げのメンバーは逃げ切りが徐々に赤信号から黄信号に変わっていくのを感じていた。更に追走のメイン集団は、通常とは逆の「主導権を握りたくない」という思いが一致してしまい、追走のペースが上がらない。逃げ切りが紙一重の状態が続き、メイン集団はこのままでは先頭の4人を捉えられないと焦り、残り10kmを切り急激にペースを上げようとするが、時すでに遅し。そして残り1kmを切りタイム差は22秒と逃げ切りの勝利が確定的となる。

©RCS
こうなれば先頭の4人は余裕を持って駆け引きをし、誰もが喉から手が出るほど欲しいステージ勝利目指しスプリントを開始した。最後は30歳の中堅デ・ボンドが力でアフィニを振り切り念願のステージ勝利を上げた。これがデ・ボンドにとって初のグランツールステージ勝利、そしてチームにとってはこれが今大会3勝目となった。元ベルギーチャンピオンでありながら大きな勝利のなかったデ・ボンドにとって派とテウもなく大きな勝利となった。「とにかく協調性が崩れなかったんだよ。最後まで皆自分の番を飛ばすことなくローテーションし続けたんだよ。最後まで常に全開で駆け抜けたよ。どの新聞でも今日はスプリント勝負と書いてあって、有力スプリンターの争いになるって書いてあったからね。正直「くそくらえ」って思ってたんだよ。だから一泡吹かせようと皆で協調したんだ。」デ・ボンドを含む逃げの反骨心がドラマチックな展開を最後のスプリントステージに用意していた。
ジロ・デ・イタリア第18ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第18ステージ順位
1位 ドリエス・デ・ボンド(アルペシン・フェニックス) 3h21’21”
2位 エドアルド・アフィニ(ユンボ・ヴィズマ)
3位 マグナス・コート(EFエデュケーション・イージーポスト)
4位 ダビデ・ガブロ(バルディアーニCSFファイザネ)
5位 アルベルト・ダイネーゼ(チームDSM) +14”
6位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
7位 デビデ・チモライ(コフィディス)
8位 マーク・カベンディッシュ(クイックステップ・アルファヴァイニル)
9位 フェルナンド・ガヴィリア(UAEチームエミレーツ)
10位 シモーネ・コンソーニ(コフィディス)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) 76h41’21”
2位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +3”
3位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’05”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ・カザフスタン) +5’48”
5位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス) +6’19”
6位 ヤン・ヒルト(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) +7’12”
7位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +7’13”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー) +12’30”
9位 ホァン・ペドロ・ロペス(トレック・セガフレド) +15’04”
10位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト +17’03”
H.Moulinette