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本格山岳バトルは常に駆け引きとなる。昨日のサイモン・イェーツ（バイクエクスチェンジ・ジェイコ）がそうであったように、この日も事前の予想では総合上位候補だったギウリオ・チッコーネ（トレック・セガフレド）が攻めの走りを披露、状況は違えどステージ優勝に切り替えた実力者がステージを制した。ゴール後には歓喜の男泣き、プレッシャーの中で結果を残すことの大変さ、そしてそれができることが強者への道であることを自ら示して見せた。

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177㎞の山岳ステージは波乱の幕開けを迎える。スタートからわずか6㎞、集団で落車が発生し、マリア・ローザのリチャード・カラパズ（イネオス・グレナディアス）が草むらに転がる。しかし大きな怪我はなく集団に復帰することができた。そしてそこから複数のアタックが繰り返されるが、容認には至らない。それが落ち着いたのは残り100㎞を切り、ようやく22名の大所帯が容認された。総合上位に脅威のない選手たちばかりとなったことで、メイン集団は逃げを見送ったが、ステージ勝利狙いに切り替えた強豪がこの逃げに乗ることに成功した。そしてそこにさらに追走が合流し、最大で逃げは28名にまで膨れ上がった。

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バウク・モレンマとチッコーネ（ともにトレック・セガフレド）、ヒュー・カーシー（EFエデュケーション・イージーポスト）、さらにはマシュー・ファン・デル・ポエル（アルペシン・フェニックス）もこの逃げに乗り、さらなる勝利を目指す。しかし逃げは大所帯となったことでペースが上がらず、追走のメイン集団とのタイム差は大きくは広がらない。しかし山岳賞ジャージを着用するディエゴ・ローザ（エオロ・コメタ）が最初の山頂を目指しアタックを仕掛けると、パラパラと脱落者が出始める。さらにその山岳賞を狙うコーエン・ボウマン（ユンボ・ヴィズマ）が単独アタック、頂上をトップ通過するとバーチャルで山岳賞ジャージを奪うことに成功する。そしてそのまま追走してきたファン・デル・ポエルらが合流し、逃げから抜け出した3人は後続に1分半以上の差をつける。その背後ではマラウイ・クドゥス（EFエデュケーション・イージーポスト）がカーシーの為にペースアップ、それにより先頭を追う追走集団も8名にまでその数を減らす。

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2つ目の山岳で追走集団のチッコーネはペースアップ、サンティアゴ・ブイトラゴ（バーレーン・ヴィクトリアス）らを引き連れ先頭に合流を果たす。この段階では追走しきれなかったカーシーもその後数名を引き連れ合流する。先頭集団はも脱落者も生み出し再編され6名となる。そして残り25㎞で迎えた最後の山頂ゴールへの上りでチッコーネがアタックを仕掛ける。これに反応できたのはカーシーとブイトラゴのみ、しかしそのブイトラゴも残り20㎞で脱落、カーシーとチッコーネの一騎打ちとなる。だがブイトラゴの脱落からわずか2㎞、残り18㎞でチッコーネは再度アタックを仕掛け、最後まで粘っていたカーシーをも脱落させた。

チッコーネはそのまま最後まで独走を続け、ガッツポーズで勝利を決めた。その背後ではマイペース走法でカーシーを交わしたブイトラゴがステージ2位でゴール、ゴール後のインタビュー中に悔し涙を流した。カーシーはその後アントニオ・ペドレロ（モビスター）にも交わされステージ4位に沈んだ。

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「最後ののぼりは上り始めが急こう配だったんだよね。だからそこで単独になれば、最後まで行けると踏んでいたんだ。まあ単独でなくとも人数は大幅に減らせると思っていたからね。あの段階で仕掛けることが僕のベストだったしね。この勝利は間違いなく今までの中で最も最高の瞬間だったよ。ツール・ド・フランスでのマイヨ・ジョーヌ以上の価値が僕にとってはあるよ。」チッコーネは感極まりながらこの勝利の重みを口にした。

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休息日を前に総合上位勢に大きな動きはなく、カラパズは総合リーダージャージをキープ、落車に関しても「擦り傷だけで大丈夫」、と語っており、問題はなさそうだ。この日唯一総合上位勢で動いたのはギヨーム・マルタン（コフィディス）、トップ10返り咲きとなった。

ジロ・デ・イタリア第15ステージダイジェスト

ジロ・デ・イタリア第１５ステージ順位
1位　ギウリオ・チッコーネ（トレック・セガフレド）　　　4h37’41”
2位　サンティアゴ・ブイトラゴ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　　＋1’31”
3位　アントニオ・ペドレロ（モビスター）　　　　＋2’19”
4位　ヒュー・カーシー（EFエデュケーション・イージーポスト）　　　　＋3’09”
5位　マルティン・ツヴェルド（チームDSM）　　　＋4’36”
6位　ルーカ・コヴィッリ（バルディアー二CSFファイザネ）　　　　　＋5’08”
7位　ナタナエル・テスファシオン（ドローンホッパー・アンドローニ・ジョカットリ）　　　＋5’27”
8位　バウク・モレンマ（トレック・セガフレド）
9位　 ハイス・レームレイゼ（ユンボ・ヴィズマ）
10位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　＋6’06”

ジロ・デ・イタリア総合順位
1位　リチャード・カラパズ（イネオス・グレナディアス）　　　63h06’57”
2位　ジェイ・ヒンドリー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋7”
3位　ジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）　　＋30”
4位　ミケル・ランダ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋59”1
5位　ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ（インターマルシェワンティゴベール・マテリオー）　　　＋1’01”
6位　ペッロ・ビルバオ （バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋1’52”
7位　エマニュエル・ブッフマン（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋2’58”
8位　ヴィンチェンツォ・ニーバリ（アスタナ・カザフスタン）　　　＋2’58”
9位　ペドロ・ホァン・ロペス（トレック・セガフレド）　　　＋4’04”
10位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　＋8’02”

H.Moulinette