ジロ・デ・イタリア2022第14ステージ:総合バトルがついに勃発!しかしステージを制したのは総合脱落でステージ狙いのS.イェーツ!総合リーダーの証、マリア・ローザはカラパズに!(ダイジェスト動画あり)


©RCS
スプリンターやパンチャーのためのステージが続いていた中で、ようやく本格的な山岳バトルが開幕した。今大会最短の147㎞のステージは激しい削りあいとなり、最後に笑ったのは今大会での総合を諦めステージ優勝狙いに切り替えたサイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)だった。そして総合上位勢も大シャッフルが発生、ステージ3位に入ったリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)が総合リーダーに躍り出てマリア・ローザを獲得、そして総合でも大きくタイム差が開き、総合10位のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)とのタイム差が1分23秒から9分06秒にまで広がり、総合表彰台争いは一気に絞られることとなった。

©RCS
今大会最短ながら、獲得標高が3000mを超える激しいバトルはスタート直後から激しいアタックが繰り返された。マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)らがアタックを決めるが、僅か14㎞で集団はそれを吸収してしまう。そしてその後もアタックが繰り返されたが、なかなか決め手に欠ける動きが続く。そんな中残り80㎞でボーラ・ハンスグロエが攻撃に出る。ウィルコ・ケルデルマン、エマニュエル・ブッフマン、さらには総合4位のジェイ・ヒンドリーが猛烈なペースアップ、総合系としての能力も高い3人の攻撃は破壊力抜群だった。
バルベルデはこのアタックに苦しみ、脱落してしまうが、それ以外の総合上位の選手たちは何とかこれに対応する。そして残り65㎞では総合上位勢のカラパズ、ヒンドリー、ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)ら12名の選手たちに絞られる。総合リーダージャージを着用するホァン・ペドロ・ロペス(トレック・セガフレド)もなんとかここにその姿を残している。

©RCS
それでもボーラ・ハンスグロエは容赦なく攻め続け、攻撃の手を緩めない。残り32㎞でようやくケルでルマンが牽引を止めると、今度はヒンドリーがアタックを仕掛ける。さらにはカラパズも攻撃の姿勢を見せ、ついにマリア・ローザのロペスが脱落する。そして残り28㎞で再びカラパズがアタック、独走態勢となる。しかし追走の総合上位勢も全く手を緩めず、20秒ほどのタイム差で追走を続ける。

©RCS
残り15㎞で、今大会久しぶりの好調さをみせているヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ・カザフスタン)がペースアップ、これに反応出来たのはヒンドリー、さらにはS.イェーツが合流、先頭のカラパズも捉えられ4人となった。それでも各選手は攻撃の手は緩めずハイペースで展開する。追走のポッツォヴィーヴォやアルメイダはこれに対して後手に回る。
残り5㎞、S.イェーツが満を持してアタック、カラパズらは総合順位には影響のないS.イェーツを無理して負うことはせず、これで勝負あり、ゴールまで独走し続けたS.イェーツが鮮やかなステージ勝利をガッツポーズで締めくくった。

©RCS
その背後ではボーナスポイントをめぐるスプリントが勃発、ヒンドリーがカラパズとニーバリを抑え2位、これで総合でも2位となった。5位以降はポッツォヴィーヴォ、アルメイダと順にゴールし、総合上位がシャッフルされる形となった。昨日までの総合リーダーのロペスは粘りの走りを見せステージ10位でゴールするも、4分以上のタイムを失い総合でも9位と順位を下げた。

©RCS
「序盤に逃げを形成しようと何度か動いたんだけど、危険だと思われたのか許されなかったんだよね。だから作戦を変えざるを得なかったんだよ。でもボーラが仕掛けてくれて助かったね。その流れに便乗して後はベストを尽くすだけだったよ。この結果は大会後半で総合順位にまた影響を及ぼすかもしれないから大事だったんだよ。これで僕にとっては通算ステージ6勝目になったね。」S.イェーツは総合表彰台へのかすかな願いを繋ぎながら、ステージ勝利をさらに狙っていきそうだ。
ジロ・デ・イタリア第14ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第14ステージ順位
1位 サイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 3h43’44”
2位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +15”
3位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ・カザフスタン)
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー) +28”
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +39”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +51”
8位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’10”
10位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド) +4’25”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) 58h21’28”
2位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +7”
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +30”
4位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +59”1
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー) +1’01”
6位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス) +1’52”
7位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’58”
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ・カザフスタン) +2’58”
9位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド) +4’04”
10位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +9’06”
H.Moulinette