ジロ・デ・イタリア2022第12ステージ:プロ初勝利目指す3人でのスプリントを制したのはオルダ二!2011年のウェイラント追悼のステージでフレッシュな顔ぶれが躍動(ダイジェスト動画あり)
2011年のジロ・デ・イタリア、ワウテル・ウェイラントがダウンヒルセクションで落車、そのまま命を落とした。そしてその場所へジロが帰ってきた。ウェイラントの追悼ステージともなった第12ステージを制したのは、当時を知るベテラン勢ではなく、あの時はまだ小学生だったステファノ・オルダニ(アルペシン・フェニックス)だった。プロ初勝利を目指した3人によるスプリントを制し、今大会イタリア人選手による2勝目を挙げた。
あの事故を覚えている人もいるだろう。グランツールでの安全問題が再提起される結果となったあのステージ以降も、高速化するレースでの選手達の身の安全は避けようのない課題として常に議論され続けている。1秒を争う勝負の世界はリスクと隣り合わせであることを改めて実感する中、選手たちはこの日も激戦を繰り広げた。204kmのこのステージはスタートから高速で推移し、逃げが決まるまでに60kmを要した。この日の逃げは20名以上の大所帯、更には総合系ではすでに大きくタイムを失っているウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ)とルーカス・ハミルトン(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)しかおらず、メイン集団はこの逃げを容認した。
そしてここにアルペシン・フェニックスはオルダニ以外にもエースのマシュー・ファン・デル・ポエルとオスカル・リーゼビークを送り込んだことが戦略的に大きかった。誰もがファン・デル・ポエルで勝利を狙っているとその視線が集まる中、残り50kmの2つ目の山岳でロレンツォ・ロタ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)が山頂まで9kmを残して逃げ集団からアタック、これに反応したのがオルダニとハイス・レームレイゼ(ユンボ・ヴィズマ)だった。
追走したのはケルデルマン、ハミルトンらだが、そこにファン・デル・ポエルが入ったことで、アルペシン・フェニックスとしては最高の状況が揃った。ファン・デル・ポエルを先頭まで連れて行きたくないことで追走のペースは上がらない。もし先頭まで連れていけばオルダニがアシストとなり、ファン・デル・ポエルは脚を休めながらゴール勝負に専念することができてしまう。そんな状況を作りたくないという思惑が、先頭の3人に最後の山頂をタイム差を保ったまま越させてしまう。大きなタイム差ではないが、追走も人数を減らし4名となり、人数がいないためタイム差は思ったように詰まらない。それどころからそれぞれが初優勝を狙う3人は協調体制を取り、ペースを上げていく。
詰まりそうでつまらない40秒ほどのタイム差に追走の4人は残り2kmでギブアップ、そして先頭は残り900mでまずレームレイゼが仕掛ける。しかしこれはオルダニが猛追し捉える。3人は牽制をしたまま残り200mで真っ向勝負のスプリントとなる。最後はオルダニがロタを上回り勝利を掴んだ。
「ロタは友達だから力量がよくわかっていたんだよ。速いのもわかっていたしだからマークしていたんだよ。もう一人(レームレイゼ)は力量が全くわからなかったんだよね。どうなるかわからなかったんだけど、勝ててよかったよ。やっぱりファン・デル・ポエルがいてくれたことが大きかったよ。皆彼を注意していたからね。」オルダニはチーム戦略がハマったことを喜んだ。
総合ではケルデルマンとハミルトンが順位を上げたが、トップ10には届かず脅威にはならなかった。ロペスはこれで9日間マリア・ローザを守り続けることとなった。「ステージ勝利を狙うことを目標に来たけど、それを上回るマリア・ローザ獲得と9日間着用続けていることは夢のようだよ。」ロペスがどこまでこのジャージを守り続けることができるかが楽しみだ。
ジロ・デ・イタリア第12ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第12ステージ順位
1位 ステファノ・オルダニ(アルペシン・フェニックス) 4h26’47”
2位 ロレンツォ・ロタ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)
3位 ハイス・レームレイゼ(ユンボ・ヴィズマ) +02”
4位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +57”
5位 サンティアゴ・ブイタラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ)
7位 ルーカス・ハミルトン(バイクエクスチェンジ)
8位 アンドレア・ヴェンダラメ (AG2Rシトロエン) +1’44”
9位 レイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) +1’49”
10位 パスカル・エーンクホーン(ユンボ・ヴィズマ) +2’55”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド) 51h19’07”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +12”
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
4位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +14”
5位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +20”
6位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +28”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +29”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー) +54”
9位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’09”
10位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス) +1’22”
H.Moulinette