ジロ・デ・イタリア2022第11ステージ:ダイネーゼが強豪を背後からごぼう抜きでスプリント勝利の大金星!昨日勝利のギルメイは未出走(ダイジェスト動画あり)
昨日ステージ優勝を上げたギルメイが、表彰式でシャンパンのコルク栓が眼球を直撃し、眼圧が上がるレースでは危険が増すとの判断からリタイアを余儀なくされた。そんな第11ステージは、スプリンターたちにとっては、残り数少ないピュアスプリンター向けのこのステージ、各チーム隊列を組んでゴール勝負に挑んだ。しかし結果大荒れのカオスな展開となり、アルベルト・ダイニース(チームDSM)が大金星を上げる結果となった。
平坦ステージはスプリンターとスプリンター系のチームにとっては数少ないチャンス、グランツールの勝利は人生を変えると言われるだけに誰もが喉から手が出るほどほしい勝利だ。昨日は黒人系アフリカ人初のステージ勝利という歴史的な一日になったが、この日も貪欲な選手たちが下剋上を目指した。203kmの長丁場だが、逃げ切りの可能性が薄いこともあり各チーム積極的な動きが発生しない。そんな中今大会何度となく逃げているフィリッポ・タグリアーニ(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)が、スポンサーに対して強烈なアピールを続けるでルーカ・ラステッリ(バルディアーニCSFファイザネ)と共に抜け出していく。
最大で4分半ほどまでタイム差は広がるが、この日はスプリンターチームが早めの追走でこの二人を残り92kmで掴まえてしまう。そして小康状態のままレースが展開し、残り58kmでようやく次の動きが発生する。ベルギーチャンピオンのドリエス・デ・ボンド(アルペシン・フェニックス)が飛び出すと、ここから一人旅を続けることとなる。デ・ボンドはなんと残り1km手前まで逃げ続けたが、最後の最後にペースが上がってきたメイン集団に飲み込まれていった。
当然この日のスプリントも位置取り争いが重要となる中、ポイント賞争いをリードするアルノー・デマール擁するグルーパマFDJが主導権を握るかに思われた。しかしこの日は主導権を取り切れたチームはなかった。クイックステップ・アルファヴァイニルは早めにアシストが失われてしまい、モロコフとカベンディッシュのコンビが早めに先頭に送り出されてしまう。これでは数の優位は作れずあれた展開のままスプリントが始まる。
優位に思われたデマールだったが、フェルナンド・ガヴィリア(UAEチームエミレーツ)の豪快なスプリントに屈した。しかしそのガヴィリアさえ上回ったのはダイニース、カベンディッシュと並走する位置から、目の前のライバル、シモーネ・コンソーニ(コフィディス)のスリップストリームを活用し空気抵抗軽減、巧み名走りで最後は豪快にデマールとガヴィリアをもパスし、派手なガッツポーズを決めた。大きな戦績のない男にとって、人生最大の勝利がジロ・デ・イタリアステージ勝利という大金星となった。
「ホームとなる第19ステージではなかったけど、母国で勝てたことは本当に嬉しいよ。まだ勝てたという実感はないよ。本当はボルでいく予定だったんだけど、残り数キロの段階で調子が良くないとのことだったんで、急遽僕が行くことになったんだ。そして総合3位(ステージ開始前)のバルデが僕のリードアウトを努めてくれたなんて何という贅沢!チームワークが機能した勝利だと思うよ。残り20mで先頭に躍り出た感覚はあったので、”やった!”と思ったね。」ダイニースは与えられる数少ないチャンスを一発でモノにしてみせた。
総合ではボーナスタイムをステージ途中で小刻みに稼いだリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)が総合2位までジャンプアップを果たした。
ジロ・デ・イタリア第11ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第11ステージ順位
1位 アルベルト・ダイニース(チームDSM) 4h19’04”
2位 フェルナンド・ガヴィリア(UAEチームエミレーツ)
3位 シモーネ・コンソーニ(コフィディス)
4位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
5位 カレブ・ユワン(ロット・ソウダル)
6位 マーク・カベンディッシュ(クイックステップ・アルファヴァイニル)
7位 エドワード・トゥーンス(トレック・セガフレド)
8位 サッシャ・モドロ (バルディアーニCSFファイザネ)
9位 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 ローレンス・ナーセン(AG2Rシトロエン)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド) 42h24’08”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +12”
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
4位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +14”
5位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +20”
6位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +28”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +29”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー) +54”
9位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’09”
10位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス) +1’22”
H.Moulinette