ジロ・デ・イタリア2022第6ステージ:混戦のスプリントを制したのはまたもデマール!ユワンとカベンディッシュを抑え写真判定でステージ連勝!(ダイジェスト動画あり)
スプリンターにとっては、勝利の可能性があるステージではできる限り勝負がしたい。しかしながら展開によってそれは左右されることもあり、必ずしも勝負できるとは限らない。ただ今大会は今のところ山岳ステージ以外での逃げ切り容認はなく、順調にスプリント勝負ができている。そんな中でのステージ連勝というのはハードルが高く、かなりの組織力とチームワークが求められるが、昨日勝利したアルノー・デマール(グルーパマFDJ)にはそれが備わっていた上に、さらには昨日の勝利でモチベーションが上乗せの効果として機能した。豪快なスプリントで今大会2勝目を連勝という形で飾り、ポイント賞ジャージをがっちりとキープしている。
192㎞の長丁場は昨日同様にスプリンター向けのコース、しかも昨日のようにハードな山岳がないこともあり、間違いなく各チームゴール勝負へと持ち込んでいくはずだが、レースは極めてスローなスタートを見せる。昨今のハイスピードレースが多い中で、時速35㎞というのんびりとしたペースで推移、主催者予想の最低スピード時速42㎞を大幅に下回る形で展開した。
さらにこの日の逃げはわずか一人、エオロ・コメタのディエゴ・ローザが黙々とペースを刻んでいった。その背後ではおなじみとなりつつあるドローンホッパー・アンドローニジョカットリの二人がまたしても飛び出し中間スプリントポイント争いを繰り広げたが、それ以外は目立った動きがないまま展開し続ける。
残り28.5㎞で早めにローザを吸収した集団は、ここからスプリントへ向けた主導権争いを始める。そして残り15㎞を切ると、各チームがそれぞれ一列となり、道幅いっぱいでの覇権争いが始まる。その中でもロット・ソウダルとクイックステップ・アルファヴァイニルは、隣り合わせでがんがんペースを上げていく。
残り5㎞を切るとその争いはさらに激しくなり各チームが入り乱れた状態となるが、残り2㎞ではイスラエル・プレミアテックとインターマルシェワンティゴベール・マテリオーが、それぞれのエース、ジャコモ・ニッツオーロとビニアム・ギルメイの為に先頭に躍り出て主導権を握る。
だが強豪チームは手慣れたもので、それを利用しその背後からさらにペースを上げ覆いかぶせていく。そして最初に仕掛けたのはクイックステップ・アルファヴァイニル、ミカエル・モロコフのアシストから残り250mでカベンディッシュが飛び出すが、それを察知していたユワンとデマールはその背後から残り150mでラインを変え横並びで力の勝負を挑む。カベンディッシュも伸びていたが、ユワンはそれ以上に伸びカベンディッシュを捉えたが、デマールはそれ以上の脚で最後の最後でバイクを投げ出し、写真判定の末僅かタイヤ一本分、2㎝ほどの差で勝利した。ユワンは2位、カベンディッシュは3位に終わった。この日は進路の確保に最新の注意を払ったギルメイだったが、この日は力負けして4位、それでも毎ステージのように優勝争いに絡むあたり、これからの成長を期待できそうだ。
「昨日は後れを取ったことで皆で一丸となっての勝利だった。今日は完璧なチームワークでの勝利だったよ。でも進路が一番右しか開いていなかったので、大きく右に展開を変えねばならなかったので勝てたとは思わなくて、2位だと思っていたよ。最後はバイクをドンピシャで投げ出した分勝利できたね。」デマールは2勝目に落ち着いた口調で語った。
昨日ハンドルをたたいて悔しがったフェルナンド・ガヴィリア(UAEチームエミレーツ)は、この日はチームDSMのトレインを活用しようとして失敗、それが危険な行為につながったとして降格処分となるなど、この2日間でフラストレーションが溜まる展開となっている。
ジロ・デ・イタリア第6ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第6ステージ順位
1位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ) 5h02’33”
2位 カレブ・ユワン(ロット・ソウダル)
3位 マーク・カベンディッシュ(クイックステップ・アルファヴァイニル)
4位 ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(イスラエル・プレミアテック)
6位 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
7位 アンドレア・ヴェンドラメ(AG2Rシトロエン)
8位 シモーネ・コンソーニ(コフィディス)
9位 ヴィンチェンツォ・アルバニース(エオロ・コメタ)
10位 エドワード・トゥーンス (トレック・セガフレド)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド) 23h23’36”
2位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +38”
3位 レイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) +58”
4位 サイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ) +1’42”
5位 マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴァイニル) +1’47”
6位 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’55”
7位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス) +2’00”
8位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’04”
9位 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアス) +2’06”
10位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +2’06”
H.Moulinette