ジロ・デ・イタリア2022第4ステージ:エトナ山決戦で総合大シャッフル、カムナが逃げ切りでステージ優勝で総合2位へ、ロペスがステージ惜しくも2位も総合リーダーに(ダイジェスト動画あり)


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ジロ・デ・イタリアは常に前半戦にも山場が用意されている。いきなりのエトナ山登頂バトルは、クライマー達による激しいバトルとなった。しかし総合上位を狙う選手たちは、まだ大きく動かず集団で進むも、ステージ優勝と一時の総合リーダージャージ確保を夢見る中堅クライマーらはこの日大きな夢と野望を持って突き進んだ。そして逃げ集団から飛び出しゴールラインでガッツポーズを決めたのはレナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ)、今大会最初のステージでも飛び出してステージ優勝を狙った男は、今度こそ勝利を掴んでみせた。これで総合2位へとジャンプアップを果たした。そしてカムナに敗れたペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド)だったが、総合ではマリア・ローザを獲得、チームに大きな結果をもたらした。

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ジロ・デ・イタリア第4ステージ、ハンガリーからイタリアに上陸したレースはいきなりの170kmの活火山での山岳バトル、ステージ優勝を狙う面々と、最終的な総合を狙う面々という2つの顔を持つステージとなった。まず動いたのはミスター逃げ男、ことトーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル)、しかしこの危険な動きはすぐに封じ込められた。更には総合優勝を狙うサイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が落車を喫するなど序盤からレースは荒れた展開となる。更には総合上位候補の一角、ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ・プレミアテック)が怪我でリタイアするなど荒れ模様は収まらない。
しかしスタートから20kmでようやく逃げが決まり、カムナ、ロペス、マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴァイニル)、レイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)ら14人が集団を形成、後続のメイン集団とのタイム差をぐんぐんと広げると、最大でその差は12分にまで広がる。

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この日メイン集団に主導権を握ったのはイネオス・グレナディアス、エースのリチャード・カラパズの為にペースを維持し、また先頭集団とのタイム差を縮めていく。しかしそれと同時にこの追走集団は人数自体もどんどんと減らしていく。そして残り30km、エトナ山の上りが始まる前の緩やかな勾配が始まると、踏ん張っていたスプリンター達が続々と脱落していく。そして残り20kmを切り、マリア・ローザのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)も脱落していく。
先頭集団も上りでどんどんと脱落していくと、ステファン・オルダ二(アルペシン・フェニックス)がペースを上げ単独先頭となる。そしてそれを追走するのはカムナ、ロペス・ファンセヴェナントら6人に絞られる。メイン集団とのタイム差もこの時点でまだ6分を残しており、逃げ切りは確定的となる。そうなればマリア・ローザ獲得を狙える、ロペスとカムナは俄然モチベーションが上がり残り10kmでロペスがついにオルダニを捉える。追走もカムナ一人となり、残り3kmでカムナがついにロペスを捉える。タラマエも30秒ほど後方で踏ん張るが、最後まで追いつくことはできなかった。ステージ優勝争いは、最後のコーナーで決着、ロペスが一瞬バランスを崩し、カムナが栄冠を手にした。

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その背後ではイネオス・グレナディアスがまたしても攻撃なペースアップをし、ライバルたちが次々とその犠牲になっていく。特に今大会トム・デュムランとトビアス・フォスの2枚エースで挑んできたユンボ・ヴィズマは、その二人が揃って脱落、大きくタイムを失い総合争いから脱落した。更にはギヨーム・マルタン(コフィディス)も脱落、ゴール時にはこの総合系メイン集団は僅か16名にまで絞り込まれていた。
ステージ優勝のカムナは総合でも2位へと躍進し、ステージ優勝のロペスが総合リーダーに、そしてステージ3位のタラマエが総合3位に、サイモン・イェーツは総合4位となり、ステージ5位のファンセヴェナントが総合でも5位となった。

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「きつかったよ。特にエトナ山は拷問だったよ。ロペスが先に行ったときは、負けた、と思ったけどなんとかそれを追いつけたからね。あとは脚を休めながら仕掛けるタイミングを待ったよ。勝てて本当に良かった、これはチームにとっても大きいし、勝利できたことでプレッシャーから開放されたよ。」2021年後半をモチベーションの低下でロードレースから離れていた男は、MTBで自転車愛を再確認し今シーズンに挑み、そしていきなり大きな結果を残してみせた。

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「ジャージが獲得できたのは本当に嬉しいよ!今はまだ信じられないので、明日スタートラインに立ったとき実感するのだと思うよ。ステージは勝てなくて悔しいけど、このマリア・ローザが獲得できたことは、チームにとっても個人としてもとても大きいよ。」ロペスは涙を浮かべながら語った。
ジロ・デ・イタリア第4ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第4ステージ順位
1位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) 4h32’11”
2位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド)
3位 レイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) +34”
4位 シルヴァン・モニケ(ロット・ソウダル) +2’12”
5位 マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴァイニル)
6位 ハイス・レームレイゼ(ユンボ・ヴィズマ) +2’31”
7位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +2’37”
8位 ロメイン・バルデ(チームDSM)
9位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド) 14h17’07”
2位 レナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ) +39”
3位 レイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) +58”
4位 サイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ) +1’42”
5位 マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴァイニル) +1’47”
6位 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’55”
7位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス) +2’00”
8位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’04”
9位 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアス) +2’06”
10位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +2’06”
H.Moulinette