アムステル・ゴールドレース2022:写真判定の結果、元世界チャンピオンのクウィアトコウスキーが久しぶりのビッグタイトル獲得!コスネフロワは逆転され勝利逃す(ダイジェスト動画あり)
勝負というのは常に紙一重だ。特にゴール勝負は写真判定にまでもつれ込むのはよくあること。そんな際に選手たちがよくやるのが、「バイクを前に投げ出す」というスタイルだ。今年のアムステルゴールドレースでは、ハイスピードの中でこのバイクを投げ出すタイミングで雌雄が決した。
元世界チャンピオンのミカル・クウィアトコウスキー(イネオス・グレナディアス)だが、イネオス・グレナディアス移籍後最初の数年はエースとして勝利を収めるも、ここ数年はアシストとして、チームのグランツールエースたちの絶大な信頼を得てきた。しかしもとはと言えばクラシックライダーであり、ワンデイレースを得意としてきた。そしてこの日はイネオス・グレナディアスが残り50㎞を切ってから鬼引きでペースアップ、そしてそこから残り34㎞過ぎにアタックを仕掛けると、チームのエース格、現シクロクロス世界王者のトム・ピドコック(イネオス・グレナディアス)と二人、先頭集団に残ることに成功した。
そして残り22㎞、この日一度目のゴールライン通過でクウィアトコウスキーが動く。勝負所と見て単独アタックを決めると、集団はそれをいったん見逃すが、ベノワ・コスネフロワ(AG2Rシトロエン)がそれを単独で猛追する。マシューファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)は連勝を狙うかに思われたが動かず、ピドコックが追走の芽を摘むべく追走集団前方に陣取りペースを上げさせない。
20秒ほどのタイム差は縮まることなく推移し、コスネフロワが圧倒的に主導権を握ったままゴールスプリントへともつれ込む。残り250mから一気に加速したコスネフロワとクウィアトコウスキー、どちらが先にゴールしたかがはっきりとはわからない僅差となったが、ドンピシャのタイミングでバイクを投げ出したクウィアトコウスキーに対し、コスネフロワはペダルの回転が合わず一テンポ遅れて投げ出す形となった。そしてこれで明暗が分かれた。最初はコスネフロワが勝利したように思われ、当人もチームも歓喜の表情を見せたが、写真判定でそれは覆った。当初落胆していたクウィアトコウスキーとイネオス・グレナディアスは歓喜に包まれ、コスネフロワとAG2Rシトロエンは一転落胆の表情を見せた。
「あれだけチームがおぜん立てしてくれていたのに。負けたかと思ったよ。でも勝ったと知らされてほっとしたよ。」クウィアトコウスキーは久しぶりのビッグタイトルに安堵の表情を見せた。たいしてコスネフロワは、「確認してから勝利を伝えて欲しいよ。ぬか喜びしてしまったよ。でもこれで気を落とすぐらいなら自転車選手なんてやめるべきだし、2位は2位で立派な結果だと胸を張るよ。」と落胆の表情を見せながらも気持ちを切り替えていた。
3位には追走集団からいち早く仕掛けたティス・ベノート(ユンボ・ヴィズマ)が入り、マシューファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)は4位に終わり、「力が残っていなかった」と疲労の蓄積があることを口にした。
アムステル・ゴールドレース2022ダイジェスト
アムステルゴールドレース順位
1位 ミカル・クウィアトコウスキー(イネオス・グレナディアス) 6h01’19”
2位 ベノワ・コスネフロワ(AG2Rシトロエン)
3位 ティス・ベノート(ユンボ・ヴィズマ) +10”
4位 マシューファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス) +20”
5位 アレクサンダー・カンプ(トレック・セガフレド)
6位 キャスパー・アスグリーン(クイックステップ・アルファヴァイニル)
7位 マイケル・マシューズ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
8位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ)
9位 マルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ)
10位 ディラン・テウンス(バーレーン・ヴィクトリアス)
H.Moulinette