ドワース・ドア・フランデーレン2022:ポガチャルには勝たせない、駆け引きの妙技でレースを制したのはファン・デル・ポエル!元シクロ王者はロードでも抜群の強さ!(ダイジェスト動画あり)
今シーズンここまでステージレースでもワンデイレースでも無類の強さを誇っているタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)だが、この日はライバルたちが徹底してその排除をしたことで攻撃は空振りに終わった。その強さから、アシストなくとも勝てると言われてきたが、この日はそのアシストの無さを痛感するレースとなった。
そんなレースはポガチャルを排除するときだけ強調した強者ぞろいによる少数での決着となった。誰が勝ってもおかしくない面子の中で、元シクロクロス世界チャンピオンのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)と、東京五輪MTB金メダリストでもあり現シクロクロス世界王者のトム・ピドコック(イネオス・グレナディアス))の二人のオフロードで頂点を極めた男たちがその主導権を握った。しかし最後に笑ったのは背中の故障から開幕で遅れたファン・デル・ポエル、2019年に続く2度目の頂点に立った。
大きく展開が動いたのは残り69㎞の石畳の上り、ピドコックとベン・ターナーのイネオス・グレナディアスコンビがアタック、するとそれに反応したのはファン・デル・ポエルやヴィクトル・カンペナールツ(ロット・ソウダル)、ステファン・キュング(グルーパマ・FDJ)らのみで、あっという間に小集団が形成される。そして取り残された集団から、残り63㎞の次の石畳区間でタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がアタック、追走を試みる。
通常のレースであれば、このタイミングでの先頭集団はそこまでペースを上げず、単騎で追いついてくる選手を受け入れる傾向にあるが、ポガチャルとなれば話は別だ。先頭集団は協調してペースを高く保つ。一度はその背中が見える10秒差まで縮めるが、そこから集団はペースを上げポガチャルの合流を阻んだ。これによりポガチャルは追いつけないと判断徐々に下がっていき、10㎞ほど単独走をすると後続の集団に呑み込まれていった。
先頭集団に加わっているティス・ベノート(チームサンウェブユンボ・ヴィズマ)も積極的に先頭でペースを上げ、何度となく迫る後続集団に追いつかせることをしない。それでもあきらめないポガチャルは残り30㎞を切り再びアタックを仕掛けるが、先頭とのタイム差は縮むことがなかった。
そして残り9㎞を切り優勝争いが白熱する。まずはキュングが仕掛けると、次に独走力のあるカンペナールツがアタック、これによりペースはさらに上がっていく。その後も再三にわたりカンペナールツが仕掛けるが、抜け出すことは出来ない。しかし残り1.7㎞で今度はべノートがアタックを仕掛ける。絶妙のタイミングでのアタックにライバルたちは脚が止まるが、ファン・デル・ポエルは躊躇なく追走、これで優勝争いはこの二人のものとなった。残り250mで早めの仕掛けをするとそのまま一気に加速、追いすがるべノートは諦めて勝者を祝福する拍手をしながらのゴール、ファン・デル・ポエルが今シーズン2勝目を挙げた。
「ここまで調子を上げてくることができてうれしいよ。まだベストではないけど次のレースまでにもっと調子が上がればいいけど、数日で変わることはないから、とりあえずユックリ調整するよ。後ろから追ってくるのはわかっていたけど、協調ができていたからそこまで気になることはなかったよ。」ファン・デル・ポエルは冷静に勝利を喜んだ。
「チームメイトはいたんだけど、タイミングを逃したね。あれは運がなかったね。でも3位という結果には満足しているよ。」ピドコックもロードでしっかりと結果を残した。
ドワース・ドア・フランデーレン2022ダイジェスト
ドワース・ドア・フランデーレン順位
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス) 4h05’39”
2位 ティス・ベノート(ユンボ・ヴィズマ) +01”
3位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +05”
4位 ヴィクトル・カンペナールツ(ロット・ソウダル)
5位 ニールス・ポリット(ボーラ・ハンスグロエ)
6位 ステファン・キュング(グルーパマ・FDJ)
7位 ケランド・オブライエン(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
8位 ベン・ターナー(イネオス・グレナディアス) +12”
9位 ヤン・トラトニック(バーレーン・ヴィクトリアス) +2’08”
10位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
H.Moulinette