グラン・ピエモンテ2021:スプリント勝負を制したのは東京五輪オムニアム金メダリストのウォールス!ダークホースにも名が上がらなかった男が機を逃さずど真ん中を射抜く!ニッツォーロ2位
秋のセミクラシック、ミラノ~トリノの大物選手が多く出場する中、その翌日に行われたこのレースは平坦ということもありスプリンターが多く顔を揃えた。ゴール前のコースはほぼ直線ながらも、ロータリーや僅かなクランクなどが選手たちの明暗をくっきりと分けた。そしてゴール勝負では誰も予想すらしなかったマシュー・ウォールス(ボーラ・ハンスグロエ)がコースど真ん中を突き進みビッグタイトルを手にした。ウォールスは東京五輪でトラック種目のオムニアムで金メダルを獲得しており、ここ一番での強さを発揮した。
昨年度のアップダウンがちりばめられたこーづとは異なり、完全にスプリンター向けのステージとなった今年のグラン・ピエモンテ、169㎞に及ぶレースは、スタートから15㎞で4名の逃げが決まる。しかし集団のペースもあまり落ちることなく推移し、3分以上には広がらない。そしてレース中盤になるとスプリンターチームが主導権を握り、あっという間にそのアドバンテージは失われていった。
そして残り28㎞までに逃げは吸収され、各チームアタックを警戒しながら集団のペースを上げ、早々とスプリンターバトルに向けた展開となる。先日のパリ~ルーベを制したソニー・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)を筆頭に、ユンボ・ヴィズマ、イネオス・グレナディアスらが入れ替わり先頭に躍り出てペースを上げていく。そして残り2㎞を切るとキュベカ・ネクストハッシュがヴィクター・カンペーナールツの加速で一気に主導権を握る。
そのままゴール勝負までもつれこんでいくかに思われたが、残り1㎞を切りコース左わきの構造物がその隊列を崩す。行き場を失った選手たち同士が接触、落車こそなかったものの、多くのスプリンターたちがこれで脱落する。難を逃れたのは集団前方にいた選手たちのみ、2016年にこの大会を制しているジャコモ・ニッツォーロ(キュベカ・ネクストハッシュ)、マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ)の姿はあるが、それ以外の主要選手たちの姿は全く見えない。そんな中トレンティンのアシストのマキシミリアーノ・リケーゼ(UAEチームエミレーツ)の背後を奪い取ったウォールスがコースど真ん中を駆け上がる。それに対抗するようにコース右側をニッツォーロが駆け上がるがわずかに及ばず、ウォールスが勝利をつかんだ。
2位にはニッツォーロ、そして3位には残り20㎞で落車を喫したオラフ・コーイ(ユンボ・ヴィズマ)が驚異の走りで集団復帰、そのままスプリントに加わり表彰台を確保した。今シーズントップチームにステップアップしてきた19歳が、驚きの走りを見せ、その名を一気に知らしめた。
「チームメイトがいい仕事をしてくれたよ。最後まで残れたから、あそこでうまくライバルチームのリードアウトを活用できたんだ。最後は横一線でのスプリントになったけど、十分に脚が残っていたんだよ。トラックでは結果を残せていたけど、その自信がロードでの勝利に繋がったよ。」、23歳のウォールスの活躍はこれからさらに花開きそうだ。
グラン・ピエモンテ2021順位
優勝 マシュー・ウォールス(ボーラ・ハンスグロエ) 3’34’47”
2位 ジャコモ・ニッツォーロ(キュベカ・ネクストハッシュ)
3位 オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィズマ)
4位 マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ)
5位 ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)
6位 ヤコブ・マレツコ(ヴィーニ・ザブ・ブラドKTM)
7位 リカルド・ミナーリ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)
8位 アルビ・デ・クライン(ラリーレーシング)
9位 アマウリー・カピオ(アルケア・サムシック)
10位 ステファノ・オルダニ(ロット・ソウダル)
H.Moulinette