ミラノ~トリノ2021:グランツール総合勢が優勝争いでクラシックハンター出番なし!ログリッチがアダム・イェーツとの一騎打ち制し勝利!3位は来シーズンチームメイトのアルメイダがポガチャルに競り勝つ
春先のクラシックが延期になった分、凝縮された形で行われている秋のクラシック、大本命のイル・ロンバルディアを前に、その前哨戦となるミラノ~トリノに豪華なメンバーが集まった。今シーズンはレース数が少ないこともあり、主力選手たちの多くが顔を揃えたが、その中にはグランツールの総合系たちも多く顔を揃えた。昨今はグランツールライダーたちがワンデイクラシックでも結果を残すことも増えたが、この日のレースはまさにその通りとなった。優勝したのはプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)、そして2位にはアダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス)、さらには3位争いを演じたのはジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)とタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)とまるでグランツールの総合優勝争いを見ているかのような顔ぶれとなった。
昨年度は平坦なコース設定になっていたこのレース、102回目を迎えた今年は残り5㎞から平均勾配9%での頂上ゴールの設定となり、パンチャーよりはクライマー向けのコース設定となった。190㎞のレースは序盤に逃げが決まり、6名の選手たちが飛び出していく。今大会はワールドツアー15チームと少ない代わりに、格下のカテゴリーのチームも多く、ステップアップを目指す選手たちが積極的な走りを見せる。
しかし一発勝負の大会、さらにはゴール前が急勾配ということもあり、逃げの6名は大きなタイムを確保できない。最大で3分半までタイムは広がったが、メイン集団はそれ以上のタイムを許さず、2分台で推移し続けた。
しかしそれでもメイン集団では大きな動きはなく展開する。しかし残り65㎞で突然集団が分裂する。ドゥクーニンク・クイックステップが得意の横風分断作戦を決行、これにより6名を19名の集団に送り込むことに成功する。この集団は逃げをあっという間に吸収、追走の集団から1分弱のアドバンテージを保ったまま逃げ続ける。
2年連続の世界チャンピオンジャージのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)を中心にアルメイダ、ファウスト・マスナダら強力なドゥクーニンク・クイックステップ勢に対し、ログリッチとポガチャルはそれぞれにアシスト二人を引き連れ、さらにはマイケル・ウッズとクリス・フルームのイスラエル・スタートアップネーションの二人も顔を揃える。
逃げとのタイム差は少ないため、脱落する選手がいれば新たに合流してくる選手もおり、展開はめまぐるしく変化していく。残り24㎞ではアラフィリップがドゥクーニンク・クイックステップがペースアップ、アラフィリップ、アルメイダ、ファンセヴェナントに対し、ログリッチとポガチャルを含む6名しかこれに対応できない。しかしここへきて追走グループからアダム・イェーツ、パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアス)、さらにはアレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック)、ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック)らが合流する。さらにバウク・モレンマ(トレック・セガフレド)らもここに加わり、気が付けば24名にまでその数は増えていた。
そして最初のゴール地点の頂上通過で、ファンセヴェナントがアタック、そのままぐんぐんと後続に差をつけていく。最大で25秒差にまで広がるが、メイン集団も逃げ切りは許すまいとうまくはない連係でかろうじてタイム差が広がるのを抑え続ける。この日はアラフィリップは調整の意味があっての出場なのか、これ以上の深追いはしない。対して勝利を狙うアダム・イェーツがとびだしていき、これを号砲に一気にレースは優勝を目指すバトルとなる。アダム・イェーツについていけたのは、アルメイダ、ログリッチ、ポガチャル、ウッズに加え、引退を撤回し、骨折からの復帰を果たしたアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)のみ、しかしウッズとバルベルデはその後脱落、グランツールの総合優勝争いを演じた4名が先頭に残った。
しかし残り3.5㎞でポガチャルとアルメイダが脱落、アダム・イェーツはログリッチとの一騎打ちとなる。圧倒的な馬力のあるログリッチの前に、アダム・イェーツとしては勝機があるのは先行すること。残り600mで予想外の早仕掛けをするがログリッチはこれにも冷静に対応し、そのまま追いつくと同時にカウンターアタック一閃、首を横に振るアダム・イェーツを軽く置き去りにしてガッツポーズで勝利を決めた。アダム・イェーツは2位、3位争いはスプリントとなり、来シーズンからチームメイト同士となるアルメイダが、ポガチャルを抑えて表彰台を獲得した。
「正直言って脚が残っているかは展開次第で最後まで分からないんだよね。今日はたまたま僕に脚が残っていたよ。ロンバルディアは今は考えないようにしよう。まずは休んで十分にリラックスすることだよ。なんといっても今年最後のビッグタイトルが控えているんだからね。」ログリッチは明確に秋のクラシック最大のロンバルディア制覇も視野に入れているようだ。
ミラノ~トリノ2021順位
優勝 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 4h17’41
2位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +12”
3位 ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +35”
4位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
5位 マイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネーション) +48”
6位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)
7位 ディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ)
8位 ファウスト・マスナダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
9位 ナイロ・キンターナ(アルケア・サムシック)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +56”
H.Moulinette