世界選手権2021個人TT:男子エリートはガンナが連覇!ファン・アールトはわずか6秒届かず銀メダル、エヴァネポエルが銅メダル獲得、トニー・マルティンが世界選手権を最後に引退発表

フランダース地方といえばクラシックレース、今年の世界選手権はクラシックハンター達が目をギラギラギラさせる中行われた。前日には2018年に現役を引退し、今大会のテレビコメンテーターを務めるはずだったクリス・アンケル・ソレンセンが会場近くで自転車で走行中に交通事故で死亡、どんよりとした雰囲気も漂う中で朝を迎えた。しかし一たびレースが始まれば選手たちの目には戦いの本能の炎が灯り、熱すぎる熱戦が繰り広げられた。

©UCI
そんな個人TTを制したのは昨年度の覇者フィリッポ・ガンナ(イタリア)、昨年度の引き続き大会を連覇して見せた。これで世界チャンピオンジャージのアルカンシエルに再び袖を通すこととなった。そのガンナを脅かしたのは、地元開催で「狙う」と公言していたワウト・ファン・アールト(ベルギー)、3度のシクロクロス世界チャンピオンが、ロードレースの世界でもアルカンシエルを狙ったが、今年もガンナに敗れて2位、しかしその差はわずか6秒、僅差での2位となった。

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この二人が頭一つ抜きんでたが、3位にはレムコ・エヴァネポエル(ベルギー)が入った。4位に入ったキャスパー・アスグリーン(デンマーク)とはわずか2秒差、普段はドゥクーニンク・クイックステップでチームメイト同士の二人が銅メダル争いを盛り上げた。またヨーロッパ選手権でガンナを倒し、大本命だったステファン・キュング(スイス)は5位に沈んだ。
「この一週間、短期間だったけど高度トレーニングを行ったことで僕のコンディションは飛躍的に上がったんだよ。ヨーロッパ選手権では脚が鉛の様で、世界選手権がどうなるか不安でしょうがなかったけど、今朝起きたら脚が最高の仕上がりになっていたんだよ。このタイトルを守れたことは本当に大きい、またこのジャージを一年間きれることを光栄に思うよ。」

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「ファン・アールトもエヴァネポエルもいいやつらだし、母国で勝つのって最高なんだよね、でもごめん、今日は譲れなかったよ。朝起きたときからタイトル防衛だけを自分の心の中でつぶやき続けていたからね。でも最高のライバルがいたからこそ、ここまでもパフォーマンスができたのも事実、モチベーションは彼ら無くしてはここまで上がらなかったよ。」ガンナはライバル達への感謝を口にした。
「あとちょっとだったね。ガンナにそこまで迫れたことにまずは満足すべきだよ。ベストを尽くしての結果、満足はしているよ。ただその僅か先に世界チャンピオンジャージが見えていたことも事実だよね。」 ファン・アールトは笑顔を見せながらも悔しさをにじませた。

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そして個人TTといえばトニー・マルティン(ドイツ)と呼ばれるほど一時代を築き上げた男が、今大会をもっての引退を発表した。最近はアシストに徹することが多くなり、個人TTでも結果がなかなか伴っていなかった。それでもステージレースではその無尽蔵なスタミナでエースを支え続けたが、今大会限りでバイクを降りることを決断した。この日は素晴らしい走りで6位に入り、最後まで自らの引退に華を添えた。
ワウト・ファン・アールトが個人TTで使用したバイクの動画説明
世界選手権2021個人TT
優勝 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアス) 47’47”
銀メダル ワウト・ファン・アールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) +06”
銅メダル レムコ・エヴァネポエル(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) +44”
4位 キャスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) +46”
5位 ステファン・キュング(スイス、グルーパマFDJ) +1’07”
6位 トニーマルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィズマ) +1’08”
7位 ステファン・ビセガー(スイス、EFエデュケーションNIPPO) +1’26”
8位 イーサン・ハイター(イギリス、イネオス・グレナディアス) +1’27”
9位 エドアルド・アフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィズマ) +1’49”
10位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) +1’53”
H.Moulinette