ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第12ステージ:昨日逃した勝利は今日取り返す!昨日の逃げ切り失敗も何のその、コートが快心のスプリントで今大会2勝目!ログリッチはまたも落車(ダイジェスト動画あり)


©A.S.O
逃げ切り勝利というのはかなりの大博打だ。メイン集団がそれを許してくれる可能性は極めて低く、そして体力を多く消耗してしまうのだ。そして今大会2勝目を狙ってそんな大博打を打ったマグナス・コート・ニールセン(EFエデュケーションNIPPO)は昨日それを失敗、ゴール手前僅か200mで勝利を逃す屈辱の敗北を味わった。しかしそのな借りを翌日にスプリントで取り返すとは誰が予測できただろう。チームワークと力勝負のスプリント力に勝るライバルたちをあざ笑うかのような鮮やかな速攻で先頭に躍り出ると、そのまま豪快に勝利の女神を奪い去った。
第12ステージは175㎞の工程のうち、100㎞を超えるまで逃げが容認されない展開となった。ようやく8名の逃げが決まるも、メイン集団はペースを緩めず、なかなか逃げとのタイム差は広がっていかない。そんな中メイン集団の主導権を握ったのはUAE チームエミレーツ、ペースを落とさず山岳にも突入すると、3級山岳の上り途中の平坦区間で思わぬハプニングが起きる。
なんとプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)が落車、チームメイト数名、さらにはライバルであるアダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス)らも巻き込んでしまう。このタイミングでもペースは上がっており、ログリッチはすぐに再スタートをしたものの、合流までに時間を要してしまう。さらにはアダム・イェーツは負傷者リスト入りするほどの擦過傷を負い、合流まで更なる時間を要した。

©A.S.O
残り31㎞で先頭とのタイム差はわずか30秒ほど、UAEチームエミレーツは継続してペースを維持しており、再び山岳に突入すると逃げ集団はバラバラになり、吸収されていった。そしてここでヨナタン・ラストラ(カハルーラル・セグロスRGA)がアタック、これにロメイン・バルデ(チームDSM)、ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)らが合流し、新たな4人の逃げが形成される。
この上りでスプリンターたちが一旦メイン集団から遅れたことでUAEチームエミレーツはペースダウンを余儀なくされるが、下りに入ると再びスプリンターたちが合流したことで、またペースが上がっていく。しかし先行した4人が協調したため残り7.5㎞で35秒ほどにまで差が広がる。しかしメイン集団の主導権がチームバイクエクスチェンジに移ると。その差は見る見る間に縮まっていった。
まだ今大会勝利のないマイケル・マシューズ(チームバイクエクスチェンジ)のために圧倒的な組織力で展開していくチームバイクエクスチェンジだったが、最後の最後で思わぬ落とし穴が待っていた。イェンス・ケウケレール(EFエデュケーションNIPPO)がコート・ニールセンを引き連れ残り800mでものすごいスピードで先頭に飛び出していく。これにアンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)もうまく乗り加速、これにより一車体以上の差がいきなり空いてしまいマシューズらは完全に後手に回ってしまう。

©A.S.O
そのままコート・ニールセンは発射、そしてバジョーリとの一騎打ちとなったが、馬力あるコート・ニールセンが勝利、これで今大会2勝目、昨日の忘れ物を一日で取り返し、チームにとっても大きな勝利を手にした。バジョーリは2位、そしてこの日チームが仕事をしたマシューズは3位、UAEチームエミレーツのマッテオ・トレンティンは4位に沈んだ。

©A.S.O
今日は大集団スプリントをする予定はなかったんだよ。でも人数が減ったことで予定変更、スプリントをすることになったんだ。今日はそんな感じだったから、チームも僕も集団内で脚を休められたのが勝因だね。まあでも機能あれだけ必死で逃げたから、脚はパンパンだったよ。後はケウケレールがこれ以上ない動きで先頭まで連れて行ってくれたよ。まだ強豪スプリンターが残っていたから、どうかな、とは思ったんだけど、勝てたね。」コート・ニールセンは、納得の表情で展開を語った。
ログリッチはそのままゴールしたが、この3日で2度の落車、怪我無いものの厳しい展開となっている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージ順位
1位 マグナス・コート・ニールセン(EFエデュケーションNIPPO) 3h44’21”
2位 アンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
3位 マイケル・マシューズ(チームバイクエクスチェンジ)
4位 マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ)
5位 アンドレアス・クロン(ロット・ソウダル)
6位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ)
7位 アントニオ・ヘスス・ソト(エウスカルテル・エウスカディ)
8位 アンソニー・ルー(グルーパマFDJ)
9位 ジャンル―カ・ブランビッラ(トレック・セガフレド)
10位 マルティン・ツヴェルド(チームDSM)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 オッド・クリスチャン・エイキング(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) 45h33’18”
2位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +58”
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +1’56”
4位 エンリック・マス(モビスター) +2’31”
5位 ミゲル・アンヘル・ロペス(モビスター) +3’28”
6位 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス) +3’55”
7位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +4’46”
8位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +4’57”
9位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +5’03”
10位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +5’38”
H.Moulinette