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まるでクラシックレース、ユイの壁を見ているかのようなゴール前最後のバトルに先頭で飛び込んだのは今大会すでにステージ勝利を逃げ切りで上げているマグナス・コート・ニールセン（EFエデュケーションNIPPO）だった。昨日勝利のマイケル・ストーラー（チームDSM）同様に2匹目のドジョウを狙ったが、僅か200届かず勝利はならなかった。

©A.S.O

怒涛のように押し寄せたその背後からメイン集団の先頭はプリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）、ブエルタ3連覇を狙う絶対的王者が、切れ味鋭いのアタックでライバルたちに力の差を見せつけると、最後までそれに喰らいついたエンリック・マス（モビスター）をも振り切り、圧巻のステージ勝利を飾った。これでブエルタ・ア・エスパーニャ通算7つ目のステージ勝利、総合の直接ライバルにまたしてもタイム差をつけることに成功した。僅かな隙に徹底して攻め続けるログリッチの攻撃的王者の姿勢は揺るがない。

©A.S.O

今大会最も短い133.6㎞のショートステージ、クラシックレースのフレッシュ・ワロンヌを彷彿とさせるこのステージ、一度は7人の逃げが飛び出すが、集団はこれを危険と判断、しかしスタートから20㎞、コートを含む5人の逃げは容認された。総合リーダージャージのオッド・クリスチャン・エイキング擁するインターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオーがメイン集団のペースをコントロール、先行する逃げを射程圏内で推移させる。しかし最初の1時間のペースは時速47㎞、かなりのハイペースなレースとなる。

残り30㎞で逃げとのタイム差は1分半弱、総合優勝位争いを演じているユンボ・ヴィズマとモビスターがペースを上げるとその差は一気に縮まっていく。そしてコースは一気にハードになり、残り15㎞で8.8㎞の上りが始まると逃げはばらばらとなっていく。第6ステージ同様にコート・ニールセンがその上りで加速、独走態勢へと持ち込む。そうなればあとはゴールまで逃げ切りを狙ってペダルを踏み続けるのみとなる。

下り切ってゴールまでの上りへと突入すると、わずか25秒のタイム差をもってステージ2勝目へと突き進む。メイン集団もペースを上げそれを追走する。勾配が厳しくなり道幅も細くなると、セップ・クスとスティーブン・クライズワイク（共にユンボ・ヴィズマ）のアシストから満を持してログリッチが飛び出す。そしてそれに反応したのはマスだった。

©A.S.O

コート・ニールセンとの差は僅か、一気に詰め寄るかのに思われたが一旦ペースが緩んだが、そこからもう一をペースを上げたログリッチはぐんぐん加速するとそのままコート・ニールセンを残り200mでパス、そのままゴールへと猛進する。マスも最後まで追いすがるが、最後は完全に振り切られログリッチが単独勝利を決めた。タイム差に加えボーナスタイムも獲得、このステージでもイネオス・グレナディアス勢はタイムを失い、かなり厳しい状況とへと追い込まれつつある。

「勝利するのはいつでも気持ちいいね。いつその勝利が選手生活最後のものとなるかわからないからね。僅差だっただろ、こういうショートステージはいつも際どい勝負になるんだよね。僕もかなり苦しんだけど、それは皆同じだからね。僕の得意とするタイプのコース設定、ゴール前の登りだったからね。チームがそこまでいい仕事をしてくれて、逃げとのタイム差を維持し続けてくれたたから、最後の最後で勝利を射止められたんだよ。」ログリッチは淡々と語った。

©A.S.O

昨日のステージで総合リーダーとなったエイキング、さらには総合2位のギヨーム・マルタン（コフィディス）はともに踏ん張り順位をキープした。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージダイジェスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ順位
1位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　　3h11’00”
2位　エンリック・マス（モビスター）　　＋03”
3位　ミゲル・アンヘル・ロペス（モビスター）　　＋05”
4位　ジャック・ヘイグ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋07”
5位　アダム・イェーツ（イネオス・グレナディアス）
6位　ロメイン・バルデ（チームDSM）
7位　フェリックス・グロスチャートナー（ボーラ・ハンスグロエ）
8位　アレクサンダー・ヴラソフ（アスタナ・プレミアテック）
9位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）　　　＋11”
10位　オッド・クリスチャン・エイキング（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位　オッド・クリスチャン・エイキング（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）　　　41h48’57”
2位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　＋58”
3位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　　＋1’56”
4位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋2’31”
5位　ミゲル・アンヘル・ロペス（モビスター）　　　　＋3’28”
6位　ジャック・ヘイグ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋3’55”
7位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）　　　＋4’46”
8位　アダム・イェーツ（イネオス・グレナディアス）　　　＋4’57”
9位　セップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）　　　　＋5’03”
10位　フェリックス・グロスチャートナー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋5’38”

H.Moulinette