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©A.S.O

ブエルタの傾向としては間違いなく平坦ステージと言いそうなこのステージは、ゴール前2キロからの急勾配が勝負所、しかし今回は山岳ステージに分類されていた。そしてその分類通り、このステージで総合勢の明暗がくっきりと分かれることとなった。攻めの総合系の筆頭、3連覇を狙うプリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）がいつも通りの攻撃的走りでゴールまで2㎞の激坂でライバルを蹴散らし、早くも総合トップ10は大シャッフル、総合系選手たちは明暗がくっきりと分かれる形となった。そしてステージを制したのはマグナス・コート・ニールセン（EFエデュケーションNIPPO）、総合系エースのヒュー・カーシー（EFエデュケーションNIPPO）がこのステージで脱落する中、勝利を手にする形となりチーム内でで一喜一憂となった。

この日は最後の勝負が厳しいこともあり、逃げが形成するまでに時間がかかった。50㎞を通過しようやく逃げが確定、ニールセン、ジェッツ・ボル（ブルゴスBH）ら5人の逃げが、逃げ切りを目指し長い旅路へと漕ぎ出した。あっという間に後続とのタイム差は広がり最大で7分差まで広がっていく。

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タイム差が若干縮まりながら推移する中で、メイン集団でも横風区間を利用した分断作戦が勃発する。主導権を握ったのは、イネオス・グレナディアス、リチャード・カラパズとイーガン・ベルナルのツートップが攻撃的な走りをし集団が30人ほどに絞られる中、なんとチームメイトでありもう一枚のカードでもあるアダム・イェーツがこれに乗り損ねてしまった。これでイネオス・グレナディアスは攻撃を終了、引き続きモビスターが横風分断作戦を継続したが、結局この動きは徒労に終わってしま居、残り25㎞で集団はまた一つにまとまる。

先頭の逃げとのタイム差はグンと縮まったが、それでもニールセンらはそのまま逃げ続ける。そして残り17㎞でまたも横風分断の動きが始まる。元気いっぱいのモビスターがペースを上げると、カーシーが脱落してしまい、必死の追走を余儀なくされる。しかしメイン集団のペースも上がり切らず、なんとか残り8㎞でカーシーは集団復帰を果たした。

そしてイネオス・グレナディアスはここへ来てもう一度ペースアップ、ライバルたちを削る動きをしたまま、最後の2㎞の激坂へと突入していく。ニールセンら先頭の逃げは僅か20秒前、このまま先頭集団を飲み込んでいくかに思われた。

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ここから粘りの走りを見せたのがニールセン、単独走行になっても踏み続け、背後に迫る総合系たちに迫られながらもゴールラインぎりぎりで逃げ切った。残り150mで後ろを振り返ったら、ログリッチにすぐそこまで迫られていたんだよ。もうそこからは必至でスプリントをしたよ。運がよかったね。この勝利は僕にとっては特別な意味があるよ。僕の勝利のほとんどがスプリント勝利なんだけど、こうしたステージで逃げ切れたことで、新たな可能性を見いだせたよ。」ニールセンは納得の表情を見せた。

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その背後では、上りに入るとメイン集団は一気に縦長になっていく。マイケル・マシューズ（チームバイクエクスチェンジ）、アレクサンダー・ヴラソフ（アスタナ・プレミアテック）がアタックを仕掛けると、さらに集団はバラバラになっていく。しかし息をひそめていたログリッチが満を持して加速、ライバルたちを置き去りにし一気にニールセンに迫る。最後は少し足を緩めニールセンの背後でゴール、早くも総合リーダーの証、マイヨ・ロホを奪還するとともに、有力ライバルにタイム差をつけた。

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この上りで追走で脚を要したカーシーは脱落、昨日総合リーダージャージを奪取したケニー・エリソンデ（トレック・セガフレド）も脱落した。3枚看板のエンリック・マス、アレハンドロ・バルベルデ、ミゲル・アンヘル・ロペスがタイムロスを最小限に抑えたモビスターに対し、イネオス・グレナディアスは最後でまとまりを欠き、バラバラでのゴールとなった。これで総合勢は大きくシャッフル、今大会限りでの引退を発表している元グランツール覇者のファビオ・アルー（キュベカ・ネクスツハッシュ）が総合トップ10に順位を上げた。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージダイジェスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージ順位
1位　マグナス・コート・ニールセン（EFエデュケーションNIPPO）　　　　3h30’53”
2位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）
3位　アンドレア・バジョーリ（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　＋02”
4位　アレクサンダー・ヴラソフ （アスタナ・プレミアテック）　　　＋04”
5位　エンリック・マス（モビスター）
6位　マイケル・マシューズ（チームバイクエクスチェンジ）　　　＋06”
7位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）　　　＋08”
8位　アレハンドロ・バルベルデ（モビスター）
9位　ミゲル・アンヘル・ロペス（モビスター）　　　＋09”
10位　フェリックス・グロスチャートナー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋16”

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　21h04’49”
2位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋25”
3位　ミゲル・アンヘル・ロペス（モビスター）　　　　＋36”
4位　アレハンドロ・バルベルデ（モビスター）　　　＋41”
5位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）
6位　アレクサンダー・ヴラソフ （アスタナ・プレミアテック）　　　＋53”
7位　ギウリオ・チッコーネ（トレック・セガフレド）　　　＋58”
8位　リリアン・カルメジャーヌ（AG2Rシトロエン）　　　＋1’04”
9位　ミケル・ランダ（バレーン・ビクトリアス）　　　　＋1’12”
10位　ファビオ・アルー（キュベカ・ネクスツハッシュ）　　　＋1’17”

H.Moulinette