ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第7ステージ:ストーラーが逃げ切り勝利!本格山岳で総合勢は一気に絞られる展開に、バルベルデは落車骨折でリタイア、好調モビスターに痛手(ダイジェスト動画あり)

レースに「たられば」はないが、そんなことを感じさせた今大会初の本学的山岳ステージだった。総合勢内での動きが早くから活性化、しかしその最中攻めていたバルベルデが下りでバランスを崩し落車、そのままバイクがガードレールに引っかかり、本人は斜面を転がり落ちた。しかしなんとか途中で止まり、チームメイトの手助けで斜面を上がってきて再スタートを切ったが、結局痛みにこらえきれずリタイア、レース後の精密検査で鎖骨の骨折が判明した。この落車がなければ、総合2位、3位、4位を占めていたモビスターと、人数を残していたイネオス・グレナディアスの共闘で大きく展開が変わっていた可能性があるだけに、なんとも惜しい展開となった。

©Team DSM
そんなステージを制したもは、マイケル・ストーラー(チームDSM)、逃げに5人を送り込んでいたチームの最後の一人が、ゴールまで逃げきって見せた。エースのロメイン・バルデ(チームDSM)の総合上位争いが厳しくなったことで、戦略をステージ勝利機に切り替えたチームが鮮やかに勝利を奪い去った。そして総合争いはログリッチへの攻め手を欠いたライバルたちにに対し、激坂も難なくこなしたログリッチが逃げに乗ったフェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ)からも総合リーダージャージを守って見せた。逃げに乗ったメンバーがそのまま総合トップ10に入り、連日総合上位が入れ替わる展開となっている。
ゴール前は最大30%越えの激坂が待ち受ける本格的山岳ステージ初日、序盤からも激坂のアップダウンが多く、各チームと選手たちが積極的な動きを見せ、スタートから集団はばらけていく。激しく繰り返される追走、分断、合流の果てに、6名に23名が合流する形となり、29名の大所帯の逃げが先行する形となる。チームDSMはその中に5人を送り込み、ログリッチの右腕であるセップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)もそこに入る。さらには、パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアス)、ら総合力のある選手も加わるなど、かなり強力な布陣となる。

©A.S.O
総合で大きく遅れていない選手たちが多かったこともあり、バーチャルでの総合リーダーは先頭集団にいるヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ))やグロスチャートナーに移りながらの展開していく。ただタイム差は大きく広がることなく推移、総合系が入ったことで大きなタイム差は危険と感じるメイン集団はタイム差を維持し続ける。
そして残り50㎞を切り、モビスターが攻撃に出る。ホセ・ホアキン・ロハスとバルベルデがアタック、そこに東京五輪ロード金メダリストのリチャード・カラパズとアダム・イェーツのイネオス・グレナディアスコンビも合流、このタイミングでログリッチはアシストが一人しか残っておらず、面白い展開になるかに思われた。しかし残り44㎞でバルベルデが落車、展開は落ち着いてしまう。

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先頭でも激しいアタック合戦が繰り広げられたが、途中でチェーン落ちしたシヴァコフ、ストーラー、カルロス・ヴェローナ(モビスター)が先頭で曲がりくねったゴールへの激坂へと突入していく。事前の主催者公表では15%ほどの最大勾配も、実際には最大勾配30%越え、24%セクションがちりばめられたまさにクライマー地獄、各選手蛇行しながら登るシーンさえ見られた。

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ストーラーは残り3.3㎞でアタックを仕掛けるとそのまま独走、追走を仕掛けたヴェローナも迫るが、最後までその背中は近くて遠かった。「皆にとっては小さなことかもしれないけど、ツール・ド・ランでの勝利が僕に大きな勇気をくれたんだよ。だから自信をもって勝利を狙えたよ。でも残り3㎞からは地獄だったね。でもタイム差が縮まらないのを見て、いけると思ったんだよ。」ストーラーは事前のレースでの勝利がこの勝利へのモチベーションになったことを明かした。
そしてその背後ではアダム・イェーツがここでも動きを見せ、ログリッチがそれに反応、そのままゴールラインを超えた。それに、「調子はあまりよくない」とはいうものの、最年少での全てのグランツール制覇を狙うイーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)、エンリック・マスとミゲル・アンヘル・ロペスのモビスターコンビ、ダビ・デ・ラ・クルス(UAEチームエミレーツ)、ルイス・メインチェス(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)が続いた。
ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)、アレクサンダー・ブラソフ(アスタナ・プレミアテック、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)、カラパズがさらに遅れてのゴールとなった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージ順位
1位 マイケル・ストーラー(チームDSM) 4h10’13”
2位 カルロス・ヴェローナ(モビスター) +21”
3位 パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアス) +59”
4位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +1’16”
5位 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’24”
6位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +1’32”
7位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ)
8位 アンドレアス・クロン(ロット・ソウダル) +1’37”
9位 ステフ・クラス(ロット・ソウダル) +2’17”
10位 ヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ) +2’29”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 25h18’35”
2位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +08”
3位 エンリック・マス(モビスター) +25”
4位 ミゲル・アンヘル・ロペス(モビスター) +36”
5位 ヤン・ポランク(UAEチームエミレーツ) +38”
6位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +41”
7位 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス) +57”
8位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +59”
9位 アレクサンダー・ヴラソフ (アスタナ・プレミアテック) +1’06”
10位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス) +1’22”
H.Moulinette