ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第5ステージ:フィリップセンが圧倒的な馬力でステージ2勝目!好調アルペシン・フェニックスの快進撃止まらず、タラマエまさかの落車でマイヨ・ロホ失う(ダイジェスト動画あり)
ワールドツアーチームとトップクラスのプロチームの差はない、改めてそう感じさせられるステージとなった。格下のプロチームながら、全てのグランツールでステージ勝利を挙げているアルペシン・フェニックスの勢いが止まらない。すでに今大会第2ステージでスプリント勝利を挙げているヤスパー・フィリップセン(アルペシン・フェニックス)が、この第5ステージでもスプリント勝利、今大会2勝目を挙げるとともに、昨日ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)に奪われたポイント賞ジャージをわずか1ポイント逆転し、ポイント賞ジャージに再び袖を通した。
残り200m、早すぎるのではと思われたロングスパートだった。先頭で加速をするフィリップセンに対し、ライバルスプリンターたちも一斉にスプリントを開始、ノーガードでの打ち合いとなる。一気に加速するフィリップセンに対し、ライバルたちも食い下がるがその差は縮まらない。唯一ヤコブセンが急加速で迫るが、時すでに遅し、フィリップセンがトップでゴール、ヤコブセンが2位となった。
184キロのスプリントステージはこの日もワールドカードチームの3名が逃げとなりペースメークをする。ブルゴスBH、カハルーラル・セグロスRGA、エウスカルテル・エウスカディの3チームの選手たちが飛び出し、総合リーダーのレイン・タラマエ擁するインターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオーがこの日も集団をコントロールした。明らかなスプリントステージだけに、逃げ切りの可能性が極めて低く、どのチームも積極的なアタックないままにレースは展開していく。
しかし横風区間になると展開はかわる。イネオス・グレナディアス、ユンボ・ヴィズマ、モビスターといった総合系のチームが、横風分断作戦を得意とするドゥクーニンク・クイックステップの攻撃を恐れ、集団前方へと移動、ペースコントロールに加わる。
残り20㎞を切り再びドゥクーニンク・クイックステップが横風分断を企てるが、風が弱すぎるため成功はしなかった。残り16キロで全ての逃げを吸収し、スプリントへ向けた駆け引きが始まる。そしてそのまま迎えた残り11㎞で大きな落車が発生する。比較的集団前方で発生した落車に多くの選手が巻き込まれ、道路をふさぐ形となる。その中には総合リーダージャージのマイヨ・ロホを着用するタラマエの姿もあった。さらには総合優勝争いにも加わると予想されていたロメイン・バルデ(チームDSM)がこの落車から早期復帰ができず、総合の夢がほぼ潰えてしまう。
一旦はペースを落として様子を見た落車を逃れた先頭集団だったが、一呼吸置きスプリントバトルが始まる。タラマエはこの集団に復帰できず、この日での総合リーダージャージ陥落が確定してしまう。それでもレースは進み、アルペシン・フェニックスが勝利を狙い動きを加速化する。残り2㎞、アルペシン・フェニックスに加えUAEエミレーツ、ドゥクーニンク・クイックステップ、グルーパマFDJも加わり一気にスプリントガチンコバトルを迎える。一度は後手に回ったアルペシン・フェニックスだが、残り1㎞で前方に顔を出すと、そのままフィリップセンに最高のおぜん立てをする。
早すぎるかに思えた仕掛けだったが、残り200mのロングスプリントをフィリップセンは難なくこなし今大会2勝目を挙げた。ヤコブセンは最後に迫ったが、一歩届かなかった。総合リーダーのタラマエはそこから2分21秒遅れでゴール、変わってケニー・エリソンデが棚ぼたでマイヨ・ロホ獲得となった。しかし思わぬ形でジャージを手に入れた子もあり、「こんな形でこのジャージを手に入れたくなかった」と語り、その表情に笑顔はなかった。
「残り5㎞からの我々の動きはパーフェクトだったよ。美しかった!!!うまくは説明できないけどね。チームはまとまっているよ、全てはこの勝利のためだよ。昨日は完全に失敗したから、今日はどうしても勝ちたかったんだ。ポイント賞ジャージを最後まで守り抜きたいという思いはあるけど、まずはその日その日を生き延びることだね。」フィリップセンはまだまだ勝利を積み重ねそうだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ順位
1位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・フェニックス) 4h24’41”
2位 ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)
3位 アルベルト・ダイニース(チームDSM)
4位 ホァン・セバスチャン・モレノ(UAEチームエミレーツ)
5位 ピエ・アレガート(コフィディス)
6位 ヨン・アベラストゥリ(カハルーラル・セグロスRGA)
7位 ヨルディ・ミーウス(ボーラ・ハンスグロエ)
8位 リカルド・ミナーリ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)
9位 レイナード・イェンス・ファン・レンズブルグ(キュベカ・ネクスツハッシュ)
10位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ケニー・エリソンデ(トレック・セガフレド) 17h33’57”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +05”
3位 リリアン・カルメジャーヌ(AG2Rシトロエン) +10”
4位 エンリック・マス(モビスター) +20”
5位 ミゲル・アンヘル・ロペス(モビスター) +26”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +32”
7位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)
8位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)
9位 ミケル・ランダ(バレーン・ビクトリアス) +44”
10位 ジーノ・メイダー(バーレーン・ヴィクトリアス) +45”
H.Moulinette