ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第3ステージ:いきなりの激坂頂上ゴールバトルはタラマエがブエルタ10年ぶりの勝利!総合勢は早くも明暗、カラパズ、クス、カーシーは大幅に脱落(ダイジェスト動画あり)
総合リーダージャージを守るということは、チームにそれ相応の負担を背負わせるということ、それによる消耗を防ぐために意図的に手放すこともあるのだ。昨日までの総合リーダーで大会3連覇を狙うプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)は、総合バトルには徹したが、先行する逃げは完全に放置、ステージ優勝と総合リーダージャージを譲った。
第3ステージにしていきなりの山岳、しかもかなりの急勾配での頂上ゴール対決を制したのはレイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)、ブエルタ10年ぶりの勝利を独走で挙げた。今シーズンからワールドツアーチームに昇格した新興チームにとっては、極めて貴重なグランツール勝利となった。これで総合でもリーダーに躍り出たタラマエ、山岳が得意なだけにしばらくはこのジャージを守ることとなりそうだ。
203㎞の長丁場、さらにはゴールは激坂の頂上ステージは、当初は平坦ステージに分類されていたが、訂正が入り山岳ステージとなった。ブエルタではよくあるのだが、他のレースでは明らかに山岳ステージに入るものが平坦に分類されてしまう、それほどまでに過酷なコースを準備し、選手たちを迎えるのだ。
今後の展開も含め、ユンボ・ヴィズマが逃げを容認するのは確実だったため、序盤から積極的な動きが発生、タラマエ、ジョー・ドムブロウスキー(UAEチームエミレーツ)、ケニー・エリソンデ(トレック・セガフレド)、リリアン・カルメジャーヌ(AG2Rシトロエン)らが抜け出していく。タイム差は徐々に開き、最終的に9分差にまで広がる。
先頭集団でも駆け引きは繰り返されたが、最後の頂上バトルに入り、ドムブロウスキーが、まずアタック、それにエリソンデとタラマエが食い下がる。そしてタラマエはじわじわとその差を詰めると逆転、そしてそのまま今度は差を広げていく。そのまま独走態勢となったタラマエは、ガッツポーズでステージを締めくくった。ドムブロウスキーは2位、エリソンデは3位に終わった。
その背後では総合勢によるバトルも勃発する。ログリッチが安定した走りを見せる中、そのアシストのセップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)、さらには東京五輪男子ロード金メダリストのリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)までもが遅れてしまう。さらにはヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO)、ロメイン・バルデ(チームDSM)、さらにはアレクサンダー・ブラソフ(アスタナ・プレミアテック)もタイムを失う結果となった。
対して好調だったのがモビスター勢、ログリッチに対して最後に仕掛けたエンリック・マス(モビスター)はタイム差をわずかながらつけてのゴール、さらにはミゲル・アンヘル・ロペス、アレハンドロ・バルベルデ(共にモビスター)の両選手も総合トップ10に入ってきた。ログリッチは総合3位まで後退も余裕をもってステージを走り切り、余裕の差を見せつけた。
「もう僕は34歳だし、グランツールで総合リーダージャージに挑戦する機会はそんなに残されていなかったからね。実は今日は、戦略会議でステージ優勝を狙うと決めていたんだよ、そのまま総合リーダージャージも奪うつもりだったんだ。メイン集団に捉まるか捉まらないかが問題だったんだけど、何とか逃げ切れたね。これでジロとブエルタでステージ優勝、そこまではイメージしていたけど、実際に総合リーダージャージに袖を通す日が来るとは思わなかったよ。緊張するけどこれから数日はこの醍醐味を満喫したいよ。」山岳が得意なタラマエにとっては、このステージはドンピシャだった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージ順位
1位 レイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) 5h16’57”
2位 ジョー・ドムブロウスキー(UAEチームエミレーツ) +21”
3位 ケニー・エリソンデ(トレック・セガフレド) +36”
4位 リリアン・カルメジャーヌ(AG2Rシトロエン) +1’16”
5位 エンリック・マス(モビスター) +1’45”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(モビスター) +1’48”
7位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
8位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス)
9位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 レイン・タラマエ(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー) 9h25’44”
2位 ケニー・エリソンデ(トレック・セガフレド) +25”
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +30”
4位 リリアン・カルメジャーヌ(AG2Rシトロエン) +35”
5位 エンリック・マス(モビスター) +45”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(モビスター) +51”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +57”
8位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)
9位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)
10位 ミケル・ランダ(バレーン・ビクトリアス) +109”
H.Moulinette