ツール・ド・フランス2021第21ステージ:シャンゼリゼを制したのは昨日TTを制したファン・アールト!これで山岳と合わせ3勝目!カベンディッシュ届かず、ポガチャル総合優勝(ダイジェスト動画あり)
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が若干22歳にしてツール・ド・フランスを2連覇、新たな歴史をぬりかえていくなか、最終ステージの注目はマーク・カベンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が今大会5勝目を、エディ・メルクスの通算34勝越えで飾るか、というところだった。そんな最終ステージを制したのは、昨日個人TTを制したワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)だった。今大会は山岳で勝利、個人TTで勝利、そしてシャンゼリゼでスプリント勝利と、オールラウンダーぶりを遺憾なく発揮して見せた。残り500mからのスプリントを時速66.2㎞で駆け抜けたシクロクロスで世界の頂点を何度も制している男は、ロードでも最強の一人となりつつある。これで今大会3勝目、そのままの勢いで東京五輪の金メダルを狙う。
総合優勝はポガチャル、総合リーダージャージを着る選手の多くが守りに入る中で、「攻撃は最大の防御なり」を実行し続けステージ3勝、しかも終盤の難関山岳直接決戦2戦で勝利し、圧倒的な強さで大会連覇を果たした。新人賞、さらには山岳賞も獲得、まさに往年の名選手たちがそうであったように、取れる賞はしっかりと持っていった。
総合2位はヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)、大会前はダークホースにさえその名前はなかった男が、最後までポガチャルに真っ向勝負を挑みつづけ、これ以上ない飛躍を果たした。エースのプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)のリタイアがなければ、この大躍進はなかっただけに、まさに「運」も持ち合わせていたといえるだろう。
そして総合3位はリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)、今シーズンここまでジロ・デ・イタリア、ツール・ド・スイス、クリテリウム・ド・ドーフィネと総合優勝を果たしたイネオス・グレナディアスはグランツール覇者4名を送り込んできたが、結果的にカラパズの総合3位が最上位だった。それでも随所でその強さを発揮、ポガチャルとヴィンゲガードと共に、3人での直接対決を何度となく演じて見せた。
ポイント賞ジャージは完全復活を遂げたマーク・カベンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、今大会移籍が濃厚なサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)が土壇場でスタートリストから外され、その代役として出走したが、ここ5年ほど低迷していたことから期待は全くされていなかった。しかし最強のアシスト勢による完璧なお膳立てという武器を手にした名スプリンターは、1勝目を挙げるとその勢いのままに勝利を積み重ね今大会4勝、偉大なエディ・メルクスの通算34勝に並んで見せた。山岳でもチームメイトに守られオーバータイムでの失格をすることなく最後まで走り抜き2011年に続き10年ぶりにツール・ド・フランスのポイント賞を獲得した。
チーム総合はバーレーン・ヴィクトリアス、マテイ・モホリッチが逃げでステージ2勝、さらにディラン・テウンスもステージ優勝を挙げた。さらにはソニー・コルブレッリがスプリント賞争いを演じ、ワウト・ポエルスが山岳賞争いを演じるなど、印象的な走りが多かった。
ツール・ド・フランス第21ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第21ステージ順位
1位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
2位 ジャスパー・フィリップセン(アルペシン・フェニックス) 2h39’37”
3位 マーク・カベンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 ルーカ・メズゲック(チームバイクエクスチェンジ)
5位 アンドレ・グライペル(イスラエル・スタートアップネーション)
6位 ダニー・ファン・ポッペル(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)
7位 マイケル・マシューズ(チームバイクエクスチェンジ)
8位 アレックス・アランブル(アスタナプレミアテック)
9位 シリル・バース(B&Bホテルズp/b KTM)
10位 マックス・ワルシェイド(キュベカ・ネクストハッシュ)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 82h56’36”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +5’20”
3位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +7’03”
4位 ベン・オ・コナー(AG2Rシトロエン) +10’02”
5位 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ) +10’13”
6位 エンリック・マス(モビスター) +11’43”
7位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・プレミアテック) +12’23”
8位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +15’33”
9位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス) +16’04”
10位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションNIPPO) +18’34”
山岳賞
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
新人賞
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
スプリント賞
マーク・カベンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
敢闘賞
フランク・ボナマール(B&Bホテルズp/b KTM)
H.Moulinette