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©ASO

逃げ切り勝利というのは難しい。それがグランツールとなればなおさらだ。そして一度でも奇跡的な逃げ切りを、マテイ・モホリッチ（バーレーン・ヴィクトリアス）はなんと2度目も成功させてしまった。あまりにも見事な走り、ライバルたちが追走でお見合いしたことで、モホリッチは難なく独走勝利、今大会2勝目を挙げた。そして総合リーダーのタデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）と合わせ、スロベニア人選手の勝利が、19ステージで5勝目、なんと3人（うち一人はリタイア）しかいないスロベニア国籍の選手が、実に25％近い勝率をたたき出している。

モホリッチはゴールで指を口に当て”サイレンス（沈黙）”のポーズ、フランスアンチドーピング機構とフランス警察がチームに対して行っている捜査（指定違法薬物の運搬と保管）に関して、言うことは何もないというポーズを示した。

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本来であればスプリンターステージになると思われたこのステージ、各チームが昨日までの山岳2連戦の疲れを癒すために勝負を避けたことで、ステージは逃げ切り勝利へと傾いていった。しかしこの日の逃げは一枚岩ではなかった。誰もが欲しい勝利、そして大会終盤で最後のチャンスかもしれないということもあり、最大20名まで膨らんだ逃げ集団は、残り50㎞から激しい駆け引きとアタックの応酬を繰り返した。

そして残り25㎞、モホリッチが単独で仕掛けると、ライバルたちは「誰が追うのか？」とばかりにお互いの顔を見合わせる。追走も協調もできない逃げ集団から、あっという間にモホリッチの背中は遠ざかっていった。そのままモホリッチはひたすら独走を続け、ガッツポーズでゴールラインを超えた。これで自信2勝目、チームにとっては3勝目となる勝利、グランツールでチームとして結果を残して見せた。ステージ2位にはツールでの勝利が是が非でも欲しいコフィディスのクリストフ・ラポルテが、3位にはキャスパー・ペデルセン（チームDSM）が入った。

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「信じられないよ。逃げの人数が大きくなったけど、チームメイトが誰もいなかったからがっかりしていたんだ。でも諦めない、ベストを尽くそうと心に決めたんだよ。だからできる限り力を温存し、一発勝負に賭けたんだ。でも結構限界だったんで、ここしかないと思って仕掛けたんだよ。冷静に考えたら誰かがついてきたら、もう一回スプリントをしなければならない、と思ってたんだけど、振り返ったら誰もいなかったんだよ。だからあとはもう必死でこぎ続けたよ。あとはぎりぎりの体力で、ぎりぎりのエアロで攻める、を貫いたんだ。何とか最後まで持ちこたえたよ。」モホリッチは自らの限界とも勝負をしていた。

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総合勢は疲れから動かず、タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）は、「今日は本当に足が動かなかった。僕のバッドデイがいつかと聞かれたら間違いなく今日だった。」と答えるほど、疲労感満載だったようだ。

ツール・ド・フランス第19ステージダイジェスト

ツール・ド・フランス第19ステージ順位
1位　マテイ・モホリッチ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　4h19’17”
2位　クリストフ・ラポルテ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋58”
3位　キャスパー・ペデルセン（チームDSM）
4位　マイク・テウニッセン（ユンボ・ヴィズマ）　　　＋1’02”
5位　ニルス・ポリット（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋1’08”
6位　エドワード・テウンス（トレック・セガフレド）
7位　ミカエル・ヴァルグレン（EFエデュケーションNIPPO）
8位　グレッグ・ジマーマン（インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー）
9位　アンソニー・チュルギス（トタル・エナジーズ）　　　＋1’10”
10位　ジャスパー・ストゥーヴェン（トレック・セガフレド）

ツール・ド・フランス総合順位
1位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　79h40’09”
2位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）　　　＋5’45”
3位　リチャード・カラパズ（イネオス・グレナディアス）　　　＋5’51”
4位　ベン・オ・コナー（AG2Rシトロエン）　　　＋8’18”
5位　ウィルコ・ケルデルマン（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋8’50”
6位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋10’11”
7位　アレクセイ・ルチェンコ（アスタナ・プレミアテック）　　　＋11’22”
8位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　＋12’46”
9位　ペッロ・ビルバオ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋13’48”
10位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーションNIPPO）　　　＋16’25”

H.Moulinette