ツール・ド・フランス2021第18ステージ:「攻撃は最大の防御なり!最後の山岳も”トルネード”ポガチャルが圧倒的な強さでライバルを粉砕!ステージ3勝目と山岳賞獲得(ダイジェスト動画あり)


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圧倒的な強さの前に、ライバルたちは追いすがることしかできなかった。総合2位と3位のヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)とリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)を力でねじ伏せ残り1㎞から余裕の加速連発で差を広げると、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)は最後は笑顔でステージ連勝、今大会3勝目、そして総合リーダーと新人賞ジャージに加え、新たに山岳賞ジャージも確保した。圧倒的な強さ、そして躊躇なく、容赦なく攻めてライバルたちを蹴散らす、ポガチャルからは王者の貫禄がもはやあふれ出ている。
~優勝の確立は?
「う~ん。50%ぐらいじゃない(満面の笑みで)」
~ヴィンゲガードとかライバルをまだ警戒する?
「心配する必要ある?」
ゴール後これ以上ない笑顔で答えるポガチャルにはすでに総合優勝への確信があるように感じられた。

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今大会最後の山岳ステージは、名物ツールマレー峠を超え、リュス・アルディダンでゴールを迎える山岳最終決戦だ。ステージは前半から、ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がまたしても活発に動く。中間スプリントでできる限りチームのスプリントエース、マーク・カベンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)にポイントを取らせるため、そしてライバルスプリンターたちにポイントを取らせないために、逃げを誘発するために動いた。その思惑通り逃げが成立し、中間スプリントをアラフィリップ自身が制した。

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そしてその背後で残りの少ないポイントを巡りカベンディッシュがスプリント、ミカエル・モロコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ)の見事なアシストもありしっかりとポイントを確保した。そのまま逃げ続けたアラフィリップは、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)と共に残り60㎞を切っても逃げ続ける。

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追走のメイン集団はイネオス・グレナディアスが組織的な動きでペースアップ、どんどんと選手たちを削っていく。アラフィリップとそこに追いついたダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)らに対し集団はペースを上げ迫ってくる。ツール・マレー峠の長い上りでなんと総合4位のリゴベルト・ウラン(EFエデュケーションNIPPO)が脱落する。全ての選手にあるとされるバッドデイが、まさかの最後の山岳ステージが重要なステージで訪れてしまった。
ガウドゥらが逃げが次々とツールマレー峠をクリアして下りに入ると、ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)がヴィンゲガードのアシストとして攻めていく。下りでの加速でメイン集団はさらにばらけ、そのまま最後の頂上決戦へと入っていく。
先行する面々は総合勢の別格の速度の前に飲み込まれていき、残り5.5㎞でポガチャルのアシスト、ラファル・マイカ(UAEチームエミレーツ)のペースアップで総合上位勢は昨日同様にまたしてもエースのみが残る展開となる。そして満を持してポガチャルが残り3.2㎞でアタックを仕掛けると、一気に先頭はヴィンゲガード、カラパズ、セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)、エンリック・マス(モビスター)に絞られてしまう。

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さらにここからポガチャルは何度となく揺さぶりを仕掛ける。まずクスが脱落、そして一度はアタックをしたマスも脱落し、昨日同様にカラパズ、ヴィンゲガードとポガチャルの三つ巴の勝負となる。昨日の走りと同じく、この日もポガチャルが別格の走りを見せる。揺さぶり続けてライバルたちを疲弊させると、残り400mで渾身のアタック、加速を緩めることなく一気にカラパズとヴィンゲガードを突き放すと、最後は余裕をもってガッツポーズで勝負を決めた。
ヴィンゲガードはそのままステージ2位で総合2位をキープ、カラパズも総合3位をキープしている。そしてウランの脱落により、ベン・オ・コナー(AG2Rシトロエン)が一つ順位を上げ総合4位となった。
「昨日の今日、信じられないよ。調子もよかったしハッピーだよ。僕にとってはグランツールはゲームのようなものだし、ものすごく楽しめているんだよ。まあまだ3日あるから何が起きるかわからないけどね。」気持ちを緩めないコメントをしながらも、その頬は緩みっぱなしだった。勝利を確信したようにも思えるポガチャルだが、いつもレースが一旦始まれば気合十分、貪欲に個人TTでもステージ優勝を狙っていきそうだ。
ツール・ド・フランス第18ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第18ステージ順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 3h33’45”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +02”
3位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
4位 エンリック・マス(モビスター) +13”
5位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +24”
6位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +30”
7位 セルジオ・イギータ(EFエデュケーションNIPPO) +33”
8位 ベン・オ・コナー(AG2Rシトロエン) +34”
9位 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +40”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 75h00’02”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +5’45”
3位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +5’51”
4位 ベン・オ・コナー(AG2Rシトロエン) +8’18”
5位 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ) +8’50”
6位 エンリック・マス(モビスター) +10’11”
7位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・プレミアテック) +11’22”
8位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +12’46”
9位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス) +13’48”
10位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションNIPPO) +16’25”
H.Moulinette