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©ASO

過去には総合優勝候補とまで言われた男は、今はユーティリティーとして様々なシーンでマルチに活躍している。そんなバウク・モレンマ（トレック・セガフレド）が、同じ逃げのライバルたちによる追走をかわし、40㎞にわたる独走を見せ、見事に2度目のツール・ド・フランスステージ勝利を掴んだ。

そしてそんな逃げにしれっと加わっていたギヨーム・マルタン（コフィディス）も快走、総合リーダーのタデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）らメイン集団と大きくタイム差を開いてゴールし、一気に総合2位までジャンプアップを果たした。さらには同じ逃げに加わっていたマイケル・ウッズ（イスラエル・スタートアップネーション）が山岳賞を奪取、平坦ながらに多くの動きが発生するステージとなった。

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この日も総合系のチームが動かないことが予想されたことで、各チーム積極的なアタックを敢行、レースはスタートから激しくうねり続ける。中でも世界チャンピオンジャージのジュリアン・アラフィリップ（ドゥクーニンク・クイックステップ）はこの日も元気に走り回る。しかしこの動きはあまりにも目立つため成功しない。

スタートから25㎞でまず5名の逃げが発生するが、その逃げも25㎞程で終わり、又活発な動きが始まる。ゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）、ヴィンチェンツォ・ニーバリ（トレック・セガフレド）に加えワウト・ポエルス（バーレーン・ヴィクトリアス）、マッティア・カッタネオ（ドゥクーニンク・クイックステップ）らがまず動き、さらにはエステバン・チャベス（チームバイクエクスチェンジ）、マルタン、パトリック・コンラッド（ボーラ・ハンスグロエ）、ルイス・メインチェス（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）らが加わり、さらにはモレンマが合流を果たした。5年前なら総合優勝争いと言われるほどに豪華な布陣に対し、メイン集団は対応するだけで手いっぱいだった。

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ポエルスとウッズは山岳賞ジャージをめぐる激しいバトルを山岳ポイントで展開したが、落車はあったものの最終的にはウッズに軍配が上がった。

残り40㎞を切りモレンマが満を持して仕掛けると、強力なメンバーが顔を揃える集団は追走でお見合い状態となってしまう。タイム差が開くと、追走がようやくまとまり協調してモレンマを追いかけるが、僅か1分先行したモレンマの背中は最後まで遠かった。

追走もいくつかの集団に分裂、2位争いもし烈になったが、最終的にコンラッドがスプリントで2位、セルジオ・イギータ（EFエデュケーションNIPPO）が3位に入った。

「最高だね。スーパーハッピーだよ！調子がよかったんで、早めに仕掛けたんだよ。独走でも行けるとは思っていたし、最後の山岳ポイントを50秒差で超えた時点で勝てるという確信が芽生えたよ。」モレンマは冷静に語った。

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そしてこのステージを9分29秒差でスタートしたマルタンだったが、逃げに乗ったことで大きなタイムを奪い返すことに成功した。最終的にメイン集団に5分以上にタイム差をつけたことで、一気に4分4秒差の総合2位まで順位を上げてきた。総合トップ10にエースがいる各チームは、みすみす逆転を許す結果となってしまい、これからの山岳ステージでもう一枚注意を払わねばならない選手が増える形となった。しかしそれは総合リーダーのポガチャルにとっても同じで、注視しなければならないライバルが息を吹き返した形となった。

ツール・ド・フランス第14ステージダイジェスト

ツール・ド・フランス第14ステージ順位
1位　バウク・モレンマ（トレック・セガフレド）　　　4h16’16”
2位　パトリック・コンラッド（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋1’04”
3位　セルジオ・イギータ（EFエデュケーションNIPPO）
4位　マッティア・カッタネオ（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　＋1’06”
5位　マイケル・ウッズ（イスラエル・スタートアップネーション）　　　＋1’10”
6位　オマール・フライレ（アスタナ・プレミアテック）　　　＋1’25”
7位　エリー・ジェスベール（チームアルケア・サムシック）　　　＋1’25”
8位　クエンティン・パシャール（B＆Bホテルズp/b KTM）　　　＋1’25”
9位　ルイス・メインチェス（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）　　　＋1’26”
10位　エステバン・チャベス（チームバイクエクスチェンジ）　　　＋1’28”

ツール・ド・フランス総合順位
1位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　56h50’21”
2位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　＋4’04”
3位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーションNIPPO）　　　＋5’18”
4位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）　　　＋5’32”
5位　リチャード・カラパズ（イネオス・グレナディアス）　　　＋5’33”
6位　ベン・オ・コナー（AG2Rシトロエン）　　　＋5’58”
7位　ウィルコ・ケルデルマン（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋6’16”
8位　アレクセイ・ルチェンコ（アスタナ・プレミアテック）　　　＋6’30”
9位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋7’11”
10位　マッティア・カッタネオ（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　＋9’48”

H.Moulinette