ツール・ド・フランス2021第7ステージ:249㎞で波乱続出!マイヨ・ジョーヌが大逃げ!新旧シクロ王者が大暴れで総合大シャッフル!ログリッチ脱落、モホリッチがステージ優勝(ダイジェスト動画あり)
休息日前の平坦では、総合勢はあまり動かないのが暗黙の了解となっていたが、ロードレース界で暴れまわっている新旧シクロクロス世界王者にとっては、そんなことは一切関係なかった。総合リーダー、マイヨ・ジョーヌのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)と、ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)の二人が、大逃げを敢行、総合上位候補勢が動かなったことで、レースの総合順位を大きくかき回した。特にログリッチはメイン集団からも脱落、総合優勝争いから大きく脱落した。
そんな大荒れのステージを制したのはマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)、逃げ集団方飛び出し独走勝利を果たした。ツール・ド・フランスを制したことで、すべてのグランツールでステージ優勝を達成、グランツールクラブ(すべてのグランツールでのステージ勝利者の意)入りを達成した。モホリッチはこれで総合でも4位へと大きく順位を上げた。
長距離ステージは逃げ切りが容認されやすいこともあり、レースは249㎞のスタートから動く。元シクロ世界王者で個人的なライバルでもあるファン・アールトが動けば、総合リーダーの証、イエロージャージのマイヨ・ジョーヌの当然のようにファン・デル・ポエルも動いた。最終的に29名の翁逃げが飛び出していった。総合系ではないファン・デル・ポエルにとっては、一日でも長くジャージを着るためにタイムを広げたい思惑、そしてメイン集団の総合系にとっては、万が一逃げ切られてもファン・デル・ポエルが総合系ではないので山岳で逆転できるという想定があり、、この容認されることとなった。
もちろんメイン集団の一枚岩ではなく、昨年度覇者のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)擁するUAEチームエミレーツはヴィンチェンツォ・ニーバリ(トレック・セガフレド)も逃げに乗ったことがあり、容認はしたくなかったようだが、協力するチームがなく諦めざるを得なかった。さらには昨日ステージを制したマーク・カベンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)も、中間スプリントポイントを獲得すべく逃げに乗り、思惑通りポイントを積み重ねグリーンジャージをがっちりとキープした。
そして逃げ集団のペースが速く、追走はUAEチームエミレーツは必至でタイム差をキープしようと集団をコントロールし続けるが、タイム差は徐々に開き6分を超えていく。
先頭では残り88㎞でモホリッチら2人が飛び出し、さらに残り54㎞で飛び出した2名が残り46㎞で合流した。追走となった残りの逃げ集団も徐々に削られ人数を減らしていく。後続とのタイム差は6分台で推移し続ける。
そして最大斜度18%の激坂からレースは大きく動いていく。先頭ではモホリッチが単独となり、追走はニーバリ、キャスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)らが次々とアタックし、追走集団は分裂していく。メイン集団ではなんとプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)がずるずるとメイン集団から遅れていく。まったく勢いのないログリッチは、その後の下りでも追いつくことができず、この日だけで4分近くをポガチャルに対して失う結果となった。
ファン・アールトは、ファン・デル・ポエルから総合リーダージャージを奪いたい思惑があったが、ファン・デル・ポエルはそれを許さなかった。モホリッチのゴールから1分40秒後にアスグリーン、ファン・アールト、ファン・デル・ポエルがゴールした。アスグリーンはこれで一気に総合3位に、ファン・アールトは総合2位となっている。
メイン集団ではリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)が飛び出し一時はポガチャルらに40秒ほどの差をつけたが、ゴール直前で飲み込まれ、ポガチャルとのタイム差を縮めるには至らなかった。ポガチャルらはモホリッチから5分15秒遅れでゴールした。これでポガチャルは総合5位まで順位を下げた。ログリッチは9分3秒遅れでゴール、総合で33位まで順位を下げた。これで総合順位は休息日を前にマイヨ・ジョーヌ以外のトップ10がシャッフルされた。
「今日はいいステージだったよ!今日のコースをチェックして、僕向けだと思っていたんだよ。一日だけなら徹底して集中できるからね。あと実はもう1ステージ狙っているんだよ。でも逃げに乗ったら強烈なメンバーだったから、早めに仕掛けてみたんだよ。これでジロ、ブエルタ、ツールとグランツールのステージ勝利が揃ったよ。でもツールはやっぱり格別だね。」モホリッチは感情を抑えきれなかった。
「戦略ではなかったんだけど、皆が逃げに乗りたがって、気がついたら体が反応してそのまま逃げが成立していたよ。でも結果的にタイム差を広げられたから満足だよ。でも結局ファン・アールトがいたから、ジャージを守り抜くのが大変だったよ。」ファン・デル・ポエルは疲労感たっぷりながら満足した表情を見せた。
ツール・ド・フランス第7ステージダイジェスト
ツール・ド・フランス第7ステージ順位
1位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス) 5h28’20”
2位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド) +1’20”
3位 マグナス・コート(EFエデュケーションNIPPO) +1’40”
4位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス)
5位 キャスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)
6位 フランク・ボナマール(B&Bホテルズp/b KTM)
7位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ)
8位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
9位 ブレント・ファン・モア(ロット・ソウダル) +1’44”
10位 ドリアン・ゴードン(AG2Rシトロエン) +2’45”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・フェニックス) 25h39’17”
2位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) +30”
3位 キャスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’49”
4位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス) +3’01”
5位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +3’43”
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +4’12”
7位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +4’23”
8位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・プレミアテック) +4’56”
9位 ピエール・ラトゥール(トータルエナジーズ) +5’03”
10位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションNIPPO) +5’04”
H.Moulinette