本気のエネオス・グレナディアスがツール・ド・フランス出走メンバーを発表、3人の現役グランツール覇者が顔を揃える豪華布陣!最強ライバルたちはそれを止められるか?

今シーズンのイネオス・グレナディアスは圧倒的な存在感を見せている。ジロ・デ・イタリア制覇、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネを制覇、そしてツール・ド・スイスを制覇し、次にターゲットにしているツール・ド・フランスこそがチームにとっての大本命であり、今回選ばれた布陣を見るだけでもその本気度が感じられる。立ちはだかるのはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)とプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)の最強スロベニアン2人、組織力で有利なイネオス・グレナディアスはその勢いそのままにツール・ド・フランスも制してしまうのだろうか?
今回の出走メンバーは、2018年ツール・ド・フランス覇者、2019年ツール・ド・フランス総合2位のゲラント・トーマス、2019年ジロ・デ・イタリア覇者、2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位、そして直近のツール・ド・スイス覇者のリチャード・カラパズ、2020年度ジロ・デ・イタリア覇者のタオ・ゲイガンハート、の3名の現役グランツール覇者、さらには直近のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ覇者のリッチー・ポートが総合優勝を狙えるポジションのエース格となる。チームはエースを明確に任命しておらず、誰がエースにでもなりうる形のようだ。
そしてそのアシストには、元世界チャンピオンのミカル・クウィアトコウスキー、ルーク・ロウ、ヨナタン・カストロビエホ、ディラン・ファン・バーレとこちらもステージ勝利を狙えるだけではなく、最強の名にふさわしいメンバーが揃っている。

©INEOS Grenadiers
「カードは多いほうがいいし、オプションが増えたほうが戦略的に攻めやすい。」とチーム監督は強きのコメントしており、ツール・ド・フランス制覇を明確にイメージしているようだ。
最強ライバルのポガチャルとログリッチに関しても、「彼らに対しては黙っていては勝てない。主導権を握り、ライバルたちにとって気が抜けない時間を作り続けること、追い詰めることで勝利は見えてくる。」と攻めの姿勢を明確にしている。

©INEOS Grenadiers
「我々は今シーズンからチーム哲学を変え、よりアグレッシブにより攻撃的でオープンな戦略に切り替えたんだ。それによって結果が出て、皆がよりレースを楽しむようになったんだ。この心躍るようなアドベンチャー的采配のおかげで、誰もが怖いもの知らずで挑めるようになったんだ。その勢いのままに今年のツールに挑むんだよ。レース内でのオンオフをかぎ分け、結果を残すよ。そのための鍵となるのが、チームワークと友情だよ。皆の予想を上回る結果を期待していて欲しい。」

©INEOS Grenadiers
今年のイネオスを見ていると、ウィギンス、フルーム擁した最強の時代のようなデータ重視、科学的でストイックなイメージから、今年は選手たちがより笑顔でリラックスしているように感じられる。チーム哲学を変えたことで、イメージとしてはドゥクーニンク・クイックステップとどこか似た雰囲気が感じられるようになった気がする。果たしてイネオスの快進撃はさらに続くのか、それともライバルチームがその勢いを止めるのか、絶対的エースを置かず、チームの半分のメンバーが総合優勝を狙えるという特殊なチーム構造は結果につながるのだろうか。開幕が待ち遠しい。
H.Moulinette