ジロ・デ・イタリア2021第15ステージ:絶好調のキュベカ・アソス!直近5ステージで3勝の快進撃!今度はカンペナールツが雨お構いなしの攻めの走りで勝利!(ダイジェスト動画あり)


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昨年までのNTTのメインスポンサーを失ったことで、一気に規模縮小となり、メインスポンサーなしのまま恵まれないアフリカの子供たちに自転車を送る慈善団体のキュベカがタイトルスポンサーとなったキュベカ・アソス、かなり個性あるメンバーが揃ったが、今シーズンの活躍は厳しいのではないか、というのが大方の予想であった。しかしそれを大きく裏切る結果をここ直近5ステージで見せている。第11ステージのマウロ・シュミット、第13ステージのジャコモ・ニッツォーロに続き、この第15ステージではヴィクトル・カンペナールツが快心の走りで勝利、3人の選手で3勝とチームにとって大きな勝利を量産した。チームは来シーズンの新スポンサーなしには継続が厳しい状況でもあり、この勝利はその不安を払拭する大きな一歩となるかもしれない。

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レースはスタートからわずか3キロで大規模な落車が発生、総合6位のエマニュエレ・バックマン(ボーラ・ハンスグロエ)も巻き込まれそのまま救急搬送されリタイアとなる。それによりレースは一時中断され、25分後に再開となる。
そしてこの日の逃げが発生、カンペナールツ、オスカル・リーセビーク(アルペシン・フェニックス)、ニキアス・アルノー(チームDSM)らを含む15名の逃げが成立する。特にキュベカ・アソスはカンペナールツに加え、マックス・ワルシェイド、ルーカス・ウィスニオウスキー(共にキュベカ・アソス)の3人を送り込むことに成功、勝利を明確に狙った布陣で展開する。
この日は天候があれ、冷たい雨が選手たちを苦しめる。メイン集団は早い段階で先頭集団をあきらめるのをやめ、危険回避でコーナーなどをゆっくりと曲がっていくなど、かなりのスローペースで追走する。それに対して先頭集団は勝利を目指し、雨の下りでも駆け引きと攻めの走りを見せる。

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残り30キロで後続のメイン集団とのタイム差は12分弱、逃げ切りが確定的となる中で、リーセビークがアタックを仕掛ける。それをマークしていたのはカンペナールツ、さらにはアルベルト・トーレス(モビスター)が食らいつく。追走集団との差はおよそ30秒と大きくは開かないが、3人は積極的に攻めの姿勢を貫く。しかし待ち構える激坂がその都度3人を苦しめる。全身をゆすりながら坂をこなしていくが、途中でトーレスが脱落、先頭は二人となる。そして後続の追走を阻んだのがキュベカ・アソスのチームメイトだった。見事な連携で追走の頭を押さえ、タイム差が縮まるのを抑え続ける。

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しかし残り6㎞で16秒にまでその差は縮まり、視界に十分捉えられる距離まで迫ってくる。ここで馬力を見せたのがカンペナールツ、追いつかれるのを嫌い再三にわたってペースアップを仕掛ける。リースビークも何度となくそれに対応し続け、二人はそのままスプリント勝負へと向かう。ゴール前1キロを切ってからも続くテクニカルなコーナーと石畳に、勝負はゴール直前からのタイマンスプリントとなった。リースビークが先に仕掛けるが、冷静なカンペナールツはその背後から加速、一気にリースビークを抜き去りガッツポーズを決めた。

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「今朝の朝食の時にミーティングで、”すでに挙げた2勝以外に、他にジロでどれだけのことができるだろうか?”という話になったんだよ。そしてこの3勝目!これは快挙だよ!今年のコースを考えれば、このステージが僕らにとっては最後のチャンスだったしね。このチームは何とか首の皮一枚繋がって今年を走れている。でも来年は新たなスポンサーがいなければ難しいだろう。でもこの3勝は価値あるものになるかもしれない。僕らはチーム存続のため、そして自分たちのプロとして走り続けるチャンスのために結果を残し続けるんだ。」カンペナールツの言葉には思いがこもっていた。
総合勢はバックマンのリタイアで順位がスライドしたのみ、大きな動きはないままにステージを終えた。

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ジロ・デ・イタリア第14ステージ
1位 ヴィクトル・カンペナールツ(チームキュベカ・アソス) 3h25’25”
2位 オスカル・リースビーク(アルペシン・フェニックス)
3位 ニキアス・アルノー(チームDSM) +07”
4位 シモーネ・コンソーニ(コフィディス)
5位 クインテン・ヘルマンス(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリアル)
6位 ダリオ・カタルド(モビスター)
7位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +09”
8位 アルベルト・トーレス(モビスター) +44”
9位 セバスチャン・モレノ(UAEチームエミレーツ) +1’02”
10位 マックス・ワルシェイド(キュベカ・アソス)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) 62h13’33”
2位 サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ) +1’33”
3位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス) +1’51”
4位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック) +1’57”
5位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +2’11”
6位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +3’03”
7位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +3’52”
8位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス) +3’54”
9位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +4’31”
10位 トビアス・フォス(ユンボ・ヴィズマ) +5’37”
ジロ・デ・イタリア第15ステージダイジェスト
H.Moulinette