ジロ・デ・イタリア2021第14ステージ:難関山頂ゾンコランを制したのは伏兵のフォーチュナト!総合バトルはベルナルが圧倒的な強さ発揮!S.イェーツも動き総合2位浮上(ダイジェスト動画あり)
総合系にとって最初の大きなバトルとなるゾンコラン、総合系はステージ優勝には興味はなく、ステージ優勝は逃げの面々に委ねられた。その勝負を制したのはロレンツォ・フォーチュナト(エオロ・コメタサイクリング)、ワイルドカード出場のチーム、そして実績にない25歳がとてつもなく大きな仕事をやってのけた。そして総合争いは明暗がくっきりと分かれた。山岳でのチーム力を最大限に活かしたイーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)が見事な走りでライバルを圧倒、総合優勝目指すチームとって大きな一歩となった。
205㎞の長丁場であり、さらに最難関山岳ステージで、プロ未勝利、そしてアマチュアとしては強豪チームの育成チームに所属しながら結果を残せなかった男、フォーチュナトは、この日容認された逃げにきっちりと乗ることに成功する。ヤン・トラトニック(バーレーン・ビクトリアス)、ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ)、バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)など山岳でも結果を残してきているメンバーを含む11人がレースを先導する。最大でタイム差は8分差以上にまで広がるなか、この日は総合2位のアレクサンダー・ヴラソフ擁するアスタナ・プレミアテックと、総合リーダーのベルナル擁するイネオス・グレナディアスがメイン集団をコントロールし続ける。
レース後半、ゾンコランを前に山岳からの下りでメイン集団が分裂してしまう。アスタナが下りで攻めの走りを見せると、ベルナル以外の総合勢は軒並み後れを取り、多くの総合系が必至で追走を試みる羽目となる。特にレムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ)は苦戦を強いられる。多くの選手がここで体力とメンタルをかなり削られることになったが、ゾンコランを前に最終的に集団は一つに戻る。
先頭ではこのメイン集団に対し6分の差を残して逃げ集団がゾンコランへと上り始める。そしてトラトニックがまず飛び出し、独走態勢を築くが、フォーチュナトがそれに単独で追走を仕掛け追いつくと、二人は協調しレースを展開する。メイン集団では上りに入ると今度はイネオス・グレナディアスが驚異的なペースで牽引、ライバルたちのアシストを徹底して削り始める。
残り2.3㎞、フォーチュナトはアタックを仕掛けトラトニックを置き去りにすると、ここからは独走でゴールを目指し続ける。トラトニックも粘りを見せるが、急勾配の山岳では、目の前に見える相手の背中は想像以上に遠いのだ。最後まで心折れることなく体を大きく左右に揺らしながら走り切ったフォーチュナトはゴールラインでガッツポーズ、誰も予想していなかった大金星を挙げた。
「本当にうれしいよ!今日はチームメイトと共に逃げに乗れたし、逃げ自体もそんなにきつくなかったからね。ゾンコランではトラトニックが先に仕掛けたからそれを追いかけたんだよ。脚は良く回っていたし、行けると思ったんだ。」フォーチュナトは勝利を喜んだ。
後続の総合バトルも一気に加速、サイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)が飛び出していく。それについていけたのはベルナルのみ、他のライバルたちはここで一気に苦境に立たされる。ベルナルはその後S.イェーツも置き去りにし、単独でゴールラインを超えた。これでベルナルは一気にライバルたちとの差を広げることに成功した。S.イェーツはこのステージの走りで一気に総合2位へとジャンプアップ、ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス)がヴラソフを逆転し、総合3位となった。この日はイネオス・グレナディアスの上りでのチーム力が際立つ一日となった。
ジロ・デ・イタリア第14ステージ
1位 ロレンツォ・フォーチュナト(エオロ・コメタサイクリング) 5h17’22”
2位 ヤン・トラトニック(バーレーン・ビクトリアス) +26”
3位 アレサンドロ・コヴィ(UAEチームエミレーツ) +59”
4位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +1’43”
5位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド) +1’47”
6位 サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ) +1’54”
7位 ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ) +2’10”
8位 ネルソン・オリベイラ(モビスター) +2’18”
9位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス) +2’22”
10位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) 58h30’47”
2位 サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ) +1’33”
3位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス) +1’51”
4位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック) +1’57”
5位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +2’11”
6位 エマニュエル・バックマン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’36”
7位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +3’03”
8位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +3’52”
9位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス) +3’54”
10位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +4’31”
ジロ・デ・イタリア第14ステージダイジェスト
H.Moulinette