ジロ・デ・イタリア2021第12ステージ:ヴェンダラメがしぶとく粘り続け、逃げ切りで鮮やかな勝利!総合勢は動かず(ダイジェスト動画あり)


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勝利に向けていかに貪欲になれるか、それはプロとしての資質の一つである。諦めの悪さと粘り、そして勝利への執着は、時に勝利の女神を振り向かせることができる。アンドレア・ヴェンダラメ(AG2Rシトロエン)はステージ終盤自ら積極的な動きをし続け、そして最後はクリス・ハミルトン(チームDSM)との一騎打ちを制し、チームに貴重な勝利をもたらした。総合は大きな仕掛けもないままに推移、動くことなくこのステージを終えた。

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今大会2番目に長い212㎞という長丁場、総獲得標高が3700mを超えるハードなステージはこの日も選手たちを消耗させた。今大会で選手たちが苦しめられているものの一つが天候、雨で冷えた体で内臓の調子を崩す選手も多く、レース中の下り区間で体を冷やさぬように何度となくレインジャケットを着なければならないこのようなステージは、補給などのタイミングも重要となる。
この日も逃げが決まるまでに時間を要したが、最終的に16名の逃げが決まった。ヴェンダラメを中心に。ディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ)、ハミルトン、ジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレド)、山岳賞ジャージのジオフリー・ブシャール(AG2Rシトロエン)、そして総合では体調不良でタイムを失い脱落しているジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ)らが加わる強力な布陣は徐々にタイムを広げていき、最終的には10分差以上にまで広がる。

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後続のメイン集団はこの日はイネオス・グレナディアスが徹底してコントロールし続けた。このようなステージで思わぬアタック合戦となり、エースがタイムを失うことを極力避けるため、集団前方で常にペースをコントロール、ライバルたちをけん制し続けた。
そして勝負どころとなったこの日最後の山岳の上りで、まずはヴェンダラメが動いた。しばらく独走し続けたが、ブランビッラ、ハミルトン、ベネットがそれに合流を果たす。そして残り3㎞でハミルトンがアタック、するとヴェンダラメが一テンポ遅れてそれに反応、二人は合流し先頭で逃げ続ける。ブランビッラとベネットは、どちらが追うかで協調することができず、結局二人を先に行かせてしまう形となった。この後二人はゴール後までもめ続けることとなった。

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ヴェンダラメは常に先手先手と打ちながら、最後も一気のスプリントでハミルトンを振り切り勝利、過去2年間逃し続けてきたジロでの勝利をようやくその手中に収めた。ブランビッラはベネットに先着し、ステージ3位だったが、その後ジャッジ裁定によりふさわしくない行為があったとして降格処分となり、ステージ4位となっている。
「嬉しいよ!2019年は2位だったし、2020年は位置取りでミスして勝利を逃したからね。シーズンオフからこの勝利の為だけに絞ってきたんだよ。本当に夢がかなってうれしいよ。それにチームメイトのブシャールが山岳賞ジャージをキープできているしね。今日はそのアシストをしたうえでゴールでも勝てたので、チームにとってはダブルでハッピーだよ。」ヴェンダラメは自らの役割をこなしたうえで勝利した。

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総合では昨日タイムを失ったギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)が動きを見せるも、結局吸収、ベルナルのライバルはタイムをリカバリーすることなくこのステージを終えた。
ジロ・デ・イタリア第12ステージ
1位 アンドレア・ヴェンダラメ(AG2Rシトロエン) 5h43’48”
2位 クリス・ハミルトン(チームDSM)
3位 ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ) +15”
4位 ジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレド)
5位 ジョバンニ・ヴィスコンティ(バルディアー二CSFファイザネ) +1’12”
6位 ジオフリー・ブシャール(AG2R シトロエン) +1’25”
7位 ニコラス・エデ(コフィディス) +1’47”
8位 シモーネ・ペティッリ(インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリアル)
9位 ミケル・ホノレ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +3’00”
10位 シモーネ・ラヴァネッリ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +4’19”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) 48h29’23”
2位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ・プレミアテック) +45”
3位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ビクトリアス) +1’12”
4位 ヒュー・カーシー(EFエデュケーションNIPPO) +1’17”
5位 サイモン・イェーツ(チームバイク・エクスチェンジ) +1’22”
6位 エマニュエル・バックマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’50”
7位 レムコ・エヴァネポエル(ドゥクーニンク・クイックステップ) +2’22”
8位 ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド) +2’24”
9位 トビアス・フォス(ユンボ・ヴィズマ) +2’49”
10位 ダニエル・マルチネス(イネオス・グレナディアス) +3’15”
ジロ・デ・イタリア第12ステージダイジェスト
H.Moulinette